細野 秀雄

【生年月日】

1953年9月7日

【出身地】

埼玉県

【肩書】

東京工業大学応用セラミックス研究所教授 等

【学歴】

学部…東京都立大学工学部工業科化学科(1977年卒業)
大学院…東京都立大学大学院工学研究科(1982年工学博士号取得)。

【予想授賞理由】

鉄系超伝導体の発見により。

【受賞歴】

2009年 紫綬褒章
2012年 仁科記念賞
2013年 トムソン・ロイター引用栄誉賞

【著書】


【主要業績】


【研究内容】

※多岐にわたるため、鉄系超電導物質の研究に限って紹介。なお、スマートフォンで使われるIGZOパネルも細野氏の発明。

2006年、細野先生のグループは磁性元素を含む超伝導物質を発見し注目を浴びた。それまで、磁性元素を含む物質は超伝導を示すことはないと考えられていたからだ。

超伝導現象は、1911年に水銀(Hg)が4Kで示すことが初めて発見されて以来、多くの物質で確認されている。2001年に超伝導現象を示すことが確認された二ホウ化マグネシウム(MgB2)は、金属系の超伝導物質の中で最も高い 39Kという転移温度を持つ。また、銅酸化物系の超伝導物質の中には、高圧条件下ではあるが、160Kでも超伝導を示す物質が発見されている。
超伝導物質が発見されたのは酸化ランタンリン化鉄(LaOFeP)の性質を調べていた時である。温度を下げながらこの物質の磁性と電気伝導性を測定していると、4K付近で抵抗がゼロになり、完全な反磁性状態が観測された。つまり、LaOFeP が超伝導を示したのだ。

細野先生が最初に発見した鉄系超伝導物質である LaOFePの転移温度は4K程度でしかなかった。しかし、同じ鉄系の物質の研究を続けたところ、2008 年2月に転移温度が 26Kとなる物質を発見し、4月には高圧下でその物質が 43Kという転移温度を示すことを見出した。この後にも、中国で 54K という転移温度を持つものまで発見されている。このように、2006年の最初の発見以来、鉄系超伝導物質が示す転移温度の最高値は次々と更新されている。

材料科学は、長期にわたる支援が生きる分野です。一遍に10億円もらうより、1年に1億円ずつ10年もらう方がはるかに成果が挙がります。鉄系超電導を発見して、あらためて「最初にゴールを切るのは気楽だなぁ」と感じます。転移温度が上がったり、ほかから次々と成果がもたらされますが、結局、ルーツは僕らにあるからです。1番だから焦る必要がない。開拓者の特権ですね、当たったときは。

鉄を含む高温超伝導体やセメント原料を用いた透明半導体・超伝導体の創出、透明アモルファス酸化物半導体のトランジスタ応用など、国際的に大きなインパクトを与える無機材料科学の発見を数多く成し遂げ、現代の錬金術とも評される。
2008 年に発表した論文「鉄系高温超伝導物質の発見」は、磁性元素を内部に含む物質では超伝導現象は起こらないという物性物理学の常識を覆す世紀の発見で、米国科学雑誌サイエンス誌はこれを「ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー2008」の一つと評価し、また08年に世界で最も引用された論文となった。

【関連図書】


【その他】


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最終更新:2013年11月30日 17:25