小川 誠二

【生年月日】

1934年1月19日

【肩書】

東北福祉大学特任教授

【学歴】

1957年 東京大学 工学部応用物理学科 卒業
1967年 スタンフォード大学でPh.D.修得

【予想授賞理由】

fMRI(磁気共鳴機能画像法)の基本原理の発見により。

【受賞歴】

1999年 朝日賞
2003年 日本国際賞
2003年 ガードナー国際賞

【著書】


【主要業績】


【研究内容】

小川誠二博士は、ヒトの体の生理的活動を非侵襲な視覚化技術にて測定する基本原理を発見し、広範な生命科学研究ならびに臨床医学応用への基礎を築いた。特に磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging,MRI)において、生理現象によって生じる信号変化を視覚化するBOLD(Blood Oxygenation Level Dependent)法の原理を確立した功績は大きく、ヒトの脳機能解析・臨床診断への道を拓いた。
医学・医療の過去半世紀における飛躍的進歩のひとつは、視覚化技術・画像診断技術の開発によってもたらされた。これにより、生体臓器の正常な活動や病変によって生じた現象を眼で見ることが可能になったのである。X線CTによって生体の形態的特徴を計測する構造画像法が始まったが、ヒトのからだの生理的活動を画像化する方法、特に被験者に対してほとんど完全に無害な方法は、生体からの磁気共鳴信号中に含まれる生理活動依存的信号成分の画像化によってはじめて可能になった。今日BOLD信号と呼ばれているこの画像コントラストの原理は、1990年に、Bell研究所研究員であった小川誠二博士によって発見された。

このBOLD信号コントラストを用いた医用画像技術は、今日、磁気共鳴機能画像法(functional Magnetic Resonance Imaging, fMRI)と呼ばれて、ヒトの高次認知機能解明をめざす脳科学や心理学において正常被験者の脳活動計測の主要技術となっているのみならず、外科領域における術前診断、神経内科、精神科領域における診断、病態解明など広範な医療分野に応用されつつある。ヒトの精神活動の解明、精神疾患の予防、診断、治療は今後の人類社会に課された大きな課題であり、fMRI法の開発は人類の福祉への偉大な学術的貢献をなすものである。

病院で脳を診断するときに使われるMRI(Magnetic Resonance Imagingl磁気共鳴画像法)は広く知られているが、このMRIは、脳を解剖学的視点から捉え、その構造を診断する。端的にいえば、脳の構造に異常が現れるかどうかを見ている。
一方現在広まりつつあるfMRI(Functional MRIl機能的磁気共鳴画像法)は、MRIで得られる画像の上に、脳の血流の動態を視覚化する手法である。何らかの知覚刺激を受けたときの、脳の活動部位 を血流の状態から検出することができ、MRIでは分からない脳の機能を探る上で非常に進んだ手法である。

この手法を支える原理を1989年に発見したのが、小川誠二であった。

fMRIは、MRI画像に脳の活動の様子を重ねて直接視覚化できるとしいうわかりやすさから、1990年代後半から2000年代初頭にかけて急速に世界中に普及、ヒトの脳機能画像化の主力をなしている。
MRIでは難しかった、脳の神経活動領域でおきる電気磁気現象を直接検出する事を可能にしたBOLD法の原理確立によって、ヒトの脳機能解析・臨床診断は大きく転換した。脳科学の新たな手法において道を拓いた小川の功績は大きい。
Japanest NIPPON HPより

【関連書籍】


【その他】


【タグ】

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年12月16日 20:05