片岡 一則

【生年月日】

1950年11月27日

【出身地】

東京都

【肩書】

東京大学大学院 工学系研究科・医学系研究科教授

【学歴】

1974年 東京大学工学部 合成化学科 卒業
1979年 東京大学大学院 工学系研究科 合成化学専攻博士課程 修了

【予想授賞理由】

ナノスケールのカプセルによるドラッグデリバリーシステムの開発により。

【受賞歴】

2011年度 フンボルト賞
2012年度 江崎玲於奈賞

【著書】


【主要業績】


【研究内容】

現代のオデュッセウス、東京大学大学院工学系研究科・医学系研究科の片岡一則教授は、難敵のがんに立ち向かう「ナノスケールのトロイの木馬」を開発した。それが抗がん剤を入れて使う、粒径10万分の3ミリメートルというウイルスサイズの極小カプセル。その名も「高分子ミセル」だ。難治性のがんに効果があり、抗がん剤の欠点も克服できる治療法として、世界的な注目を集めている。

5年生存率が10%以下で「難治がんの中の難治がん」として知られるすい臓がん。早期発見が難しく、発見時にはすでに転移し、手術ができないことが多い。できたとしても、すい臓は脂肪組織のような外見で境界があいまいなため、手術には困難が伴う。そのため、抗がん剤を用いた化学療法が中心となるが、通常の投与では抗がん剤が血中に拡散してしまううえ、すい臓がんは繊維組織が多いため、頼みの綱の薬が届きにくいのが現状だ。
ところが、高分子ミセルに抗がん剤を詰めて患者に静脈注射し、がん細胞に送り届けると、効き目は劇的。通常の抗がん剤治療では3カ月程度だった生存期間が、1年以上に大幅に延長される例が出ている。
しかも、副作用も現れない。すい臓がんの臨床試験で使っている白金製剤のシスプラチンはがん治療に広く使われているが、腎毒性が非常に強く、通常なら患者は入院して、水を1日3リットルも摂取させられる生活に耐えなければならない。しかし、高分子ミセルを使った患者は水を摂取する必要も入院も必要ない。闘病中も、患者はQOL(生活の質)をほとんど下げずに済むのである。

「もちろん薬でがんなどを治すのは重要です。だけどそれだけじゃなくて、高分子ミセルを体に入れることによって、体の中で起きている不思議な現象を見つけることができる。予期せぬ発見から、今までわからなかった生物の仕組みがわかっていく可能性がある。
僕が提案していて、将来こういう分野ができたらいいなと思っているのが『ナノ生理学』。生理学ってなんだか古臭い学問だと思うでしょ。それに対して分子生物学はかっこいいじゃない。でも、分子生物学では生物の中で何が起きているかわからない。

【関連書籍】


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最終更新:2013年12月17日 01:14