テレス「王都での冒険についてお話し、ですわよね?」
セシル「はい、そうみたいですよ」
テレス「王都に所縁のある私とセシルとで」
セシル「人選が安直すぎて最悪……と仰りたいんですね」
テレス「その通りですわ。王都の冒険に関しては私、ほとんど関与してませんもの」
セシル「テレス様はルーフを目指すところから、でしたよね」
テレス「貴女だって森へ行くところからでしょう?」
セシル「……王都の冒険の途中から、って事ですね」
テレス「人選から企画倒れしてますわよね?」
セシル「うーん……どうしてカインさんとエリシアさんがいないんでしょう」
テレス「王都もお2人がメインですのにね」


〜王都での冒険録〜


テレス「で、そのまま始まるんですのね……」
セシル「私的には『王都にカインさんとエリシアさんが来た』という報告を受けるところが冒険の始まりってことになるんでしょうか」
テレス「あら、セシルは知ってたんですのね」
セシル「勇者さんが帰ってくるなんて事件ですからね。門番の兵士が慌てて私の所に走って来ましたし」
テレス「道理であの日はセシルもそわそわしてたわけですわね」
セシル「あ、分かっちゃってたんですか」
テレス「それはもう、長い付き合いですもの」
セシル「私にすると剣も魔法も二つとも憧れの人が揃ってきたわけですから……その、ドキドキしちゃって」
テレス「魔法剣士ならでは、という感じかしら」
セシル「平静を装うのに必死でしたよ」
テレス「そんなにでしたの?」
セシル「緊張して魔法剣も上手く扱えなくて」
テレス「森で2人に同行した時の話ですわね?」
セシル「ええ。魔物と戦いながら少しずつ落ち着いて、技を思い出す感じでした」
テレス「その辺りは兵士長らしいですわね」
セシル「そう……でしょうか?」
テレス「ええ。普通は魔物と戦ったら落ち着くどころか更にパニックになりますわ」


テレス「でもセシルってカインとエリシアとは面識が無かったんですわよね?」
セシル「そうですね、私が一方的に憧れてた感じで」
テレス「なんか意外でしたわ、特にカインとは経歴も似てるみたいでしたし」
セシル「丁度入れ違いだったんですよね。カインさんが兵士団からギルドへ行く時、私はギルドから兵士団みたいな感じに」
テレス「なるほど、タイミングが悪かったんですわね」
セシル「エリシアさんとは顔を合わせる機会はあったのですが、挨拶程度しか出来なくて」
テレス「図書館の魔法使いは忙しそうですものね」
セシル「テレス様はお二人と親交が深そうでしたね」
テレス「そうですわね。特にエリシアの顔は小さい頃から知ってましたわ」
   「子供の頃は遊んでもらった事もありますし」
セシル「そうなんですか?」
テレス「部屋を抜け出して図書館に遊びに行ったら『しょうがないなぁ』みたいな感じで」
セシル「なんか微笑ましいですね」
テレス「お姉さまが出来た気分でしたわ」
   「魔法の勉強に真剣になれたのもエリシアの影響でしたし」
セシル「かっこいいですもんね、エリシアさんの魔法」
テレス「やればやるほどにレベルの違いを痛感しましたわ」
セシル「あの人は別格ですから……」


お題「王都の冒険で一番の思い出を語れ」


セシル「何か出て来ましたね」
テレス「お題が書いてありますわ」
セシル「話が脇道に逸れ過ぎて企画者さんが痺れを切らしたのでしょうか」
テレス「だから人選ミスだと言ってるのですわ」
セシル「王都の冒険の思い出、ですか」
テレス「私は冒険してないけど……挙げるならあれしかないですわね」
セシル「カインさん達に着いて行く前日の、ですよね?」
テレス「あら、セシルもですの?」
セシル「凄く楽しかったですから」
テレス「カインとエリシアが客間に泊まってる間にこっそり私の部屋にセシルを呼んだのですわよね」
セシル「2人で一晩中、カインさん達の冒険に着いて行く算段を立てたんですよね」
テレス「そうですわ」
   「まずセシルが着いて行きたいと言い出して、私が便乗するって計画を2人で話し合って」
セシル「王様を説得するセリフも考えたり」
テレス「セシルが乗り気だったのが凄く意外でしたわ」
   「絶対に止められると思ってましたもの」
セシル「私も冒険に行きたいと思ってましたし」
   「ただ、同時にテレス様とも離れたくないと思ってたので、魅力的な案だなと思って」
テレス「決行の時はドキドキでしたわ」
セシル「白々しく演技する自分がちょっと面白かったです」
テレス「私がちょっとだけ出るタイミング遅れちゃって」
セシル「カインさんが謁見の間を出ようと歩き出した所でしたね」
テレス「まあ結果、二人揃って冒険に同行出来て良かったですわ」
セシル「でもこの話、カインさんやエリシアさんには言えないですね」
テレス「言葉に纏めると『二人で協力して皆を騙した』みたいなものですし」
セシル「無理矢理冒険に同行したみたいなものですから」
テレス「二人だけの秘密にしておきましょう♪」
セシル「そうですね」


テレス「でもあの時は子供の頃に戻ったみたいで本当に楽しかったですわ」
セシル「子供の頃はよく遊びましたよね」
テレス「そういえば、私達が幼馴染だって皆は知ってるのかしら」
セシル「……直接話題にしたことはないような……」
テレス「これは二人だけの秘密にしなくてもいいですわね」
セシル「今度、隙を見てさらっと話題にしてみましょうか」
テレス「ですわね。考えてみれば長い付き合いですわね」
セシル「これからもよろしくお願いしますね」
テレス「ふふ、お願いするのはこっちの方ですわ」
   「いつも護ってくれてありがとう」
   「私も頑張って強くなりますわ。だから、この冒険が終わっても……」
セシル「はい。ずっとお側にいさせて頂きます」

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最終更新:2014年09月02日 01:21