「なあ、人居なくなっちまって暇なんだけどよ、良かったら一戦どうだ?」
「あら? わたくしと? 構いませんわ、わたくしも暇でしたし」
交渉はあっさりと成立した。
彼女が自分のデッキを隠したがるタイプなら無理だっただろうが、関門突破だ。
「よっしゃ! 俺はエド。宜しくな!」
「わたくしはミリア、お見知りおきを」
吸血鬼デッキの使い手はミリアというらしい。
去年は耳にした記憶が無い名前なのでやはり今年入ってきた大型新人と言ったところか。
交渉も成立し、エドがミリアの対面に座った所でゲームは開始した。
エドLP25
ミリアLP25
先攻 エド
「わたくしのターン、1枚引いて手札から
カウンターカード3枚をセット! ターン終了ですわ」
お互いに最初のターンを終える。
エドが攻めの態勢を作っているのに対してミリアは見と言った所か。
初対決の相手の伏せカード3枚と言ったら不気味でしかない。
エドLP25 ノード3
ミリアLP25 ノード1
「ドロー! 援軍を発動! 疾風の狙撃者で
朱鷺戸沙耶をサーチして召喚! 狙撃をスペルカード扱いで発動して2
ダメージ!」
エドの調子が上がってきた。
2ターン目にして狙撃回収コンボが可能な最高の状態まで持って行った。
ここでエドがターン終了宣言をする。
「それでは1枚引きかせて頂きますわ。手札を1枚捨ててフランドールを召喚!疾風の狙撃者にアタックしてターン終了しますわ」
吸血鬼デッキの片鱗。1枚目の吸血鬼……フランドールが姿を現す。
一撃で疾風の狙撃者を破壊する強力なパワー。
(早くも大ピンチってところか……)
エドLP23 ノード0
ミリアLP23 ノード2
「俺のターン、ドロー!」
バーンカードを期待してデッキからカードを引くもそう上手くは行かない。
引いたのは不運にも「弾丸」のカード。
ガンナーデッキの必須カードと言えばそうだが、この状況では何の役にも立たない。
フランドールのHPは2……手札の狙撃1発ではこの窮地は切り抜けられない。
しかもノード0のこの状況では、この1枚の狙撃を発動するのすら危険。
「ターンエンド」
「ドローして、フランドールのコストとして手札を1枚捨てますわ。フランドールで朱鷺戸沙耶にアタック、ターン終了ですわ」
状況はかなりきつい。
カウンターカードを投入しなかったのが裏目に出てしまったか?
フランドールの攻撃を防ぐ術が見つからない。
エドLP21 ノード1
ミリアLP23 ノード3
ドローで見事に魂魄 妖夢を引き当て、それをスリープで召喚するエド。
相手がフランドールという強力な
キャラクター故に時間稼ぎにしかならないが仕方ない。
魂魄 妖夢が破壊される前にバーンカードを引き当てなければ絶望的である。
「ドローしてコストを支払いますわ。オファーノードを発動してノードを補給。そしてフランドールで魂魄 妖夢にアタックですわ」
ミリアのノードが上限に達する。
維持コストとして支払っているのが手札故にノードが貯まりやすいのだ。
フランドールにカウンターカード3枚、そしてノードが6つ。
エドにとってはただ絶望でしかない。
エドLP21 ノード1
ミリアLP23 ノード3
「ドロー!
ライフケア発動!魂魄 妖夢のHPを2回復してターンエンド!」
ミリアの発動宣言したカードはフランドールのスペルカード。
ノード6つ全てを支払うという大型スペルカードである。
その対価としてミリアの
フィールドには「フランドールトークン」が3枚置かれる。
「更にわたくしはライフを2つ払って
奇襲作戦を発動しますわ。このターン、トークンはアタックが可能になります」
最悪だ。
あの攻撃を全部受けなければならないなんて。
フランドール本人とトークンの攻撃でまず妖夢が破壊され、そしてトークン2つのダイレクトアタック。
合計ダメージは9……大ダメージである。
(こりゃ凶悪だって噂されるわけだぜ……)
レベルの違いをひしひしと思い知るエド。
が、彼もまだ諦めているわけではなかった。
エドLP12 ノード1
ミリアLP21 ノード0
「ドロー!」
ここで引き当てたのは待ち望んでいた狙撃。
フランドールを破壊できる秘策!
相手のカウンターカードは気になるが、ここは進むしかない。
「狙撃を2枚発動!対象はフランドール!」
ミリアの反応を窺うがカウンターカードを発動する気配はない。
見事にフランドールの撃破に成功した!
「ターンエンド!」
「わたくしのターン、1枚引きましてターンエンドですわ」
先程からフランドールのコストとして手札を捨てていた為ミリアの手札はやっと1枚である。
仕掛けてくるまでには猶予がありそうだ。
エドLP12 ノード0
ミリアLP19 ノード1
「ドロー!
カウント・ダウンを発動! 更に疾風の狙撃者を召喚してターンエンド!」
フランドールという脅威が去り、キャラクターの召喚に躊躇いが無くなったエド。
更にこのターン引いたカウント・ダウンを発動し一気にミリアのLPを奪いに行く。
このままカウント・ダウンが発動し、レイジーエイトを引いてこれれば勝利が見える!
「ドローさせていただきますわ。手札から
エナジーライトを発動。2枚ドローしますわ」
ミリアの手が加速する。
この時点でミリアの手札は3枚に到達、危ないか?
「LPを1支払ってレミリア様を召喚しますわ!」
遂に吸血鬼デッキの
切り札であるレミリアが召喚されてしまった。
ただ、エドにとってこれは逆に好都合なのかもしれない。
レミリアのコストはLP……ガンナーの
バーンスピードが有れば押し切れるかもしれない。
「フィールドのフランドールトークン3枚を破壊してレミリア様のHP+6、疾風の狙撃者にアタックですわ」
エドLP10 ノード1
ミリアLP18 ノード0
カウント・ダウン 残り5ターン
兎に角時間稼ぎを繰り返すエド。
攻めを考えずにただ凌いでいるだけで相手のLPはどんどん減少していく。
そこを一気に叩くのが得策だ。
「ドローですわ! あら?引きましたわ、フランドール召喚!」
「な!?」
慌てるエド。
2枚目のフランドールが召喚されてしまったのだ無理もない。
先程、なんとか凌げたピンチの場面に加え、今回はレミリアも居るという状況。
この状況を切り抜けるのはかなり辛い……
「フランドールで集約の騎士にアタック、そしてレミリア様で直接攻撃ですわ!」
鬼のような攻め。
集約の騎士破壊による3ダメージ、そしてレミリアの直接攻撃……合計ダメージは7
万事休すか?
エドLP3 ノード2
ミリアLP16 ノード1
カウント・ダウン 残り4ターン
(手札には弾丸が1枚に朱鷺戸沙耶、このドローで有効なカードが引けなければ終わりか……)
と言ってもこの状況を逆転出来るカードなんてあるだろうか?
この絶望的な状況を一変させる……そんなカードが……
考えても仕方ない……
運命のドロー!
引いたのはエマージェンシータイフーン。
「俺はエマージェンシータイフーンを発動して2枚ドローするぜ!」
そして2枚……引いたのは……
狙撃、そしてミラージュスナイパー!
このターンのノード供給もありノードは今丁度2つ、レミリアは無理でもフランドールは撃破出来る!
「朱鷺戸沙耶を召喚! スペルカード<
銃符「ミラージュスナイパー」>
手札から狙撃1枚と弾丸1枚を捨ててフランドールとレミリアに2ダメージ!」
「カウンターカード発動させて頂きますわ、
肩代わり。フランドールの受けるダメージをLPから支払いますわ!」
ここに来てまさかのカウンターカード。
エドの作戦は完全に破綻してしまい、敗北が確定してしまう。
「お前つええな! ターンエンドだ」
満足したかのようにエドがターン終了宣言をする。
実力を完全に出し切って負けたのだ、エドは悔いを感じていない。
そしてミリアのターン。
吸血鬼姉妹のアタックによりゲームセットとなった。
最終更新:2011年07月19日 04:51