「…………以上が今回の大会で見所のある参加者です」

大会前日で湧きあがる学校、そことは別の場所に二人は居た。

「ふむ……ミリアにジルにスバル……10人だけなのか?」

「今年はレベルが高い大会なのですが、残念ながら」

「居らぬのか、私と愉楽を共有出来るプレイヤーは……」

椅子に座りながら足をパタパタとさせる小柄な少女。
彼女は飽いていた、そして寂しかった。
ワクワクしながら行ったXYZの専門学校。
それまで無敵だった自分と互角に戦える相手が居るんじゃないかと期待していた。
が、それは叶わなかった。
わざと自分の実力から劣るデッキを使用しても勝ってしまう現実。
彼女は今も無敵のまま……。

「例の彼の存在は?」

「! そうだったな! あいつが居たから私は今年の大会に出ようと思ったのだ」

「彼だけは別格です。放っておいたら間違いなく優勝するでしょう」

「うむ、人の形(なり)を象った悪魔……私と同じく無敵の者……」

少女は思い描いていた。
大会の決勝最終戦、テーブルを挟んで向かい合っている自分と悪魔の姿を。
彼と試合をすればきっと満足が出来るだろう。
その結果が勝つにしても負けるにしても。

「予選は問題ないですね。そして本戦も……」

「明日は楽しくなりそうだな」

ワクワクを隠せないかのように微笑んで少女は立ち上がる。
銀色の髪の毛を靡かせながら。

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最終更新:2011年11月11日 03:43