寂れた警察署の中、「S.T.A.R.S.」と書かれたベレー帽を被った等身大の柱型の豆腐が歩いていた。
ポウン…ポウン…と弾むような足音が響く。

目標の場所にたどり着いたのか立ち止まり、古ぼけた扉を開く。

其処には巨大な魔法陣と、何かを置く為の台座が置かれていた。

豆腐「うんしょ」

独特な声を響かせながら、何処からか「魚型の醤油差し」を取り出し、台座に置いた。

豆腐「あ〜しんど」

彼の名は「豆腐」。コードネームは「To-fu」。
様々な環境への高い適応能力で知られるが、其の素性を表に出し過ぎない影の諜報員だ。

低コストで良質な仕事をしてくれるので、近年では活躍の場を世界に広げている。 

水の品質が出来の決め手で、しっかりとした食感と濃厚な味わいが特徴だ。

そんな底知れない魅力を持つ彼に、どんな望みでも叶えるとされる万能の願望機「聖杯」を調べろという任務が下る。

任務を受けた彼は「聖杯」が実在するのか調べる為に「聖杯戦争」に己の身を投じる事にしたのだ。

豆腐「久しぶりやで〜」

「サーヴァント」を召喚する準備を整えた。
後は唱えるだけ──

豆腐「しばくぞっ!」

なのだが、何を思ったのか何処からかナイフを取り出して、魔法陣の中央に突き刺したではないか!

豆腐「やっぱナイフやで!」

そう誇らしげに言った瞬間、強い光と電撃が部屋を迸る。

豆腐「やめて〜!」

緊張感の無い声が響くと共に光は魔法陣の中央に刺さったナイフに集中するやいなや、小さな爆発が起こる。

豆腐「わ〜!」

爆発に驚く豆腐の前に現れたのは──

コンバット越前「なんだこの部屋は!?」

ふざけたような甲高い声の迷彩服を着た男が其処にいた。
見た所なんの変哲も無い傭兵だが、幾度も修羅場を潜り抜けた豆腐は男が「サーヴァント」であると瞬時に理解した。

コンバット越前「なんということらぁ!お前が俺のマスターなのかぁ!?」

ぷるんとした等身大の木綿豆腐が歴戦の戦士であると見抜いた越前は豆腐をマスターだと認めた。

豆腐「ほな、いこか〜」

コンバット越前「せっかくだから、俺はこの赤の豆腐を選ぶぜ!」

こうして豆腐と越前はふとした事から主従を交わした。
しかし今、「聖杯」の所有をめぐる激しい争いが
豆腐と越前に襲いかかる…。
最終更新:2020年10月11日 23:13