「聖杯」を調査する為に聖杯戦争に参加した
チェルシー。
彼女に呼ばれ、召喚に応じたサーヴァント──
GRAMはチェルシーに様々な事柄についての問いに全て答えた。
チェルシー「本当に実在していたとはね……とても興味深いよ」
GRAM「……マスター、お前には“叶えたい願い”があるのか?」
腕を組んでうんうんと頷いているチェルシーにGRAMは問を掛ける。
チェルシー「……あるよ」
GRAMの問にチェルシーは答える。
チェルシー「でも、それはその「聖杯」で叶えるものなんかじゃないのさ」
チェルシーの願いは“魔物”そして“竜”が現れぬ事。
だが、その願いは「聖杯」で叶えるようなものでは無い。
自分自身──いや、自分達で叶えなければならないものだ。
GRAM「……そうか」
その答にGRAMは納得したように頷いた。
チェルシー「セイバー、君も“願い”があるんだよね?」
GRAM「……いや、俺の“願い”は既に叶えている」
チェルシー「おや、そうなのかい?」
GRAMの答に首を傾げるチェルシー。
チェルシー「ボクに呼ばれて応じたからには何か“願い”があると思ったんだけど……」
恐らくサーヴァントにも叶えたい願いがあり、現界して来てくれる。
そして共に願いを叶えたい者同士で良い関係を築き上げ、戦地で背中を預け合い戦っていくのだろう。
それなのにこのGRAMなる異型のサーヴァントは“既に願いを叶えている”という。
「聖杯」に叶えたい願いが無い者同士がこの戦争に参加する。
イレギュラーな事態が起こっているのではないか?
GRAM「マスター」
そう考えていると、GRAMに声を掛けられる。
チェルシー「……どうしたんだい?」
GRAM「“反応”を検出した……気を付けろ」
それは自分達と同じ“サーヴァント使い”がいるという知らせだった。
森の中、一人の男がトボトボと歩いていた。
芋「クソ…」
男は女性のサーヴァントや魔術師を自らの能力で上手い事して美味しい思いをしようとしていたが…
芋「今日は厄日だ…」
男のサーヴァント──
せがた三四郎によって全て邪魔されていた。
芋「それもこれも全部あいつの…ん?」
森を抜けようとした時、男にあるものが見えた。
それは金髪ツインテールのダウナー系ゴスロリ美少女──チェルシーだ。
芋「へへへ…不幸中の幸いってやつか」
男はニヤリと笑みを浮かべる。
芋「あいつは修行だのなんだのでいねぇし…」
彼女をハーレムに向かい入れる為、男は飛び出す。
芋「ヤるなら今だァァァァァァァァァア!?」
次の瞬間、チェルシーにダイブしようとした男の目の前に金色の異型──GRAMが現れ、プラズマが帯電された盾の様な左腕によって弾き飛ばされ、綺麗に宙を舞った。
GRAM「…………」
チェルシー「出落ちもいいとこだね…」
地面に落ちる男を見てチェルシーは呆れながらそう呟く。
芋「うぐぐぐ…お、俺の可愛い子ちゃんが…」
男が立ち上がろうとすると……
遊びの道に魂込めた
一人の男が今日も行く
真面目に遊ばぬ奴らには
身体で覚えさせるぞ
何処からか歌が流れる。
GRAM「何だ……?」
チェルシー「この歌は…」
芋「げぇっ!」
三者三様な反応をしていると、白い道着を着た男──せがた三四郎が物凄い勢いで男に接近する。
せがた「うおりゃぁ!」
せがた三四郎!
せがた三四郎!
セガサターン・シロ!
芋「ぐぇあぁぁぁ!」
男はせがたに投げ飛ばされ、綺麗に宙を舞った。
チェルシー「まさか、君は……」
見覚えのある姿を見て、チェルシーはせがたに声を掛けようとする。
せがた「そこの君!」
が、それを遮るようにせがたはGRAMに声を掛けた。
GRAM「……何だ?」
せかだ「せがたゲームチャートSFアクション度満点!!」
そう言って満面の笑みを浮かべた後、チェルシーとGRAMに背を向ける。
せがた「……漢の背中」
夕焼けの一本道を歩き去っていく。
GRAM「……何だったんだ?」
チェルシー「……一つだけが言えるのは、“分かってる”って事だけだね」
滅多な事を言いながらチェルシーとGRAMはせがたを見送った。
芋「……く、くそ…俺の…ハーレムが……」
この後、男は6回投げられるのは言うまでもない。
最終更新:2020年10月27日 21:05