運命のラストバトル編②

バサッ!!



赤いマントを覆っていた人の正体は、なんと……チルノフのあこがれの存在だった『レッド』であった。

「やはりお前だったか、レッド!」共に観戦していた者たちもかなり驚いていた。

チルノフはというと、勿論歓喜していた。それもその筈、まさかこんな処で師匠に出会うことになるとは…

更に念願の夢であった師匠レッドを超える事を、成し遂げることができたからだ。

しかしレッドは、これから何処かへ行くようなセリフを言った。

チルノフは初め…旅にでも出かけるのかと思ったが、違った。

レッドは「望みを果たした。これで安心していけるんだ…。」と言う。

その発言で誰もが絶句した。

そう、レッドは………




























もう既に、死んでいたのだ。

















焦るチルノフ、泣く博士、見送るダーク、黙りこむハヤテ

辺りが悲しみに包まれた。


「 あぁ・・・・・俺の体は疾うに尽きた。ここにいるのは・・・未練を抱いた魂。自分を超えるほどのものが、自分に挑んでくる・・・そしてそいつが俺を超越する・・・。それが俺の・・・望みだった。 」



レッドは嬉しそうな顔で言った。

あまりの絶望に、周りの声など全く耳に入らなくなってしまったチルノフ。

そんなとき、レッドはチルノフに相棒を置いて行くといい、彼女にあのピカチュウを譲ったのだ。

チルノフはピカチュウを抱きしめた。

「こいつには・・・寂しい思いをさせてしまう。だが・・・きみのようなトレーナーがいれば、きっと・・・・・」

レッドの体が段々と薄くなっていく。

だがチルノフは泣かず、彼の手を握った。


「レ、レッド先輩…!…私、レッド先輩のためにも…頑張ります!!」



そしてレッドは「 ・・・・・おやすみ ぼくのピカチュウ・・・・・」と、呟いてこの世から消えてしまった…。

絶望のあまり泣くことができないチルノフ。しかし周りは皆おいおいと泣いていた。

泣くことのできないチルノフはただピカチュウを抱きしめた。

ピカチュウは抱きしめられ、彼女の悲しみを痛い程理解した。

「 …私のパートナーになってくれるか?」

チルノフはピカチュウに問う。ピカチュウはそれに黙って頷いた。




全てが終わったと思いきや、チャンピオンの奥の間から誰かがやってきた。

感動物の後は敵が出てくるのがお決まりだとは分かっていたが、こればかりは感動してしまう…。

「…マサラタウンのレッド・・・彼は誰よりも人とポケモンの共存を望んでいた。ボクに取って、彼はこの世の神様ともいえる存在だ…。」

奥の間から出てきたのは……Nだった。そう、彼はすでにレッドを倒して新チャンピオンとなっていたのだった。

Nの突然の出現にチルノフは我に返った。

そう…チルノフがこのポケモンリーグへ来た理由は、もう一つあったのだ。

それは、英雄Nとの決着だった。

Nは一部始終をずっと奥の間から見ていたのだった。そしてこう言った…

「彼のような人間がいれば、この世界の人とポケモンは仲良く渡り合えたはずだ。…けど現実はそう甘くはないね。彼がたった今亡くなった以上、もうこの世界も終わったようなものだ。 」

その言葉に怒り心頭に発したチルノフは、Nを睨みつける。

だがNは何事にも動じない。ただチルノフを見つめていた。

伝説のポケモン同士での決着を望むN。すると彼は突然片手をあげた。



「…地より出でよ!プラズマ団の城!このポケモンリーグを囲め!! 」




突如、ポケモンリーグ周辺で大きな揺れが発生した。

しかしこれは地震ではない。なんと、リーグの真下の地面から巨大な城が出現したのだ。

巨大な城はポケモンリーグを囲み、更にたくさんの黒い橋がリーグに突き刺さった。

Nは、あの巨大な城で全てを終わらせようと宣言した。


これが、本当に最後の戦い…

運命を賭けたラストバトルが今、始まろうとしていた…!


続き

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最終更新:2011年01月06日 21:43