紋章と前兆

〜西方面の山脈の間に聳える、とある城にて…〜

青いコートを来た少年「(右目と右唇が見える鉄仮面をつけた暗い金髪の少年は、王座の様な椅子に座っていた)…それで、ある程度の偵察は出来たのかい? 」

黄色いローブの男「ああ、ある程度の偵察は済んだぜ…だけどよ、これは俺の持っている能力だけじゃ駄目なのかも知れねぇ、って思ったぜ(頭は微動だにせず、ローブで素顔を隠したまま少年の方に歩み寄る) 」

青いコートの少年「…つまり、『力が欲しい』。そう言いたいんだろう?(椅子から立ち上がり、その横にある台から1つの『種』を取ってローブの男に顔を向ける) 」

黄色いローブの男「…その『種』で、俺に何をするつもりだ?(男はもう少年の目前に居た――鋭い目付きで少年を見る) 」

青いコートの少年「この『種』で…君に『紋章(メダリオン)』を与えるのさ(そう言うと、少年は男の手の甲に『種』を置いた…いや、植えた――――すると、男の手の甲に一瞬にして強烈な激痛が走る) 」

黄色いローブの男「…ッッ!?(激痛には反応したが、体は動かさずにいたままだった)フゥ……紋章なんか俺に付けて、一体俺に何の得があるってんだ?(窺う様な目線を少年の方に向ける) 」

青いコートの少年「知りたいのかい?…知りたいたなら、教えてあげるよ…こういうことさッ!(男に向けた少年の手の甲には、『Z』に十字と円が加わった様に象った紋章があった――その光った紋章の光が消えた先には、もうそこには誰も居なかった) 」

ォォォォォォ……ン(城の窓からは、鮮やかな紫の光が放たれていた)


美麗な花は一気に崩さず、花弁を一枚ずつ取って崩す方が面白い…『僕達の世界を滅ぼしたあの』世界の破壊もそれと同じ、まずは中小規模の邪魔者を消し去って、最後に大物を仕留める!

僕達『ディスティーノ』がなッ!!


(城の外から聞こえたこの声は、風に流され東の国まで飛んでいったと言う――――)



〜西の国に佇むディスティーノ城

青いコートの少年「(椅子に座ったまま、ホログラムらしき物でレゼリア国の状況を監視している)…さて、新しい『紋章』の実力…如何なものかな?」

青いコートの少年「…まぁ、それが分かった所で僕に見返りも得も無いけどね…ハハハハ…アッハッハッハ!!(無邪気であるかの様な、狂気を孕んでいるかの様な笑い声が城内に響いた) 」



青いコートの少年「(彼はまた、西方に佇む城の王座に座っていた)『カオスエメラルド』…混沌を形とした宝石。その中に詰められた混沌は尋常じゃないと言われるけど…果たしてそうかな?(窓から差し込む日の出を見つめながら呟く) 」

青いローブの青年「(淡い色のローブを羽織った青年は王座の前に膝を着き、まるで忠誠を誓うかのような体勢を取っていた)…はい、確かにあの宝石には規格外の混沌が形となっています――――――しかし、この様な事を聞いて…何をお考えなのですか? 」

青いコートの少年「―――――『代替品』を作るのさ、これでね(そういうと少年は王座の近辺にあったテーブルから石英のような鉱石を取り出す) 」

青いローブの青年「…? それは一体…?(石英のような物を見つめ疑問に思い) 」

青いコートの少年「これは『オーダラス』。言ってみれば混沌の対義語、『秩序』を宝石にしたものさ。そこに、『混沌』が加われば――――――真の『混沌』を手に出来るッ!(オーダラスを手にしながら、不気味な笑みを浮かべる) 」

青いローブの青年「では、尖兵としてこの私が―――――!(左手甲に浮かぶ『Ⅶ』の字に横線を数本か入れた形の紋章を光らせる) 」

青いコートの少年「…僕はまだ一言も発していないのに、何で『あの世界』にあると分かったんだい?…まぁいいよ。尖兵は既に送り込んである。その尖兵が力尽きた時、その時こそが――――――(立ち上がり、青年に背を向け数歩歩いた所で)――君の出番だ(立ち止まり、青年に横顔を向ける) 」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年03月29日 07:45