Bloody Requiem 過去ログ⑧

大変お手数ですが真下よりご閲覧ください






レイジェ「……(コートを靡かせながら誘い道を歩いていき、玄関の扉をゆっくりと閉め、豪雨の中、雨に打たれながら歩いていく) 」

その言葉に呼応するようにドアが開き豪雨が入り込んでくる、その瞬間人魂のような青い粒子が彼を誘うかのように風と共に玄関から外へ消え去った

レイジェ「……(レインド、俺は今、お前の気持ちが理解できた気がする……)(立ち上がってコートの裾を直し、水晶越しにサリーの顔を見つめ続ける)……自分を救えていない時点でお前の理想は叶う事はない……俺が阻止する…(決意を決めたか、コートをより羽織って暖炉の火を消す)俺はお前を許さない。サリー、だから待っていてくれ… 」

サリーは薄く氷のように冷たくそして硬い水晶で覆われていた、寧ろ、彼女そもにが人の形を成した水晶の人形であったかのように眠っている

レイジェ「……(違和感だ…)(クローゼットをそっと閉め、コートを着た後に後ろを振り返って紅い液体を流すサリーを目の中に入れる)……(ゆっくりと近づき、膝をついてサリーの顔を眺める)………(もう一人の方と分離したのか……それとも…)(そっとサリーの首筋に触れる) 」

レイジェ「(身体の痛みは吹き飛ばされた後の転がった衝撃のみ…)(ゆっくりと、膝から身体を起こして行き、目に残っている涙をそのままに立ち上がる)…この俺を、騙したツケはとってもらう…(歯を食いしばりクローゼットを乱暴に空け、中からコートを取り出す) 」

サリー「(返事はなかった。安心したように笑って背中に一筋の線を刻まれ床を夥しい血で染めながら倒れていた) 」

レイジェ「……ゴホッ!ゴホゲホ!(大きく咽せながら、その瞳に浮かべた涙を床で拭う)カアアアァァァァ……ッッッ!サリィィィィィィィアアアアア~~~~ッッッ!!!(暖炉の焔は一層強くなる) 」

しかし奇妙な事に…『レイジェ自身は無傷だった』


    ス パ ァ … ン


────レイジェが突っ伏すとほぼ同時に、サリーがそれを伝え終えると同時に、その散血は花が散るように舞い散った 」




サリー「(今まで騙しててごめんね…それと)……大好きだよ──────── 」

レイジェ「うげぇッ!(蹴りで突き飛ばされると、焔が滾る暖炉の目の前でうつ伏せに倒れ込む) 」

サリー「ニッ…(只の身代わり人形だったけど…もう少し、サリーでいても良かったかな…ああ、やっぱりもう少し生きてたいなぁ)……さよなら、レイジェ(硬質化した手刀は振るわず、予想外の殺傷力のない蹴りでレイジェを突き飛ばす) 」

レイジェ「(拳を作り、駆け出してきたサリー目がけ繰り出そうとするが)――(あぁ、やっぱりな、『覚悟』が、気持ちが……揺らいじゃったよ……)(拳は繰り出される事なく隙だらけになる) 」

サリー「……(暫くレイジェを睨みつけ…一瞬の悲壮感を漂わせる笑みの後駆け出す) 」

レイジェ「――(焔を纏い構えるが) 」

サリー「そう…わかってもらえないの。それじゃあ、仕方ないよね…(手刀を作りそれがダイヤモンドのように硬質化する)短い付き合いで残念だったな 」

レイジェ「サリー、お前がどういう考えがあり、何故そうしようと至ったかは俺には分からない。だが、世界全体を海に沈め、人間だけでなく地上の生き物すら殺す事になるその行為、俺はいかなる理由があっても恐らく『納得』できない。できるわけがない…… 」

サリー「(対象的に表情は全てを諦め切ったように柔らかになり微動だにしない)……酷いなぁレイジェさん、そんな目で見られるなんてショックだよ? 」

レイジェ「(ゆっくりと手を離し、サリーと一歩、距離を開ける)…皆が、救われるためだと…?(目つきが代わり、その目付きは彼が下衆な相手と対峙する時の目付きそのもの) 」

サリー「(降り注ぐ豪雨を一瞥し焦りの混じった微笑みを浮かべる)うん、もうすぐね。だって皆が救われるためなんだもの 」

レイジェ「(サリーの豹変ぶりに一瞬、一瞬焦りが見られたが、先ほどまであった覚悟を決めた顔に戻り、手は離していない)………まだ満足しちゃあいない……質問はまだある……世界全体を海に沈める気があるのか…?(シエラに聞かれた通りのストレートな質問をぶつける) 」

サリー「事実だけ伝えるよ、『ここにいる私はサリーじゃない』『そもそもサリーなんて最初から存在しなかった』『私は只の人形だった』あなたたちの知ってるサリーなんて…たふぁの見せかけの『人形』だよ…只私を作った女の子の魂を隠しておくための『人形』私が今まで言ってきたことは全部嘘、嘘なんだよ。あははは、これで満足?(口を綻ばせ横目でレイジェを舐め回すように見つめる) 」

レイジェ「…(俺は今『覚悟』を決めた……恐れる事はない。ほんのちょびっと、心が揺らぐだけだ…)…ありがとう…サリー… 」

サリー「(レイジェの言葉に圧倒され目を大きく見開き黙り込んで思わず顔を背ける)…………"わかった" 」

レイジェ「…(ゆっくりと距離を狭めていき)サリーッ!(大きく踏み出してサリーの片手を強く握る)いいかサリー!今、必要なのは打ち明ける事の『勇気』だ!サリーが怯える、怖いと思うその理由は俺には完璧には分からない、それを聞くのも俺は怖かった!だが、『勇気』を持ってして俺は質問をしたんだ!サリー、躊躇している場合じゃあない。今ここにいるお前はお前だけだ、それは事実だ!変わる事のない、『真実』だ。それに自信を持ってくれ! 」

サリー「ダメだよ…だって、だって今は『ここにはいない』…だって私は…今ここにいる私は……(後退りながら何かを打ち明けようとするが声を詰まらせレイジェとの距離が離れてゆく) 」

レイジェ「…サリー、今、俺はもう一人の『サリー』に用がある…『お前』じゃあない(半分程にまで削ったレモンをテーブルの上に置き、立ち上がる)もう一度言うぞ。もう一人の『サリー』と話しをさせてくれ 」

サリー「っ……あ、あいつが何だって言うの、どうでもいいじゃない…(口元を震わせ指を筋ばらせながらレイジェに縋るような眼差しを注ぐ) 」

レイジェ「言葉の通りだ(暖炉の火が瞳の中で小さく揺れており、その目付きに偽りの気配は一切ない)俺は冗談は言っていない…(喋り方も雑ではなく、丁寧になる) 」

サリー「……(絶句し雷の光を濡れた瞳が乱反射している)……やだ、いつからオカルトなんかにはまったの? 」

レイジェ「あ、あのな――(表情変わらず、口を動かしながら顔をあげサリーを見つめ、言葉が一瞬詰まるが決意を現したのか目が鋭くなる)……もう一人も『サリー』と話しがしたい 」

ザァァァァァ…(滝壺の近くにいるような激しい雨音が聞こえ始め、雷で室内が照らされる)

サリー「(レイジェの表情の変化を見て呆気にとられる)ど、どうしたの改まっちゃってさ 」

レイジェ「あのさ、話しがあるんだ…サリー…大事な話しが……(俯き加減だが、憂い漂う表情はよく見て取れる) 」

サリー「だらしないなぁ、すんすーん、レモンのかおりー(ハンガーに服を掛けながら冗談めかしく笑い)…う?(きょとんとして首を傾げる) 」

ブツンッ…(テレビが突然消える)

レイジェ「帰って早々床に服を投げ捨てるってのはそういうことだ…(ハハハと乾いた笑みを浮かべるが、シエラとの会話を思い出し、すぐに思い詰めた顔つきになる) 」

サリー「ずっとここで寝てたのだ!(デフォ顔でどやっ)…お仕事して疲れたん?(ぽんぽんとレイジェの頭を叩く) 」

レイジェ「玄関から入れ玄関からァァァ~~!!(椅子をぶっ倒す勢いで立ち上がってサリーに)神出鬼没ってのはお前の為にある言葉なのはよぉ~~~~~くわかった…(片手で顔を覆いながら疲れを示すため息を一つつき、再度腰をかける) 」

サリー「クラッカーボンレイ★(アメリカンクラッカーを鳴らしまくりながらクローゼットから出てくる) 」

レイジェ「あぁ?電波わりーのか?(眉を動かし、小さくため息をつきながらテレビの裏側を確認)…ちゃあーんとついてるもんはついてるしなー…(再度画面を見てため息を更に重ねる)…うざってーなぁ…こんなんじゃあここでの政治がわかんねーっての…(ゲームは妙な恐怖心があるから嫌だしなー…)仕方ない、今日は眠くなるまでボーッとするか…(椅子に座ってレモンをまた齧り、ほぼ土の天上を眺め上げる) 」

ザーーー(テレビから聞こえたのはアナウンサーの声でも、バラエティでの笑い声でもなく、タダの砂嵐)

レイジェ「情報収集は十分、レインドの居所の尻尾も掴めた、どんな組織で何をしているのかも辛うじてだが入手出来た…後はどうやってコンタクトを取れりゃいいのか…(冷蔵庫を閉め、中から取り出した冷えきったレモンを皮ごと齧る)…(ゲーム越しの存在もそうだが……今は何よりサリーの件が俺にとっては気がかりだ…どっしり負荷がかかってるぜ本当によォォ…)(テーブルに腰をかけ、テレビの電源を付ける) 」

レイジェ「ンッン~…(自宅の暖炉に火を灯し、部屋に明かりをつける)よっと(仕事で来ていたコートを床に脱ぎ捨て、テーブル前まで足を運ぶが、途中何かを思い出したかのように立ち止まりゲーム機に視線を向ける)…まだ、『雨』は来ていない…(ゲーム機に視線を向けた状態でそう呟くと、首を横に振り、視線を逸らす)ダメだ、まだ準備がなっちゃあいない。せめて今は……(冷蔵庫を勢いよくあけ、中の光が顔を照らす)とにかく力を蓄えよう… 」


──レイジェ宅──

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年10月12日 16:19