無数に存在する“空間”。
それを支配していく“時間”。
薄暗い光の中、辺り一面には明るい闇が広がっていた。
―――――それは天国でも地獄でもなく、どこでもない。
そんな場所が――――――――…… 確かに“ここ”には存在しているのだ。
中央に二つの影が見える。
男と少女が、楽しそうに遠くを見据えていた。
父と思われし男は少女を抱きかかえ、笑みを浮かべる。
そして―――――― その男が手を挙げた瞬間、明るい闇は一瞬にしてとある“景色”へと変化したのだった。
――――――――ほら、“見てごらん。”
“これが数多くの世界の内の一つ、『混沌世界』だよ”――――――――――――……
―――――――抱きかかえられた少女はただ、遠くに映し出される景色を輝かしい表情で眺めている。
『わぁ…!! ……綺麗だなぁ、行ってみたいなぁ……… 。』
その反応を見て、男は嬉しそうに……――――だがその反面、寂しそうな声色で呟いた。
―――“お前はまだ幼いから、地上で何が起こっているかが理解できていないのだね。”
―――――――反抗期故か、少女は膨れっ面で父に言い返す。
『――――! 何が起こってるかなんて関係ないよっ!人間になってみれば分かるハズだもん!』
男は慈悲深い表情で少女を見つめ、頭をそっと撫でた。
少女はそれが一体何を意味しているのかを汲み取ったのか、しゅんとした表情へと変わっていき――――――――……
『人間になってみれば―――…… きっ と、分 かる はずだ も ん ……… ――――――人間には、人間の都合があるんだ…… きっと… 。』
そう “呟いた” 。
男は少女を降ろすことなく、こちらを向かせ ……優しく抱きしめながら、ただ……… こう告げる 。
“そこまで言うのなら分かった。お前がもう少し大人になったら征っても良いだろう。”
“だが私は“向こう”には渡れない。 ……いいかい?”
つまり――……“独りで征かねばならないのだよ、『 』”――――――――……
『それでも…いい。 一人でも……いいから… 征って…みた い……… 』
“寂しくはないのかい?”
『寂しいけど…それでも、それを乗り越えてでも…… 探したいものがあるの。触れたいものが ……あるの。』
“そうか”――――…… ははっ… お前も成長したんだな、『 』…… 。
『お父さん、ごめんなさい――――……』
“いいんだよ… お前がこうやってどんどん大きくなっていくのを見届けるのが、私の“役目”なのだから”――――………
―――――そんな会話を交わしながら……二人はそっと、安からに…… 目を、閉じる――…… 。
―――――――――― A d r a s t e i a ――――――――――
―――――――― 遁 れ ら れ ざ る 運 命 の 女 神 ――――――――
――――歯車が、静かに廻り始める音がした。
“ 幸 ” か “ 不 幸 ” か ……
い い や 、 “ そ れ と も ” ――――――――………
《 The weaver of the universe usesboth strings... if this is the reason we call them destiny.. 》
《 Oh... Goddess... What kind of world will thou weave? 》