国連・子どもの権利委員会・一般的意見26号:とくに気候変動に焦点を当てた子どもの権利と環境(2023年)


CRC/C/GC/26(委員会によって第93会期(2023年5月8日~26日)に採択されたもの)
配布:一般(2023年8月22日)
原文:英語
日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF
このページには一般的意見26号の第1次草案の日本語訳を掲載していましたが、一般的意見26号が正式に発表されたことにともない、そちらの日本語訳と差し替えました。noteの記事からPDFを購入できるようにしていますので、関心のある方はご利用ください。(2023年9月1日)

目次(訳者が付したもの)
  • I.はじめに
    • A.環境に対する子どもの権利基盤アプローチ
    • B.国際人権法の発展と環境
    • C.世代間衡平性と将来世代
    • D.目的
  • II.条約の具体的権利と環境との関係
    • A.差別の禁止に対する権利(第2条)
    • B.子どもの最善の利益(第3条)
    • C.生命、生存および発達に対する権利(第6条)
    • D.意見を聴かれる子どもの権利(第12条)
    • E.表現、結社および平和的集会の自由(第13条・第15条)
    • F.情報へのアクセス(第13条および第17条)
    • G.あらゆる形態の暴力からの自由に対する権利(第19条)
    • H.到達可能な最高水準の健康に対する権利(第24条)
    • I.社会保障および十分な生活水準に対する権利(第26条および第27条)
    • J.教育に対する権利(第28条および第29条(1)(e))
    • K.先住民族の子どもおよびマイノリティ集団に属する子どもの権利(第30条)
    • L.休息、遊び、余暇およびレクリエーションに対する権利(第31条)
  • III.清浄、健康的かつ持続可能な環境に対する権利
  • IV.一般的実施措置(第4条)
    • A.子どもの権利を尊重し、保護しかつ充足する国の義務
    • B.子どもの権利影響評価
    • C.子どもの権利とビジネス部門
    • D.司法および救済措置へのアクセス(第4条)
    • E.国際協力
  • V.気候変動
    • A.緩和
    • B.適応
    • C.損失および損害
    • D.ビジネスと気候変動
    • E.気候資金

I.はじめに

1.気候緊急事態、生物多様性の崩壊および汚染の蔓延から構成される3重の惑星危機の広がりと規模は、世界中で、子どもの権利にとっての差し迫った全体的脅威となっている。持続不可能なやり方による天然資源の採取と利用は、汚染物質の排出および廃棄物を通じた広範な汚染とあいまって自然環境に甚大な影響を及ぼしており、そのために気候変動が加速し、水、待機および土壌の毒性汚染が激化し、海洋酸性化が生じ、かつ、生物多様性が、そしてすべての生命を支えかつ維持させる生態系そのものが荒廃しつつある。
2.これらの環境危機への注意を促そうとする子どもたちの努力こそ、この一般的意見を作成する動機およびはずみとなった。この一般的意見は、子どもの権利と環境に関して委員会が2016年に開催した一般的討議における子どもたちの貢献から、はかりしれないほどの利益を得た。11~17歳のアドバイザー12人から構成される多様かつ献身的な子どもアドバイザリーチームが、オンライン調査、フォーカスグループおよび対面の国内的・地域的協議を通じて実施された、121か国の子どもたち16,331人との協議のプロセスを支援してくれた。
3.協議に参加してくれた子どもたちからは、環境劣化と気候変動が自分たちの生活およびコミュニティに及ぼしている悪影響が報告された。子どもたちは、清浄、健康的かつ持続可能な環境で暮らす権利を次のように主張した。「環境は私たちの命です」「汚れた環境と汚染のせいで、幸せに暮らせない」「私たちの自由、生活の自由、健康を要求してください。私たちは、みなさん〔大人〕が小さかったころのようには〔生活を〕楽しめないんです」「大人は、自分たちが経験しない未来のことについて決めるのをやめる〔べきです〕。〔私たち〕こそが、気候変動を解決する鍵となる存在です。脅かされているのは〔私たちの〕生活なんですから」「あの人たち〔大人〕にこう言いたい。私たちは未来の世代で、あなたたちが地球を壊してしまったら、私たちはどこで暮らすんですか?!」[1]
4.人権擁護者である子どもたちは、変革の担い手として、人権と環境保護に歴史的貢献をしてきた。その地位が認識されるべきであり、世界的な環境危害に対処するために緊急のかつ断固たる措置をとるべきであるというその要求が実現されるべきである。
5.この一般的意見では気候変動に焦点を当てているものの、その適用範囲はいずれかの特定の環境問題に限定されるものではない。今後、たとえば技術的・経済的発展や社会の変化と結びついたものなど、新たな環境課題が生じる可能性もある。各国は、この一般的意見が、関連のすべてのステークホルダー(とくに子どもたち)に対して広く普及され、かつ、複数の言語および形式(年齢にふさわしくアクセシブルなバージョンを含む)で利用可能とされることを確保するべきである。

A.環境に対する子どもの権利基盤アプローチ

6.環境との関連で子どもの権利基盤アプローチを適用するためには、子どもの権利条約およびその選択議定書に基づくすべての子どもの権利を全面的に考慮することが必要である。
7.子どもの権利基盤アプローチにおいては、子どもの権利を実現するプロセスが結果と同じぐらい重要である。子どもたちは、権利の保有者として、環境危害から派生する自己の権利の侵害から保護される権利および環境のために行動する主体として認められかつ全面的に尊重される権利を有する。このようなアプローチをとる際にあたっては、不利な状況に置かれている子どもたちが自己の権利を享受・主張する際に直面する多数の障壁に、特段の注意が払われる。
8.清浄、健康的かつ持続可能な環境は、それ自体が人権であるとともに、広範な子どもの権利の全面的享受のために必要である。逆に、気候危機によってもたらされるものを含む環境劣化はこれらの権利の享受に悪影響を及ぼすのであり、不利な状況に置かれている子どもたちまたは気候変動にいちじるしくさらされる地域で暮らしている子どもたちにとってはなおさらである。子どもたちが、表現、平和的集会および結社の自由に対する権利、情報および教育に対する権利、参加しかつ意見を聴かれる権利ならびに効果的救済措置に対する権利を行使することは、権利がより遵守される、したがってより野心的で効果的な、環境政策へとつながりうる。このようにして、子どもの権利と環境保護は好循環を形成するのである。

B.国際人権法の発展と環境

9.条約は、第24条第2項(c)(「環境汚染の危険およびおそれを考慮しつつ」疾病および栄養不良と闘うための措置をとることを各国に義務づける規定)と第29条第1項(e)(「自然環境の尊重を発展させること」を目的として子どもの教育を行なうよう各国に求める規定)で、環境問題を明示的に取り上げている。条約が採択されて以降、子どもの権利と環境保護との間には広範な相互関係があることがますます受け入れられるようになってきた。前例のない環境危機と、その結果として生じている子どもの権利の実現にとっての課題は、条約の動的な解釈を要求するものである。
10.委員会は、その解釈に関連する努力として、(a)総会および人権理事会による、清浄、健康的かつ持続可能な環境に対する人権の承認、(b)人権と環境に関する枠組み原則、(c)国際環境法に基づいてすでに定められかつ発展しつつある規範、原則、基準および義務(国連・気候変動枠組み条約およびパリ協定など)、(d)人権と環境の関係を承認する地域レベルでの法的発展および先例、ならびに、(e)国際的協定、地域裁判所・国内裁判所の先例、国内憲法ならびに大多数の国による法律および政策における、清浄、健康的かつ持続可能な環境に対する一定の形態の権利の承認などに留意する。
[2] 総会決議76/300。
[3] 人権理事会決議48/13。
[4] A/HRC/37/59付属文書。
[5] A/HRC/43/53参照。

C.世代間衡平性と将来世代

11.委員会は、協議の対象とされた子どもたちが圧倒的に言及した、世代間衡平の原則および将来世代の利益を認識する。すでに地球に存在している子どもたちの権利については即時的かつ緊急の注意が必要とされる一方、途切れることなくやってくる子どもたちにも、自己の人権を最大限に実現される権利がある。各国は、条約に基づいて負う環境関連の即時的義務に留まらず、国による現在の作為または不作為の結果として生ずる予見可能な環境関連の脅威(そのような脅威の意味するところが完全に明らかになるのには数年、または数十年の期間さえ要する場合もある)についても責任を負う。

D.目的

12.この一般的意見における委員会の狙いは次のとおりである。
  • (a)気泡変動にとくに焦点を当てながら、環境劣化が子どもの権利の享受に及ぼす悪影響に対処する緊急の必要性を強調すること。
  • (b)環境保護への適用に関わる子どもの権利のホリスティックな理解を促進すること。
  • (c)条約締約国の義務を明らかにするとともに、気候変動にとくに焦点を当てながら環境問題との関連でとられるべき立法上、行政上その他の適切な措置についての有権的指針を提示すること。

II.条約の具体的権利と環境との関係

13.子どもの権利は、すべての人権と同様に、不可分であり、相互依存性および相互関連性を有している。環境劣化によってとりわけ脅かされやすい権利もあり、環境との関連で子どもの権利を保全するうえで有用な役割を果たす権利もある。たとえば教育に対する権利は、両方の側面を有する権利である。

A.差別の禁止に対する権利(第2条)

14.国は、直接・間接双方の環境差別を防止し、これらの差別から保護し、かつこれらの差別について救済を提供する義務を負う。子どもたちは全体として、また一部の集団の子どもたちはとりわけ、複数のおよび交差的な形態の差別を理由として、自己の権利の享受に関していっそうの障壁に直面している。これらの自由には、条約第2条でとくに禁止されているものおよび同条で言及されている「その他の地位」が含まれる。環境危害の影響は、一部の集団の子どもたち、とくに先住民族の子どもたち、マイノリティ集団に属する子どもたち、障害のある子どもたちおよび災害が生じやすい環境または気候に対して脆弱な環境で暮らしている子どもたちに対し、差別的な効果を及ぼす。
15.国は、もっともリスクにさらされている集団の子どもたちとくに注意を払いながら、環境関連の危害が子どもに及ぼす差異化された影響を明らかにするために細分化されたデータを収集するとともに、必要に応じて特別な措置および政策を実施するべきである。国は、環境問題を扱うすべての法律、政策およびプログラムが、その内容または実施において子どもたちを故意にまたは意図せずに差別することがないようにしなければならない。

B.子どもの最善の利益(第3条)

16.環境に関する決定は一般的に子どもに関わるものであり、子どもたちに影響を与える環境関連の決定の採択および実施に際しては、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されなければならない。これには、法令、政策、基準、ガイドライン、計画、戦略、予算、国際的協定および開発援助の提供が含まれる。環境に関するある決定が子どもたちに相当の影響を及ぼす可能性があるときは、子どもの最善の利益の評価および認定を行なうための、より詳細で、子どもたちの効果的かつ意味のある参加の機会を提供する手続を実施することが適切である。
17.子どもの最善の利益の認定には、環境関連の文脈において子どもが特有の脆弱性を有することにつながる具体的事情の評価が含まれるべきである。子どもの最善の利益を評価する目的は、清浄、健康的かつ持続可能な環境に関連するすべての権利の全面的かつ効果的な享受を確保することでなければならない。国は、環境危害から子どもを保護するのみならず、将来のリスクおよび危害の可能性を考慮しながら、子どものウェルビーイングおよび発達も確保するべきである [6]。
[6] 自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)、パラ16(e)、71および74。
18.あらゆる実施措置をとるにあたって、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保する手続にもしたがうことが求められる。子どもの権利影響評価が、子どもに関わって提案されるすべての政策、法令、予算その他の行政決定などのあらゆる実施措置を評価するために活用されるべきであり、かつ、諸措置が子どもの権利に及ぼす影響の継続的モニタリングおよび評価を補完するものとして位置づけられるべきである。
19.子どもの最善の利益と他の利益または権利との相反の可能性は、当事者全員の利益を注意深く比較衡量しながら、事案ごとに解決されるべきである。意思決定を行なう者は、子どもの最善の利益の優位性を適切に重視しながら、関係者全員の権利および利益を分析・衡量するよう求められる。国は、個々にはかつより短期的には合理的と思われる環境決定が、累積的には、かつ子どもたちに対してそのライフコース全体を通じて引き起こすであろう危害を十全に考慮した場合には、非合理的なものになりうる可能性を考慮するべきである。

C.生命、生存および発達に対する権利(第6条)

20.生命に対する権利は、気候変動、汚染および生物多様性の劣化を含む環境劣化によって脅かされている。これらの影響は、この権利の実現を阻害する他の根本的課題(貧困、不平等および紛争を含む)と緊密に関連している。国は、作為および不作為ならびにビジネス関係者の活動によって引き起こされる可能性のある予見可能な早すぎる死もしくは不自然な死および生命に対する脅威から子どもたちが保護されることを確保するため、積極的措置をとるべきである[7]。このような措置には、環境基準(たとえば、大気および水の質、食品の安全性、鉛への曝露ならびに温室効果ガス排出に関連するもの)および生命に対する子どもの権利の保護につながる他のすべての十分かつ必要な環境措置の採択および実施が含まれる。
[7] 自由権規約委員会、生命に対する権利についての一般的意見6号(2018年)、パラ62。
21.条約第6条に基づく国の義務は、生命に対する権利への直接の脅威につながるおそれがある環境条件から生ずる構造的および長期的課題にも適用されるのであり、これらの条件に対処するための適切な措置(たとえば、基礎的ニーズを満たすために必要な資源の持続可能な利用、健全な生態系および生物多様性の保護)をとることを要求する。環境条件によって生じる子どもの死亡を防止・削減するために、また脆弱な状況に置かれている子どもたちを対象として、特別な保護措置が必要である。
22.環境劣化は、子どもたちが、武力紛争の際、避難、食料不足および暴力の高まりを理由とする重大な権利侵害に直面するリスクを高める。武力紛争との関係で、国は、国際的コミットメントにのっとり、生物・化学・核兵器の開発または保有を禁止するとともに、これらの兵器の不発弾および残留物によって汚染された地域の浄化を確保するべきである。
23.環境劣化は、自己の発達上の可能性を全面的に発揮する子どもの能力を危うくし、条約に基づく他のさまざまな権利にも影響を及ぼす。子どもの発達は子どもが暮らす環境とからみあったものである。健康的な環境の発達面での利益には、屋外活動を経験する機会や、動物の世界を含む自然環境と交流しかつこのような自然環境のなかで遊ぶ機会と関連するものが含まれる。
24.低年齢の子どもは、特有の活動パターン、行動および生理機能のため、環境上の危険の影響をとりわけ受けやすい。脆弱性が高い発達期に有害汚染物質に暴露させられると、たとえ低水準の曝露であっても、脳、臓器および免疫系の成熟プロセスが容易に阻害されて、時として相当の潜伏期間を経た後に、子ども時代におよびその後に疾患や機能障害が引き起こされる可能性がある。環境汚染物質の影響が将来世代まで残る可能性さえある。国は、乳幼児期における有害物質および汚染への曝露の影響を一貫してかつ明示的に考慮するべきである。
25.国は、子ども時代の各段階、次の成熟・発達段階にとっての各段階の重要性および各段階における子どもの多様なニーズを認識するべきである。国は、発達に対する権利にとって最適な環境をつくり出す目的で、すべての年齢の子どもが可能なかぎり最大限に生存し、成長しかつ発達するために必要なすべての要素を明示的にかつ一貫して考慮するとともに、ライスコース中に存在するさまざまな環境上の決定要因に対処する、エビデンスに基づく介入策を立案・実施するよう求められる。

D.意見を聴かれる子どもの権利(第12条)

26.子どもたちは、自分たちの生活にとって高い重要性を有する問題として、環境問題を位置づけている。子どもたちの声は環境保護を求める強力な世界的勢力となっており、子どもたちの意見は、あらゆるレベルで、環境問題に関する意思決定に関わって関連性の高い視点と経験を付加している。子どもたちは、低年齢のころからでさえ、たとえば環境上の危険に関する早期警報システムの有効性といった論点について貴重な知見を提供することなどにより、環境問題の解決策の質を高めることができる。子どもたちの生活を根本的に形づくる重要かつ長期的な環境課題に対処するための措置の立案および実施において、子どもたちの意見が積極的に求められ、かつ正当に重視されるべきである。子どもたちは、参加および意見表明のために、アートや音楽のような創造的な表現手段を活用することもできる。不利な状況に置かれている子どもたち(障害のある子どもたち、マイノリティ集団に属する子どもたちおよび被害を受けやすい地域で暮らしている子どもなど)が意見を聴かれる権利を行使できるようにそのエンパワーメントを図るため、追加的な支援および特別な方策が必要になる場合もある。デジタル環境およびデジタルツールは、デジタルインクルージョンに関わる課題に正当な注意を払いながら慎重に活用すれば、子どもたちとの協議を増進させうるとともに、集団的アドボカシーなども通じて環境問題に効果的に関与していく子どもたちの能力および機会を拡大しうる [8]。
27.国は、子どもたちの意見が常態的に、かつ、地方・国・国際社会の各レベルで行なわれる、子どもたちに影響を及ぼす可能性がある立法、政策、規則、プロジェクトおよび活動に関する環境関連の意思決定プロセスのあらゆる段階で聴かれるようにするための、年齢にふさわしく、安全かつアクセシブルなしくみが設けられることを確保するべきである。自由な、積極的な、意味のあるかつ効果的な参加のため、子どもたちに対し、環境・人権教育、年齢にふさわしくアクセシブルな情報、十分な時間および資源ならびに支援的で力の発揮を可能にするような環境を提供することが求められる。子どもたちは、環境関連の協議の結果に関する情報および子どもたちの意見がどのように考慮されたかについてのフィードバックを提供されるべきであり、また環境との関連で意見を聴かれる権利がないがしろされた場合には子どもに配慮した苦情申立て手続および救済措置にアクセスできるべきである。
28.国際的レベルでは、各国、政府間機関および国際非政府組織が、環境に関連する意思決定プロセスへの子ども団体および子ども主導の組織またはグループの関与を促進するよう求められる。各国は、意見を聴かれる子どもの権利についての自国の義務が環境に関する国際的な意思決定プロセス(交渉および国際環境法文書の実施におけるものを含む)に編入されることを確保するべきである。環境関連の意思決定への若者参加を増進させるための努力は、子どもたちを包摂するものであることが求められる。

E.表現、結社および平和的集会の自由(第13条・第15条)

29.世界中の子どもたちが、気候変動の帰結を強調するなどの手段により、環境を守るために個別におよび集団的に行動を起こしている。国は、表現、結社および平和的集会の自由に対する子どもたちの権利を、環境との関連で尊重しかつ保護しなければならない。そのための手段には、子どもたちがこれらの権利を効果的に行使できる、安全で力の発揮を可能にする環境および法的・制度的枠組みを提供することも含まれる。表現、結社および平和的集会に対する子どもの権利は、法律にしたがって課され、かつ民主的社会において必要とされるもの以外の制限の対象とされてはならない。
30.環境問題に関して表現の自由に対する権利を行使する子どもたちまたは抗議に参加する子どもたち(環境人権擁護者である子どもたちを含む)は、脅迫、威嚇、ハラスメントまたは他の深刻な報復に直面することが多い。国は、人権擁護を目的として子どもたちが学校その他の場面で組織する取り組みのための安全でエンパワーメントにつながる環境を提供することなどにより、これらの子どもの権利を保護するよう要求される。国、警察など国の関係機関および教員を含むその他のステークホルダーを対象として、子どもたちの市民的・政治的権利に関する研修(子どもたちがこれらの権利を安全に享受できるようにするための措置に関するものを含む)が実施されるべきである。国は、結社の結成および結社への加入ならびに環境抗議への参加に関して、法律で定められかつ必要であるもの以外のいかなる制限も課されないことを確保するため、あらゆる適切な措置をとらなければならない。名誉毀損に関連するものを含む法律は、子どもの権利を抑圧する目的で第三者によって濫用されるべきではない。国は、人権擁護者である子どもを国際人権基準にしたがって保護するための法律を採択しかつ実施するべきである。国は、表現、平和的集会および結社の自由に対する権利の侵害に対して効果的救済措置を提供するよう求められる。
31.国は、市民的・政治的関与の重要な手段のひとつとして、環境の持続可能性および気候正義に対する子どもたちの積極的な貢献を推進し、認識しかつ支援するべきである。子どもたちは、このような関与を通じて、健康的な環境に対する権利を含む自己の権利の実現のための交渉および唱道を行ない、かつ国の責任を問うことができる。

F.情報へのアクセス(第13条および第17条)

32.情報にアクセスできることは、環境危害が子どもの権利に及ぼす可能性のある影響を子どもとその親または養育者が把握できるようにするために、不可欠である。それはまた、環境問題に関して自己の意見を表明し、意見を聴かれ、かつ効果的救済措置にアクセスする子どもの権利を実現するための、きわめて重要な前提でもある。
33.子どもたちは、正確で信頼できる環境情報にアクセスする権利を有する。このような情報には、気候・環境危害の原因、影響ならびに実際のおよび現実の危害源、適応対策、関連の気候・環境法令、気候・環境影響評価の知見、政策および計画、ならびに、持続可能なライフスタイルに関するものが含まれる。このような情報は、廃棄物管理、リサイクルおよび消費行動に関連して身のまわりの環境でできることを学ぶための、子どもたちのエンパワーメントにつながる。
34.国は、環境情報を利用可能とする義務を負う。普及の手法は、子どもの年齢および能力にとって適切であり、かつ非識字、障害、言語の障壁、距離および情報通信技術へのアクセスの制約といった障害の克服を目指すものであるべきである。国は、マスメディアに対し、環境に関わる正確な情報および資料(たとえば、気候変動関連災害に関わるリスク管理のために子どもやその家族がとりうる方策など)の普及を奨励するよう求められる。

G.あらゆる形態の暴力からの自由に対する権利(第19条)

35.気候危機を含む環境劣化は、子どもたちに対する構造的暴力の一形態であり、コミュニティおよび家族における社会的崩壊を引き起こしうる。貧困、経済的・社会的不平等、食料不足および強制された避難は、子どもたちが暴力、虐待および搾取を経験するリスクを高める。たとえば、より貧困な世帯は、気候変動によって引き起こされまたは悪化させられるものを含む環境関連の衝撃(海面上昇、洪水、サイクロン、大気汚染、極端気象現象、砂漠化、森林崩壊、干ばつ、火事、暴風雨および生物多様性の喪失など)への耐性がいっそう低い。このような衝撃によってもたらされる金銭的困難、食料および清潔な水の不足ならびに子ども保護制度の弱体化により、家族の日課が阻害し、子どもの負担が増し、かつ、ジェンダーに基づく暴力、児童婚、女性性器切除、児童労働、誘拐、人身取引、避難、性的暴力・搾取ならびに犯罪集団・武装集団・暴力的過激主義集団への勧誘への子どもの脆弱性が高まる。子どもたちは、あらゆる形態の身体的・心理的暴力から、かつドメスティックバイオレンスまたは動物への暴力のような暴力にさらされることから、保護されなければならない。
36.子どもサービスへの投資は、世界中で子どもたちが直面している全般的な環境リスクを相当に低減させうる。国は、環境劣化と関連した子どもに対する暴力の助長要因に対処するため、部門横断的な措置をとるべきである。

H.到達可能な最高水準の健康に対する権利(第24条)

37.健康に対する権利には、到達可能な最高水準の健康の実現のために必要とされるさまざまな便益、財、サービスおよび条件(健康的な環境を含む)の享受が含まれる。この権利は、条約に基づく他の多くの権利の享受に依存していると同時に、これらの権利を享受するために欠かせないものである。
38.条約第24条(2)(c)で明示的に認められているとおり、環境汚染は子どもの健康に対する主要な脅威のひとつである。しかし、多くの国では汚染がしばしば見過ごされており、その影響が過小評価されている。飲料水の欠如、不十分な衛生設備および世帯内空気汚染は、子どもの健康を深刻に脅かすものである。過去・現在の産業活動に関連する汚染(有害毒性物質および有害廃棄物への曝露を含む)は、健康にとってより複雑な脅威となるものであり、曝露から長期間を経ても影響が残ることが多い。
39.気候変動、生物多様性の喪失および生態系の劣化は、健康に対する子どもの権利の実現を妨げる障壁である。これらの環境要因は相互に作用し、すでに存在する健康格差を悪化させることが多い。たとえば、気候変動が引き起こす気温上昇は、節足動物媒介性疾患および動物由来感染症のリスクや、脳・肺の発達を妨げて呼吸器系の病態を悪化させる大気汚染物質の濃縮リスクを高める。気候変動、汚染および有害物質はいずれも、生物多様性の憂慮すべき喪失や、人間の健康の土台となる生態系の劣化の主要な助長要因である。具体的な影響としては、子どもの免疫系の発達にとってきわめて重要な微生物多様性の減少や、長期的影響を及ぼす自己免疫系疾患の有病率の上昇などがある。
40.大気汚染、水質汚染、毒性有害物質(化学肥料を含む)への曝露、土壌劣化その他のタイプの環境危害は、子どもの死亡率、5歳未満児の死亡率を高めるとともに、疾病の万円、脳の発達不全およびその後の認知障害を助長する。水不足、食料不足、節足動物媒介性疾患および水系感染症、大気汚染の激化、ならびに、突発的現象と緩やかに進行する現象の双方に関連して生ずる身体的・心理的外傷といった気候変動の影響を不均衡にこうむっているのは、子どもたちである [9]。
[9] たとえばIntergovernmental Panel on Climate Change, Sixth Assessment Report, Summary for Policymakers, figure SPM.1 参照。このデータは、気候変動が2020年に生まれた人々に及ぼす不均衡な累積的・長期的影響を明らかにしている。
41.もうひとつの懸念は、子どもたちが現に抱えておりかつ今後抱えることが予想される、環境危害(気候変動関連現象を含む)を原因とする心理社会的・精神的健康問題である。環境危害と子どもたちの精神的健康との間にある、明確かつ新たに明らかになりつつある関係(抑うつや環境不安症など)に対し、公衆衛生当局および教育当局が、対応面でも予防プログラムの面でも緊急の注意を向けることが必要とされる。
42.国は、環境および環境の双方に関わる自国の国家的計画、政策または戦略に、子どもに関連する環境保健上の懸念に対処するための措置を統合するべきである。立法上・規制上・制度上の枠組み(ビジネス部門に対応する規制を含む)は、子どもたちが生活し、学び、遊びかつ働く場所で子どもたちの環境保健を効果的に保護するようなものであることが求められる。環境保健基準は、利用可能な最良の科学およびあらゆる関連の国際的ガイドライン(世界保健機関が定めるものなど)合致したものであるべきであり、かつ厳格に執行されるべきである。条約第24条に基づく国の義務は、子どもの健康にとっての越境的・世界的脅威に対処するための環境協定を策定しかつ実施する際にも、適用される。
43.健康に対する権利には、環境危害の影響を受けている子どもが公衆衛生・保健ケアのための質の高い便益、財およびサービスにアクセスできることも含まれるのであり、かつ、サービスが行き届いていない層およびサービスを届けにくい層に対して、また質の高い出生前妊婦ケアを全国で提供することに対して、特段の注意が向けられるべきである。便益、プログラムおよびサービスには、環境保健に関わる危険に対応する体制が備わっていることが求められる。健康の保護は、子どもたちが健康的な生活を送るために必要な諸条件(安全な気候、安全かつ清浄な飲料水および衛生設備、持続可能なエネルギー、十分な住居、十分な栄養価のある安全な食料ならびに健康的な労働条件など)にも適用される。
44.質の高いデータが利用できることは、気候・環境保健上のリスクからの十分な保護のために、決定的重要性を有する。国は、子どものライフコース全体ならびに子どもが各ライフステージで直面する脆弱性および不平等を考慮しながら、環境危害がもたらす地方的・全国的・越境的な健康面への影響(死亡および疾病の原因を含む)の評価を実施するべきである。優先すべき懸念、気候変動の影響および新たに生じる環境保健上の問題を明らかにすることが求められる。通常の保健情報システムを通じて収集されるデータに加え、たとえば発達の臨界期におけるリスクを捕捉する縦断的コーホート研究および妊婦・乳児・児童研究のための調査が必要である。

I.社会保障および十分な生活水準に対する権利(第26条および第27条)

45.子どもは、その身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達のために十分な生活水準に対する権利を有する。清浄、健康的かつ持続可能な環境は、この権利(十分な住居、食料安全保障ならびに安全かつ清浄な飲料水および衛生設備に対する権利を含む)を実現するための前提である [10]。
[10] 社会権規約委員会、水に対する権利についての一般的意見15号(2002年)、パラ3、および、子どもの権利委員会、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見 15号(2013年)、パラ48。
46.委員会は、十分な住居、食料、水および衛生設備に対する権利が、材料消費、資源およびエネルギーの利用ならびに空間および自然の占用との関連も含め、持続可能な形で実現されるべきであることを強調する。
47.環境危害への曝露には直接的原因と構造的原因の両方が存在し、このような曝露によって子どもの多元的貧困の影響が悪化する。環境との関連でとくに関連してくるのは、条約第26条で保障されている社会保障である。国は、社会保障政策および社会的保護の土台に、気候・環境関連の衝撃および緩やかに進行する危害(気候変動によるものを含む)からの保護を子どもたちおよびその家族に提供するような機能を導入するよう促される。国は、環境リスクに対してもっとも脆弱な地域で、子ども中心の貧困緩和プログラムを強化するべきである。
48.避難民である子どもを含む子どもは、国際人権基準に合致した十分な住居にアクセスできるべきである。住居は持続可能性と耐性を備えたものであるべきであり、汚染地区または高い環境劣化リスクに直面している地域に建設されるべきではない。住宅は、調理、暖房、照明および適切な換気のための安全かつ持続可能なエネルギー源を備え、かつカビ、毒性有害物質および煙から自由であることが求められる。廃棄物やゴミの効果的管理、交通、過度な騒音および過密からの保護、ならびに、安全な飲料水および衛生・個人衛生設備へのアクセスが備わっているべきである。
49.子どもは、事前に十分な代替的住居を提供されることなく強制立退き(エネルギー対策や気候緩和・適応対策に関連する移転を含む)の対象とされるべきではない。子どもの権利影響評価がそのようなプロジェクトの前提とされるべきである。先住民族の子どもの伝統的土地を保全すること、および、これらの子どもの権利(十分な生活水準に対する権利を含む)を享受するための自然環境の質を保護することに対し、特段の注意を払うことが求められる [11]。
[11] 先住民族の子どもとその条約上の権利についての一般的意見11号(2009年)、パラ34および35。
50.委員会は、気候・環境関連の現象に関連する国境を越えた避難および移住の状況における国際協力の重要性、および、自国の管轄内にあるすべての子どもに対して差別なく条約上の権利を確保するためにすべての適切な立法上、行政上その他の措置をとる各国の義務を強調する。

J.教育に対する権利(第28条および第29条(1)(e))

51.教育は、環境に対する子どもの権利基盤アプローチの土台となるもののひとつである。子どもたちは、子どもの権利および環境を保護するうえで、また環境損害に関する意識および備えを強化するうえで教育が有用であることを強調してきた。しかし、教育に対する権利は環境危害の影響を非常に受けやすい。そのような危害は、学校の閉鎖・中断、学校からの脱落、学校や遊び場の破壊をもたらしうるためである。
52.子どもの教育が自然環境の尊重を発展させることを目的として行なわれるよう求める条約第29条(1)(e)の規定は、環境に関する価値観を反映した教育を受ける権利をすべての子どもが有することを確保するため、条約第28条とあわせて解釈されるべきである [12]。
[12] 教育の目的(第29条1項)についての一般的意見1号(2001年)、パラ13。
53.権利を基盤とする環境教育は、変革につながる、インクルーシブな、子どもを中心とした、子どもにやさしくかつエンパワーメントにつながるようなものであるべきである。そこでは、子どもの人格、才能および能力の発達を追求し、自然環境の尊重と条約第29条(1)に掲げられた倫理的価値との緊密な相互関連性を認知し、かつ、地域志向およびグローバル志向の両方を備えることが求められる [13]。学校カリキュラムは、子どもたちが置かれている特有の環境的・社会的・経済的・文化的背景にあわせて調整され、かつ、環境劣化の影響を受けている他の子どもたちの背景に関する理解を促進するようなものであるべきである。教材は、科学的に正確で、最新の、かつ発達段階および年齢にふさわしい環境情報を提供するようなものであることが求められる。すべての子どもが、人生のなかで生じることが予想される環境課題(災害リスクおよび環境関連の健康上の影響など)に向き合うために必要なスキルを身につけられるようにするべきである。このようなスキルには、そのような課題について批判的に熟考する能力、問題解決能力、バランスのとれた決定を行なう能力、および、持続可能なライフスタイルおよび消費などを通じ、発達しつつある能力にしたがって環境上の責任を担っていく能力が含まれる。
[13] 前掲、パラ2、12および13。
54.教育に従事するすべての専門家の教育および研修に、教授法、テクノロジーおよび教育において使用される諸アプローチ、学校環境ならびに子どもがグリーンジョブに向けた準備をできるようにすることを包含する形で、環境に関する価値観を反映させることが求められる。環境教育は、正規の学校教育に留まらず、幅広い範囲の生きた経験および学習を包含するものである。屋外学習のような、探求型の形式ばらない実践的手法は、このような教育目的を実現する望ましい方法のひとつとなる。
55.国は、効果的な学習のための、物理的に安全かつ健康的な、耐性のあるインフラを構築するべきである。これには、徒歩・自転車による通学路および学校への公共交通機関が利用できるようにすること、学校および代替的学習施設の設置場所と汚染、洪水、土砂崩れその他の環境上の危険の発生源(汚染地域を含む)との間に安全距離が確保されるようにすること、ならびに、十分な冷暖房、十分な量の安全かつ受け入れ可能な飲料水 [14] および衛生設備を備えた校舎および教室を建設することが含まれる。再生可能エネルギーによる照明・暖房および食用植物園を備えたもののような環境にやさしい学校設備は、子どもたちにとって利益となり、かつ国による環境関連の義務の遵守の確保につながりうる。
[14] 社会権規約委員会、一般的意見15号(2002年)、パラ12(c)(i)および16(b)。
56.水不足、砂嵐、熱波その他の荒天現象の最中およびその後に、国は、とくに遠隔地または村落部の子どもを対象として学校への物理的アクセスを確保し、または移動式教育施設や遠隔学習のような代替的教育手法を検討するべきである。サービスが十分に行き届いていないコミュニティを、学校の気候変動耐性強化および改修の優先的対象とすることが求められる。国は、学校がシェルターとして利用されないようにするため、避難民のための代替的住居を可能なかぎり早期に確保するべきである。すでに武力紛争の影響を受けている地域で荒天現象により引き起こされた緊急事態に対処する際には、国は、学校が武装集団の活動の標的とならないことを確保するよう求められる。
57.国は、環境劣化が子どもたちの教育に及ぼす不均衡な間接的効果およびドミノ効果を認識し、これに対処するべきである。その際、環境関連の衝撃およびストレスに直面している世帯で、追加的な家事負担・経済的負担のために子どもが学校を離れることのような、ジェンダー固有の状況に特別な注意を払うことが求められる。

K.先住民族の子どもおよびマイノリティ集団に属する子どもの権利(第30条)

58.先住民族の子どもたちは、生物多様性の喪失、汚染および気候変動の影響を不均衡に受けている。国は、生命、生存および発達に対する先住民族の子どもの権利を確保しつつ、森林崩壊などの環境危害が伝統的な土地および文化ならびに自然環境の質に及ぼす影響を綿密に考慮するべきである。国は、緩和・適応措置において先住民族文化および伝統的知識の諸概念を正当に考慮しかつ統合しながら、環境危害(気候変動によって引き起こされる危害を含む)への対応に、先住民族の子どもたちおよびその家族の関与を意味のある形で得るための措置をとらなければならない。先住民族コミュニティの子どもたちは、特有のリスクに直面している一方、地元の危険の影響を低減させかつ耐性を強化するための伝統的知識が受け継がれかつ支えられるのであれば、これらの知識の適用に関して教育者および唱道者として行動することもできる。その権利、生活様式および文化的アイデンティティが自然と密接に関連している非先住民族マイノリティ集団に属する子どもたちの権利に関しても、同等の措置がとられるべきである。

L.休息、遊び、余暇およびレクリエーションに対する権利(第31条)

59.遊びとレクリエーションは子どもの健康およびウェルビーイングにとって不可欠であり、創造性、想像力、自信、自己効力感ならびに身体的・社会的・認知的・情緒的な強みおよびスキルの発達の促進につながる。遊びとレクリエーションは学習のあらゆる側面に貢献し、子どものホリスティックな発達にとってきわめて重要であり [15]、かつ、自然界および生物多様性を探求・経験する重要な機会を子どもたちに提供して、子どもの精神的健康およびウェルビーイングのために役立ち、かつ理解力、評価能力および自然環境への配慮に貢献するものである。
60.逆に、安全性を欠いた危険な環境は条約第31条(1)に基づく権利の実現を阻害するものであり、子どもの健康、発達および安全にとってのリスク要因である。子どもたちは、自宅に近くて環境上の危険がない、インクルーシブな遊びの空間を必要としている。気候変動の影響によってこのような課題が悪化する一方、世帯所得にかかる気候変動関連のストレスにより、休息、余暇、レクリエーションおよび遊びのために子どもたちが使える時間が減り、かつこれらの活動に従事する子どもたちの能力が減衰してしまう可能性がある。
61.国は、すべての子どもが、安全、清浄かつ健康的な環境(自然空間、公園および遊び場を含む)で差別なく遊び、かつレクリエーション活動に携われることができるようにするため、効果的な立法上、行政上その他の措置をとらなければならない。村落部・都市部の双方における公共計画においては、子どもたちの意見が正当に重視されるべきであり、また子どもたちのウェルビーイングを促進する環境づくりが優先的に取り組まれるべきである。次のことを検討するよう求められる――(a)遊びやレクリエーションのための緑化区域、広い開放空間および自然に、安全、負担可能かつアクセシブルな移動手段によってアクセスできるようにすること、(b)汚染、危険な化学物質および廃棄物がない、自由な遊びのための安全な地域環境をつくること、ならびに、(c)世帯、学校および遊び場の近くにおける汚染水準を低減させるための道路交通措置(遊ぶ子ども、歩行者である子どもおよび自転車に乗る子どもが優先される区域の設計によるものを含む)をとること。
62.国は、第三者が条約第31条を遵守することを確保するための法令およびガイドラインを、必要な予算配分および効果的な監視・執行のしくみとあわせて導入するべきである。第三者による遵守を確保するための手段には、すべての玩具ならびに都市部・村落部の開発プロジェクトにおける遊びおよびレクリエーションのための施設について、安全基準(とくに毒性有害物質に関するもの)を定めることが含まれる。気候変動関連災害の状況においては、安全な空間の創設または復旧ならびにレジリエンスおよび心理的癒しを促進するための遊びおよび創造的表現の奨励などの手段を通じ、これらの権利を回復・保護するための積極的措置がとられるべきである。

III.清浄、健康的かつ持続可能な環境に対する権利

63.子どもたちは、清浄、健康的かつ持続可能な環境に対する権利を有する。この権利は、とくに生命、生存および発達に対する権利(第6条)、到達可能な最高水準の健康(環境汚染の危険およびおそれを考慮されることを含む)に対する権利(第24条)、十分な生活水準に対する権利(第27条)ならびに教育(自然環境の尊重を発展させることを含む)に対する権利(第29条)に黙示的に含まれており、かつこれらの権利と直接結びついているものである。
64.この権利の実体的要素は、そこに清浄な大気、安全かつ安定した気候、健全な生態系および生物多様性、安全かつ十分な量の水、健康的で持続可能な食料ならびに有害ではない環境が含まれることに鑑み、子どもたちにとっていちじるしい重要性を有している [16]。
65.子どもたちのためにこの権利を実現することに向けて、委員会は、各国が次の行動を直ちにとるべきであると考える。
  • (a)子ども、とくに5歳未満児の死亡を防止するため、屋内外の空気汚染を低減させることによって空気の質を改善すること。
  • (b)水系感染症が子どもの間で広がることを予防するため、安全かつ十分な量の水および衛生設備ならびに健全な水界生態系へのアクセスを確保すること。
  • (c)栄養不良を防止し、かつ子どもたちの発育および発達を促進する目的で健康的かつ持続可能な食料生産を図るため、工業型農漁業を変革すること。
  • (d)気候危機に対処するため、石炭、石油および天然ガスの使用を段階的に廃止し、公正かつ正当なエネルギー源の移行を確保し、かつ再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵およびエネルギー効率に投資すること。
  • (e)生物多様性を保全し、保護しかつ回復させること。
  • (f)子どもたちの健康および海洋生態系にとって有害な物質を海洋環境に直接的または間接的に投下することを禁止することにより、海洋汚染を防止すること [17]。
  • (g)子どもたちに健康面で不均衡な悪影響を及ぼす毒性有害物質(とくに発達神経毒性を有する物質)の製造、販売、使用および排出を綿密に規制し、かつ適宜撤廃すること [18]。
[17] 北東大西洋の海洋環境の保護に関する条約、第2.2条(a)。
[18] A/HRC/49/53参照。
66.情報へのアクセス、意思決定への参加および子どもにやさしい司法へのアクセス(効果的な救済措置をともなうもの)を含む手続的要素は、教育なども通じた、自分自身の運命の担い手となるための子どもたちのエンパワーメントにとって、同様に重要である。
67.国は、説明責任を強化するため、清浄、健康的かつ持続可能な環境に対する子どもの権利を国内法に編入し、かつその実施のために十分な措置をとるべきである。この権利を、子どもたちに関わるすべての決定および措置(教育、余暇、遊び、緑地へのアクセス、子どもの保護、子どもの健康および移住に関する政策ならびに条約の実施のための国家的枠組みを含む)全体で主流化することが求められる。

IV.一般的実施措置(第4条)

A.子どもの権利を尊重し、保護しかつ充足する国の義務

68.国は、子どもの権利の尊重、保護および充足のために、清浄、健康的かつ持続可能な環境を確保するべきである。子どもの権利を尊重する義務に基づき、国は、環境危害を引き起こすことによって子どもの権利を侵害しないよう要求される。国は、企業の規制などの手段により、他の危害源からのおよび第三者による環境被害から子どもたちを保護しなければならない。締約国はまた、子どもたちの権利に対する環境上の危険の影響を、たとえそのような脅威が不可抗力によるものであっても、たとえば包摂的な早期警報システムを設置することにより、防止・緩和する義務を負う。国は、クリーンエネルギーに移行することならびに水資源の持続可能な利用を確保するための戦略およびプログラムを採択することなどの手段により、子どもたちが清浄、健康的かつ持続可能な環境に対する権利を含む自己の権利を享受できることを容易にし、促進しかつそのための体制を整える義務を充足するため、緊急の措置をとらなければならない。
69.国は、合理的に予見可能な環境危害および子どもの権利侵害から子どもたちを保護するため、予防原則を正当に考慮しながら適切な防止措置をとるデューディリジェンス(相当の注意・配慮)の義務を負う。これには、政策およびプロジェクトの環境面での影響を評価すること、予見可能な危害を特定しかつ防止すること、そのような危害の防止が不可能である場合にはその緩和を図ること、および、予見可能な危害と現在の危害の双方を是正するための時宜を得た効果的な救済措置を設けることが含まれる。
70.国はまた、環境との関連で行使される子どもたちの権利を尊重し、保護しかつ充足する義務も負う。権利を尊重する義務は、国に対し、環境関連の事柄に関する子どもたちの意見表明権を制限するいかなる行動もとらず、正確な環境情報へのアクセスを阻害せず、かつ、環境リスクに関わる誤った情報および暴力またはその他の報復のリスクから子どもたちを保護することを要求するものである。充足する義務は、国に対し、意見を聴かれる子どもたちの権利に対する社会の否定的な態度と闘い、かつ、環境に関する意思決定への意味のある子ども参加を促進することを要求する。
71、国は、環境に関連する子どもたちの権利(健康的な環境に対する権利を含む)の全面的かつ効果的享受を達成することに向けて、計画的、具体的かつ焦点化された措置をとらなければならない。そのための手段には、科学に基づいており、かつ環境保健・安全に関する関連の国際的ガイドラインに合致した法律、政策、戦略または計画を策定すること、ならびに、子どもの保護を低下させる後退的措置をとらないことが含まれる。
72.国は、環境との関連で子どもたちの権利を実現するために、自国の利用可能な資源を最大限に利用して、かつ必要なときは国際協力の枠組みのなかで、財源、天然資源、人的資源、技術的資源、制度的資源および情報資源を振り向ける義務を負う [19]。
73.国は、国際法上のすべての義務(自国が当事国となっている多国間環境協定に掲げられた義務を含む)にしたがうことを条件として、利用可能な資源に照らし、環境保護の適切な水準を決定することとその他の社会的目標を達成することとの間で合理的バランスを定める裁量権を維持する。ただし、そのような行動の余地は条約に基づく国の義務によって限定される。子どもたちは、環境劣化による深刻な危害(不可逆的で生涯にわたる影響および死亡を含む)をこうむる可能性が大人よりもはるかに高い。したがって国は、いっそう高度な配慮義務に鑑み、このような不均衡かつ長期的な影響から子どもたちを保護する環境基準を設定しかつ執行するべきである [20]。
[20] A/HRC/37/58, paras. 56 and 57.
74.国は、環境危害(気候変動関連の危害が子どもたちの権利に及ぼすリスクおよび実際の影響を含む)についての、信頼でき、定期的に更新されかつ細分化されたデータおよび調査研究の収集を確保するよう求められる。これには、子どもたちの権利、とくにさまざまな年齢の子どもの健康、教育および生活水準に及ぼす影響についての縦断的データが含まれるべきである。これらのデータおよび調査研究は、あらゆるレベルにおける環境関連の法律、政策、プログラムおよび計画の策定および評価において参考とされるべきであり、かつ公に利用可能とされなければならない。

B.子どもの権利影響評価

75.環境に関連して提案されるすべての法律、政策、規則、予算および決定ならびにすでに効力を有しているこれらの法律等について、条約第3条(1)にしたがい、しっかりした子どもの権利影響評価が実施されなければならない。国は、環境および気候が子どもたちの権利の享受に及ぼす可能性がある直接間接の影響(越境的影響、累積的影響および製造・消費面双方の影響を含む)についての評価を、事前および実施後のいずれにおいても要求するべきである。
76.子どもの権利影響評価が、環境影響評価もしくは統合的影響評価の枠組みに含まれているか、独立の評価として実施されるかにかかわらず、そこには、環境関連の決定が子どもたち(とくに低年齢の子どもたちおよびもっともリスクの高い状況に置かれているその他の集団の子どもたち)に及ぼす、条約に基づくすべての関連の権利に照らして測定される差異化された影響への特別な考慮が組みこまれるべきである。このような影響には、短期的・中期的・長期的影響、複合的影響および不可逆的影響、相互的影響および累積的影響ならびに子ども時代の異なる段階における影響が含まれる。たとえば、相当規模の化石燃料産業を擁する国は、関連の決定が子どもたちに及ぼす社会的・経済的影響を評価するべきである。
77.子どもの権利影響評価は、意思決定プロセスの可能なかぎり早い段階、意思決定の重要な段階およびとられた措置のフォローアップ段階で行なうことが求められる。このような評価は子どもたちの参加を得て実施されるべきであり、子どもたちの意見およびテーマ別専門家の意見が正当に重視されるべきである。その知見は、子どもにやさしい言葉遣いおよび子どもが使用する言語で公表することが求められる。

C.子どもの権利とビジネス部門

78.事業者には、環境との関連で子どもたちの権利を尊重する責任がある。国は、事業者を含む第三者による子どもの権利侵害からの保護を提供する義務を負う [21]。
79.事業者の活動は、子どもの権利侵害を助長する相当な環境被害の源である。このような被害は、たとえば、危険物質および毒性有害物質の製造、使用、排出および処分、化石燃料の採取および燃焼、大気・水質汚染ならびに不適切な農業・漁業慣行などから生じる。事業者は、子どもたちの権利に悪影響を及ぼす温室効果ガスの排出も、気候変動の影響と関連する子どもの権利の短期的・長期的侵害も助長している。事業者の活動および操業の影響は、たとえば土壌劣化の場合など、気候変動の影響に適応する子どもたちおよびその家族の能力を損ない、それによって気候ストレスを高める可能性がある。国は、気候変動の防止、緩和および気候変動への適応をもう敵として、既存の技術を共有しかつアクセスしやすいものとし、かつ事業者の操業およびバリューチェーンに影響力を行使することによって、子どもたちの権利の実現を強化するべきである。
80.国には、効果的で子どもに配慮した立法、規制、執行および政策ならびに是正、モニタリング、調整、連携および意識啓発のための措置を通じ、事業者が子どもたちの権利を尊重することを確保するための枠組みを提供する義務がある。国は、事業者に対し、事業者が環境および子どもの権利に及ぼす影響を特定し、防止し、緩和し、かつそれに関する説明責任を果たすための、子どもの権利デューディリジェンス手続を実施するよう要求するべきである。このようなデューディリジェンスはリスクベースのプロセスであり、特定の集団の子どもたち(働く子どもたちなど)のリスク曝露にとくに注意を払いながら、環境被害によるリスクが深刻であって実体化する可能性が高い場面に努力を集中させることをともなう。子どもが環境面の影響の被害者であることが明らかになったときは、その健康および発達へのさらなる危害を防止し、かつ時宜を得た効果的なやり方で十分かつ効果的な被害回復を図るための、即時的措置がとられるべきである。
81.委員会は、事業者が、子どもたちを含むステークホルダーと提携して、自社の操業に子どもの権利影響評価を統合するデューディリジェンス手続を開発するよう勧告する。マーケティング基準においては、事業者が、環境危害の防止または緩和のための努力を不正に描写するグリーンウォッシングまたはグリーンシーニングの慣行によって消費者(とくに子どもたち)を惑わさないことが確保されるべきである。

D.司法および救済措置へのアクセス(第4条)

82.権利侵害を是正し、かつ社会正義を促進するため、効果的救済措置が利用可能とされるべきである [22]。子どもたちは、いくつかの環境・気候変動訴訟の先駆者となり、かつ条約に基づいて権利の保有者として認められているにもかかわらず、その地位ゆえに、多くの国で原告適格を得る際に障壁に遭遇しており、そのため環境との関連で自己の権利を主張する手段を制限されている。
[22] 子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)、パラ24、および、市民的および政治的権利に関する国際規約第2条(3)。
83.国は、子どもが、環境危害に関連する自己の権利の侵害について効果的な効果的な司法的、準司法的および非司法的しくみ(子ども中心の国内人権機関を含む)に関与できることを確保するため、司法にアクセスするための経路(子どもにやさしく、ジェンダーに敏感でかつ障害についてインクルーシブな苦情申立ての仕組みを含む)を提供するべきである。これには、子どもたちが自ら手続を開始する際の障壁を取り除くこと、原告適格に関する規則を調節すること、および、国内人権機関に対して子どもからの苦情を受理する権限を付与することが含まれる。
84.切迫したまたは予見可能な危害および過去または現在の子どもの権利侵害を主張するためのしくみが利用可能とされるべきである。国は、自国の領域内で生じた国の作為または不作為による越境危害の被害を受けた領域外の子どもたちも含め、自国の管轄下にあるすべての子どもが、これらのしくみを差別なく容易に利用できることを確保するよう求められる。
85.国は、クラスアクション(集合代表訴訟)や公益訴訟のような集団的苦情申立てのための体制を整備し [23]、かつ、環境危害を原因とする子どもの権利侵害についての消滅時効期間を延長するべきである。
[23] 一般的意見16号(2013年)、パラ68、および、一般的意見25号(2021年)、パラ44。
86.環境危害が関わる事案は国境を越える影響、因果関係および累積効果のために複雑な性質を有しており、弁護士による効果的な代理が必要である。訴訟は長期的プロセスであることが多く、また超国家的機関では一般的に、申立てを提起する前に国内救済措置を尽くすことが要件とされている。子どもたちは、無償の法的援助その他の適切な援助(法律扶助および弁護士による効果的な代理を含む)にアクセスできるべきであり、かつ、自己に影響を与えるいかなる司法手続または行政手続においても意見を聴かれる機会を提供されるべきである。国は、たとえば、環境問題に関して公益にかなう訴訟を提起する子どもにとっての金銭的リスクを限定する目的で不利益費用負担命令から保護することなどの手段を通じ、救済措置を求める子どもにとっての負担を軽減する追加的措置を検討するよう求められる。
87.環境問題に関する説明責任の増進および子どもたちによる司法へのアクセスの促進を目的として、国は、無数の変数および情報の欠如に直面しながら因果関係を立証する困難な挙証責任を子どもの原告から転換させる選択肢を模索するべきである。
88.子どもたちは、自己の権利侵害を引き起こしまたは助長する可能性のある事業者が関与する事案(とくに越境的・国際的影響に関わる事案)で救済を得ることに関して、特段の困難に直面する場合がある。国は、事業者による子どもの権利侵害(領域外での活動および操業の結果として生じたものを含む)について、国と当該行為との間に合理的関係があることを条件として、効果的な救済措置にアクセスできるようにするための非司法的・司法的しくみを設置する義務を負う。国際基準にのっとり、事業者は、そのような権利侵害の被害を受けた子どもを対象とする効果的な不服申立てのしくみを設け、またはそのようなしくみに参加することを期待される。国はまた、規制庁が利用可能とされることを確保し、人権侵害を監視し、かつ環境危害関連の子どもの権利侵害について十分な救済措置を提供するべきである。
89.適切な被害回復措置としては、環境および当事者である子どもの双方に関わる原状回復、十分な賠償・補償、満足、リハビリテーションおよび再発防止の保証などがあり、これには医療的・心理的援助へのアクセスも含まれる。救済のしくみにおいては、環境劣化の影響に対する子どもたちの特有の脆弱性(危害は不可逆的である可能性および生涯にわたって続く可能性も含む)が考慮されるべきである。被害回復は、継続的侵害および将来の侵害を限定させるため、迅速であることが求められる。気候変動の影響を緩和しかつこれらの影響に適応するための措置を決定してその迅速な実施を監督する、子どもたちも主体的に参加する世代間委員会の設置命令など、新しい形態の救済措置の適用が奨励されるところである。
90.通報手続に関する選択議定書の批准なども通じて、適用される国際的・地域的人権機構へのアクセスが可能とされるべきである。このような機構およびその活用方法に関する情報を、子ども、親、養育者ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家に対して広く知らせることが求められる。

E.国際協力

91.各国は、子どもたちの権利を尊重し、促進しかつ充足するために、国際協力を通じ、個別にかつ共同で行動をとる義務を負う。条約第4条は条約の実施が世界の国々の協力に基づく取り組みであることを強調しており [24]、条約に基づく子どもの権利の全面的実現は、部分的には各国がどのように関わりあうか次第である。気候変動、汚染および生物多様性の喪失が。各国の協働が必要な、子どもたちの権利に対する世界的脅威の喫緊の例であることは明らかであり、すべての国ができるかぎり広範な協力を行なうことおよび効果的かつ適切な国際的対応に参加すること [25] が求められる。各国の国際協力義務には、その国の状況次第の部分もある。気候変動との関連では、そのような義務に関しては、それぞれ異なる国内的事情を踏まえ、これまでのおよび現在の温室効果ガス排出量への考慮ならびに共通だが差異のある責任の概念およびそれぞれの国の能力が適切に指針とされる [26] 一方、条約第4条にのっとり、先進国から開発途上国への技術的・資金的援助の提供が必要となる。各国は、子どもの権利・環境デューディリジェンス手続の策定および実施に関する基準の一致を確保するための国際協力に取り組むべきである。
[24] 一般的意見5号(2003年)、パラ60。
[25] 国連気候変動枠組み条約前文ならびに人権理事会決議26/27および29/15。
[26] 国連気候変動枠組み条約前文および第3条(1)、パリ協定第2条(2)ならびに人権理事会決議26/27および29/15。
92.全体として、先進国は、国際的に合意された気候資金・生物多様性資金拠出目標にしたがってグリーンテクノロジーの移転を推進しかつ財政的環境措置に貢献することにより、開発途上国における、交差的性質を有する世界的な環境課題に対処するための行動を支援することへのコミットメントを表明してきた。条約は、諸国の国際的な緩和・適応戦略および損失と被害戦略におけるものを含む世界的な環境決定において、中核的な考慮事項のひとつとされるべきである [27]。ドナー国の環境関連プログラムは権利を基盤とするものであるべきであり、また国際的な気候資金・援助を受ける国は、当該援助の相当部分を、子どもたちに焦点を当てたプログラムにとくに配分することを検討するよう求められる。実施ガイドラインは、子どもの権利に関わる各国の義務を考慮するために再検討と改訂が行なわれるべきである。
[27] 国連気候変動枠組み条約第4条(5)およびパリ協定第9条(1)。
93.各国は、国際環境資金機構および国際機関の支援を受けた適応・緩和措置において、子どもの権利が尊重・保護されかつ子どもの権利の充足が積極的に追求されることを確保するべきである。各国は、条約および選択議定書にのっとり、子どもたちへの危害のリスクを評価するための基準および手続を新たな環境関連プロジェクトの計画および実施に統合するとともに、危害リスクの緩和措置をとるよう求められる。各国は、このような文脈における子どもの権利侵害に関して効果的救済措置にアクセスできるようにする手続としくみの設置および実施を支援するため、協力するべきである。
94.各国は、もっとも脆弱な状況に置かれた人々がこうむる環境危害に対処する国際的対応の確立およびそのための資金拠出について、誠実に協力するべきである。その際、子どもが環境関連のリスクに対する特有の脆弱性を有していることに照らして子どもの権利の保護に特段の注意を払い、かつ、突発的形態および緩やかに進行する形態双方の気候崩壊が子どもたち、そのコミュニティおよび国に及ぼす破壊的影響に対処することが求められる。各国は、武力紛争によって生じる可能性のある子どもたちへのあらゆる環境危害の緩和にとって前向きな貢献となるであろう紛争防止および平和維持の努力に協力して投資するとともに、和平および平和構築において子どもたちの意見を考慮するべきである。

V.気候変動

A.緩和

95.委員会は、人権上の義務にのっとり、すべての国が、温室効果ガスの排出を緩和するために緊急の集団的行動をとることを呼びかける。とくに、歴史的なおよび現在の主要な排出国が緩和の努力を率先して行なうべきである。
96.地球温暖化を制限するという国際的コミットメントの達成における進展が不十分であるために、子どもたちは、温室効果ガス排出濃度の高まりおよびその結果としての気温上昇に関連した、継続的かつ急速に増大しつつある危害にさらされている。科学者らは、一定の影響がもはや避けられない閾値である「ティッピングポイント」(転換点・臨界点)が、子どもたちの権利に対し、差し迫った、不確定なリスクを突きつけていると警告している。ティッピングポイントを回避するには、温室効果ガスの大気濃度を減少させるための緊急かつ野心的な行動が必要である。
97.緩和のための目標および措置は、利用可能な最良の科学に基づいたものであるべきであり、子どもたちへの危害を防止するようなやり方で遅くとも2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることへの道筋を確保するため、定期的に見直されるべきである。気候変動に関する政府間パネルは、気温上昇を工業化以前の水準に比べて1.5℃度未満に制限するためには、短期間のうちに緩和のための努力を加速させることが喫緊の課題であり、かつ、野心的な気候変動緩和目標の達成にとって、国際的な協力、衡平性および権利基盤アプローチがきわめて重要であることを明らかにしてきた [28]。
98.条約にしたがって緩和措置の適切さを判断する際、かつ、これらの措置によって生じる可能性があるいかなる悪影響も防止しかつそれに対処する必要性に留意しながら、国は次の基準を考慮するべきである。
  • (a)緩和のための目標および措置においては、それによって条約に基づく子どもの権利がどのように尊重され、保護されかつ充足されるかが明示されるべきである。国は、自国が決定する貢献策を作成し、通知しかつ維持する際 [29]、透明性のあるやり方で、かつ明示的に、子どもの権利に焦点を当てるよう求められる。この義務は、2年ごとに更新される報告書、国際的な評価および検討ならびに国際的な協議および分析にも及ぶ [30]。
  • (b)国は、条約および国際環境法に基づく自国の義務(世界平均気温の上昇を工業化前に比べて2℃を十分に下回る水準まで抑制し、かつ2030年までに気温上昇を工業化前に比べて1.5℃までに制限するための努力を追求するという、パリ協定に掲げられた誓約を含む)を充足するために気候変動を緩和する個別的責任を負う [31]。緩和措置には、子どもの権利の継続的な侵害およびその悪化からの保護を提供するために必要な総削減量を踏まえて各国が負う、気候変動緩和のための国際的努力の公正な負担分が反映されるべきである。各国は、また協働するすべての国々は、できるかぎり高い野心ならびに共通であるが差異のある責任および各国の能力にのっとり、気候コミットメントを継続的に強化するよう求められる。高所得国は、経済全体にわたる排出絶対量の削減目標に取り組むことによって引き続き先頭に立つべきであり、またすべての国が、子どもの権利を可能なかぎり最大限に保護するようなやり方で、異なる国内的事情に照らして緩和措置を増進させるべきである [32]。
  • (c)継続的な緩和措置および更新される誓約は、破滅的な気候変動および子どもたちの権利に対する危害を防止するための時間枠はより短く、緊急の行動を要求するものであることを念頭に置き、経時的な前進 [33] における各国の努力を示すものであるべきである。
  • (d)短期的な緩和措置においては、化石燃料の急速な段階的廃止を遅らせれば累積排出量が増加し、したがって子どもの権利に対する予見可能な危害も大きくなることが考慮されるべきである。
  • (e)緩和措置は、証明されていない技術を通じて将来的に大気から温室効果ガスを除去することだけに依拠するものであるべきではない。各国は、可能なかぎり短期間で子どもたちが自己の権利を全面的に享受できるようになることを支援し、かつ自然に対する不可逆的な損害を回避するため、迅速かつ効果的な排出量の削減に、いま、優先的に取り組むべきである [34]。
[29] パリ協定第4条(2)。
[30] 前掲第14条〔訳者注/第13条の誤り〕4項。
[31] 前掲第2条(1)(a)およびSacchi et al. v. Argentina (CRC/C/88/D/104/2019)、パラ10.6。Sacchi et al. v. Brazil (CRC/C/88/D/105/2019)、Sacchi et al. v. France (CRC/C/88/D/106/2019) およびSacchi et al. v. Germany (CRC/C/88/D/107/2019) ならびにSacchi et al. v. Turkey (CRC/C/88/D/108/2019) も参照。〔訳者注/これらの決定の概要は筆者のnote〈国連・子どもの権利委員会、国は気候変動の有害な影響について国境を越えて責任を負うと裁定(OHCHR)〉参照〕
[32] パリ協定第4条(4)。
[33] 前掲第3条および第4条(3)。
[34] 国連気候変動枠組み条約第4条(1)(h)―(j)および(2)(b);パリ協定前文および第4条(8)、第12条および第13条。
99.国は、さらなる損害およびリスクを防止するための緩和措置として、温室効果ガス排出量削減のための道筋に合致しない活動およびインフラ整備への投資に関して、官民の主体への補助金を打ち切るべきである。
100.先進国は、もっとも脆弱な状況に置かれている子どもたちを支援する目的で、緩和措置の計画および実施に関して開発途上国を援助するべきである。このような援助としては、資金および技術的専門性の提供、ならびに、気候変動によって引き起こされる子どもたちへの危害の防止に具体的に寄与する情報提供その他の能力構築措置などが考えられる [35]。
[35] パリ協定第13条(9)。

B.適応

101.子どもたちの権利に対する気候変動関連の影響が激化しつつあることから、子どもに配慮し、ジェンダーに敏感でかつ障害についてインクルーシブな適応措置の立案および実施ならびに関連の資源を急激かつ緊急に強化することが必要とされる。国は、子どもを対象とする必須サービス(水・衛生設備、保健ケア、栄養および教育など)の利用可能性、質、公平性および持続可能性に関わる、気候変動関連の子どもたちの脆弱性を明らかにするべきである。国は、自国の法的・制度的枠組みの気候耐性を強化するとともに、自国の国家的適応計画ならびに現行の社会政策、環境政策および予算政策において、自国の管轄内にある子どもが回避不可能な気候変動の影響に適応できるよう援助することにより、気候変動関連のリスク要因への対処がなされることを確保するよう求められる。このような措置の例としては、リスクが生じやすい状況下で子どもの保護制度を強化すること、水、衛生設備および保健ケアならびに安全な学校環境に十分にアクセスできるようにすること、ならびに、生命・生存・発達に対する子どもたちの権利を優先的に位置づけながら、社会的セーフティネットおよび社会的保護の枠組みを強化することなどが挙げられる。健全な生態系および生物多様性も、耐性および災害リスク低減を支えるうえで重要な役割を果たす。
102.災害リスクの低減、災害への備え、災害対応および災害復旧を含む適応措置においては、子どもたちの意見を正当に重視することが求められる。子どもたちは、気候関連の決定が自分たちの権利に及ぼす影響について理解する態勢を身につけ、かつ、意思決定プロセスに意味のある形で効果的に参加する機会を持てるべきである。適応措置の立案および実施のいずれにおいても、いっそう大きなリスクにさらされている子どもたちの集団(低年齢の子ども、女子、障害のある子ども、移動の状況にある子ども、先住民族の子どもおよび貧困または武力紛争の状況下にある子どもなど)への差別が行なわれるべきではない。国は、脆弱性の根本的原因に対処することなどの手段により、気候変動の影響を受けている脆弱な状況下の子どもが自己の権利を享受できることを確保するために、追加的措置をとるべきである。
103.適応措置においては、生計手段の維持、学校の保護および持続可能な水管理システムの開発などにより、短期的影響および長期的影響の両方を低減させることが目標とされるべきである。極端気象現象などの切迫した脅威から生命・健康に対する子どもたちの権利を保護するために必要な措置には、早期警報システムを確立することや、気候変動関連の災害リスクを低減させる目的でインフラ(学校、水・衛生設備および保健インフラを含む)の物理的安全性および耐性を高めることが含まれる。国は、すべての人を対象としてインクルーシブな早期警報システム、人道援助ならびに食料および水・衛生設備へのアクセスを提供するための措置のような緊急対応計画を採択するよう求められる。適応措置を策定するにあたっては、「仙台防災枠組み2015-2030」に掲げられているもののような、関連の国内的・国際的基準も考慮されるべきである。適応のための枠組みにおいては、気候変動を誘因とする移住についても取り上げ、かつ、これらの問題に対する子どもの権利基盤アプローチを確保するための規定を含めることが求められる。極端気象現象のような気候変動関連の危害の脅威が切迫している場合、国は、子どもたちおよびその養育者ならびにコミュニティが身を守るための措置をとれるようにするためのあらゆる情報が直ちに流布されることを確保するべきである。国は、災害リスクの低減・防止措置に関する子どもおよびそのコミュニティの意識を強化するよう求められる。

C.損失および損害

104.パリ協定において、締約国は、気候変動の悪影響に関連する損失および損害を回避し、最小化しかつこれに対処することの重要性を取り上げている。人権の視点から見れば、気候変動の悪影響は、とくに開発途上国で暮らす人々にとって、相当の損失および損害をもたらしてきた。
105.気候関連の損失および損害が子どもたちおよびその権利に及ぼす影響は、直接的なものと間接的なものの両方がありうる。直接的影響には、突発的な極端気象現象(洪水および豪雨など)と緩やかに進行する現象(干ばつなど)の両方が条約に基づく権利の侵害につながる場合が含まれる。間接的影響としては、国、コミュニティおよび親が、意図していたプログラム(教育や保健ケアのためのプログラムなど)から環境危機への対応に資源を再配分することを余儀なくされる状況などが考えられる。
106.この点に関して、損失および損害を、緩和および適応と並ぶ気候行動の第3の柱として認めることがきわめて重要である。各国は、人権の視点から見れば、損失および損害は救済措置に対する権利および被害回復(原状回復、賠償・補償およびリハビリテーションを含む)の原則と緊密に関連していること [36] に留意するよう、奨励される。各国は、国際協力なども通じ、条約に基づく子どもの権利の享受に影響を及ぼす損失および損害への対処のために資金的・技術的援助を提供する措置をとるべきである。
[36] A/77/226, para. 26.

D.ビジネスと気候変動

107.国は、事業者によって引き起こされまたは固定化される気候変動に関連する子どもの権利への危害からの保護のために、必要、適切かつ合理的なあらゆる措置をとらなければならない。その一方、事業者には、気候変動との関連で子どもたちの権利を尊重する責任がある。国は、事業者による迅速な排出量削減を確保するとともに、事業者が、子どもの権利に対する気候変動関連の実際の悪影響および潜在的悪影響(生産・消費関連の活動ならびにサプライチェーンおよび世界的操業に関連する活動に由来するものを含む)を特定し、防止し、緩和し、かつこれらの悪影響への対処のあり方に関する説明責任を果たすことを確保するため、金融機関を含む事業者に対し、環境影響評価および子どもの権利デューディリジェンス手続の実施を要求するべきである [37]。
[37] 一般的意見16号(2013年)、パラ62。
108.本拠国は、領域外における事業者の活動および操業を背景として生じる子どもの権利へのいかなる危害および気候変動関連のリスクについても、自国と関係する行為との間に合理的なつながりがあることを条件として対処する義務を負うのであり、権利侵害について効果的な救済措置にアクセスできるようにするべきである。これには、国境を越えて操業する事業者が、気候変動関連の危害から子どもたちの権利を保護することを目的とする適用可能な環境基準を遵守することを確保するための協力や、他国における調査および手続執行に関する国際的な援助および協力も含まれる [38]。
[38] 前掲、パラ43および44。
109.国は、とくに国有企業および国の管理下にある企業ならびに国家機関から相当の支援およびサービスを受けている事業者による、再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵およびエネルギー効率への持続可能な投資ならびにこれらの活用のためのインセンティブを提供するべきである。国は、累進課税制度を執行するとともに、公共調達契約に関して厳格な持続可能性要件を採用するよう求められる [39]。国はまた、とくにコミュニティレベルで再生可能技術へのアクセスを強化し、その負担可能性を高め、かつ持続可能なエネルギー製品・サービスの提供を増進させるための、エネルギーの生成、運用、移動および配分に関するコミュニティ管理を奨励することもできる。
[39] 前掲、パラ27。
110.国は、貿易協定または投資協定に基づく義務によって人権上の義務を満たす自国の能力が損なわれないこと、ならびに、それらの協定により、温室効果ガス排出量の急速な削減と、気候変動の原因および影響を緩和するためのその他の措置(再生可能エネルギーへの投資の促進によるものを含む)が促進されることを確保するべきである [40]。協定の実施に関係する子どもの権利への気候変動関連の影響について、是正措置を適宜とることができるよう、定期的評価を行なうことが求められる。
[40] ビジネス活動の文脈において経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約に基づき国家が負う義務についての社会権規約委員会の一般的意見24号(2017年)、パラ13。

E.気候資金

111.国際気候資金の提供者および受領国の双方が、気候資金機構が条約およびその選択議定書に合致する子どもの権利基盤アプローチに根ざしたものになることを確保するべきである。各国は、いかなる気候資金機構も子どもの権利を侵害するのではなく擁護することを確保し、子どもの権利に関わる義務とその他の目標(経済開発など)との政策的整合性を高め、かつ、気候資金に関わるさまざまなステークホルダー(政府、銀行を含む金融機関、事業者および影響を受けるコミュニティ、とくに子どもたち)の役割の区別を強化するよう求められる。
112.共通であるが差異のある責任および各国の能力の原則にのっとり、気候変動に対処するための努力においては各国の国内事情が考慮されなければならない。先進国は、各国が行なってきた国際的な気候関連の誓約にのっとり、子どもたちの権利を擁護する気候行動のための気候資金の提供に関して開発途上国と協力するよう求められる。とくに、さまざまな資金拠出機構(持続可能な開発に関するものを含む)との間に存在するつながりにかかわらず、先進国が提供する気候資金は、透明であり、子どもたちの権利を支える他の資金フローに加えて提供され、かつ、二重計上のような追跡上の課題を回避することなどによって適正な説明が可能とされるべきである。
113.先進国は、現在の気候資金ギャップに対し、緊急かつ集団的に対処しなければならない。現在の気候資金の配分は、適応措置および損失・損害措置を犠牲にする形で緩和に過剰に偏っており、いっそうの緩和措置が必要な環境に暮らしている子どもたちおよび適応の限界に直面している子どもたちに、差別的効果を与えている。各国は、国際的な気候資金ギャップを埋めるともに、諸措置に対する資金が、適応、緩和、損失・損害およびいっそう幅広い実施手段(技術的援助および能力構築など)に関する措置を考慮しながら、バランスのとれたやり方で拠出されることを確保するべきである。必要とされる国際的気候資金の総額を諸国が決定する際には、記録されたコミュニティのニーズ、とくに子どもたちおよびその権利を保護するためのニーズを踏まえることが求められる。開発途上国への気候資金は、子どもたちの権利への悪影響を回避するため、融資ではなく贈与の形態で提供されるべきである。
114.国は、影響を受けるコミュニティ、とくに子どもたちが、気候資金で支援される活動についての情報(子どもの権利侵害を訴える苦情申立てを行なう可能性に関するものを含む)にアクセスできることを確保しかつ促進するべきである。国は、受益者コミュニティ、とくに子どもたちの参加を強化するため、気候資金に関する意思決定の委譲を図るとともに、子どもたちの権利侵害につながりうる措置への資金拠出を防止しかつこれに対処するため、気候資金の承認および執行について子どもの権利影響評価を条件とするよう求められる。
115.子どもたちは諸国の集団的行動を求めている。この一般的意見のための協議に参加してくれた2人の子どもの言葉を借りれば、「各国の政府は気候変動を軽減するために協力すべき」であり、「私たちのことを認めて、『みなさんの声を聴いています。これが、この問題について私たちがやろうとしていることです』と言ってもらわないといけない」のである [41]。


  • 更新履歴:ページ作成(2023年1月1日)。/日本語訳を差し替え(9月1日)。/関連資料に委員会の声明およびチャイルドフレンドリー版の日本語訳へのリンクを追加(9月22日)。
最終更新:2023年09月22日 19:03