93 : されど二人は蕾のままで・最終話 2006/11/09(木) 06:49:05 ID:???
されど二人は蕾のままで・最終話
1/9
それは、ちょっぴり自分が嫌いだった少女のお話。
そばかすだらけで癖っ毛な容姿。成績も人並みで、なんにも取り柄の無い、普通の性格。
そんな自分が、どうしようもなく嫌いだった女の子。
けれど―――
「いよいよ本番かあ……」
朝。目覚し時計よりも早く、夏美は起床した。不思議と頭が冴え渡っているようで、一つ深呼吸する。
それは、夏美が初めて体験するような感覚。自分の中で自信が漲っているような、そんな心境であった。
「見ててねハカセ……、まきちゃん……!」
晴れやかな笑顔で頷くと、夏美はてきぱきと着替えを済ませた。
「おはよう夏美。もう朝御飯出来てるわよ」
「うん。ありがとちづ姉」
ダイイングルームでは既にみんな揃っていて、和やかに朝食をとっている。夏美もちょこんと座り、
そのまま箸を取った。
「ごめんあやか。ちょっとソース取って~」
「はいどうぞ」
「ちづ姉、今日の卵焼き美味しいよ!」
「そう? ふふ、今日は夏美の大事な舞台ですもの。少し張り切っちゃったかしら」
「ちづ姉お代わり!」
「コタロー君、よく食べるね……」
いつもの変わらない雰囲気。夏美もリラックスしたまま、朝食を終えた。
「―――で、今朝はまきちゃんまで居るんだ」
「むーっ! ツッコミ遅いよっ!!」
ようやく夏美が指摘すると、まき絵はぷくーっ、と頬を膨らませ、くすりとみんなで笑う。
「後からみんなで観に行くから、頑張ってね夏美ちゃん!!」
まき絵が宣言すると、みんなもうんうん頷いた。
94 : されど二人は蕾のままで・最終話 2006/11/09(木) 06:49:43 ID:???
2/9
「夏美。今日はいつもよりいい表情してるわよ」
「せやなあ……。本番前の夏美姉ちゃんはいっつもそわそわしとんのに、今日はやけに大人しいやんけ」
千鶴の指摘に、小太郎も物珍しそうに同意する。
「まあ、今回はやれるだけの事はやったもの」
「おおーっ、夏美ちゃんが燃えてる~っ!」
きっぱりと答える夏美に、まき絵は嬉しそうに煽り立てた。それでも夏美は動じない。ただにっこりと、
柔和な笑顔のままで出発の支度を整えるばかりである。
「どうぞ、夏美さん」
あやかはそっとルージュを差し出す。それは、まき絵が誕生日プレゼントに渡した、ピンクのルージュ。
夏美は小さく頷き、ゆっくりと自分の唇に引いた。
「な、なんや見とるこっちが恥ずいわ……」
小太郎がちょっぴり頬を染めながら呟くと、みんなはくすくす笑うばかり。
「似合ってるわ、夏美」
「うんうんっ!」
千鶴とまき絵に褒められて、ようやく夏美も少しだけ照れた表情を見せる。それでも、夏美は普段よりも
落ち着きを払っていた。そして―――
ぴんぽーん。
「あらあら。お迎えが来たようね」
「じゃあ行ってきまーす!」
元気良く夏美は部屋を出て行った。一同はしみじみとした表情でその後ろ姿を見送る。
こうして、一日が始まった―――
95 : されど二人は蕾のままで・最終話 2006/11/09(木) 06:50:27 ID:???
3/9
「夏美さん、すごくお似合いですよー」
開口一番、聡美は恋人のお化粧した姿を褒め称えた。
「お誕生パーティーの時よりもー、なんだか可愛いですねー」
「えへへ。なんかさ、今日は恥ずかしくないんだよね」
夏美はペロリと舌を出しながら答える。
「今日はね、私の全てをハカセに見てもらうんだもの。私も、本気だよ!」
きっぱりと言い切る夏美に、ハカセは思わずどきりとしてしまう。
「あはは……、張り切ってますねー。うん、とっても素敵ですっ!」
にっこりはにかんで、聡美は夏美の腕を取る。
「もう、ハカセったら……」
「ふふっ。今日は頑張って下さいね」
「うんっ!!」
道行く人の目も、今は気にならない。
今日の風は少し暖かく感じる。いつまでも触れていたくて、二人はずっと肩を寄せたまま学園に向かった。
最終確認とも云える打ち合わせを終え、いよいよ客入れの時間が迫ってきた。
次第に緊張が込み上げてくる。それは、夏美の大好きな感覚。
昔から、このぞくぞくするような感じが好きだった。
今、この瞬間から新たな物語が始まるのだ。そして、自分が主役となれば殊更だ。
普段と違うのは、怖くない点。
いつもなら不安と期待の入り混じった心境になるのだが、今は違う。
今日、この瞬間に私は生まれ変わる―――
夏美はそう思っていた。その心に、ときめきを忍ばせて。
早く。早く新しい自分に逢いたい。気持ちは逸るばかりで、どきどきが止まらない。
幕の向こう。客席がざわめき出した。いよいよ開場時間となったのだろう。
夏美はこっそりと舞台の袖から、客席の様子を窺った。
96 : されど二人は蕾のままで・最終話 2006/11/09(木) 06:51:03 ID:???
4/9
「ふふっ、嬉しいな……。みんな来てくれたんだ……」
前列中央の一番見やすい席へと、裕奈と美空が聡美を強引に座らせている。その周囲にはあやか達の姿。
そしてクラスメイトの大半が次々と客席を埋めていった。
「あれっ? まきちゃんは……?」
気が付くとまき絵の姿だけが見えない。どうしたのだろう、と夏美は首を傾げる。すると、
「やっほー夏美ちゃん!!」
突然、背後から声を掛けられた夏美は驚いた表情で振り返る。演劇部員でごった返す舞台裏で、
何故かまき絵も混じっていたのだ。
「ま、まきちゃんここは立ち入り禁止だってば!」
「へへー、気にしない気にしない」
「気にするよっ!!」
他の部員達の視線が痛い。仕方なく夏美はまき絵の手を取り、控室の方に連れ出した。
「―――もう、まきちゃんたら……」
ふう、と溜息をつき、夏美は苦笑する。
「えへへ。もしかしたら夏美ちゃん緊張してがちがちになってないかなー? って思ったから、つい……」
「大丈夫だよ」
夏美は表情を緩ませ、まき絵のおでこに指を当てた。
「みんなが観てくれるんだもの。こんなに心強い舞台は初めてだよ。だから、まきちゃんも安心しててね」
「うんうんっ! ハカセちゃんも見てるんだから、頑張ってね!!」
まき絵は眩しいばかりの笑顔で激励する。そして、唐突に夏美の手を取った。
「私のパワー、夏美ちゃんに分けてあげるっ!!」
ゆっくりとまき絵の手から温もりが伝わってくる。どこかくすぐったいような、そんな感覚であった。
「じゃあ私、戻るねっ!」
そのまままき絵はぱたぱたと控室を飛び出していく。あはは、と夏美は微笑みながら自分の手を見つめた。
「パワーならもう充分もらってるよ、まきちゃん……」
そう伝えようとしたけど、夏美は思い直す。この気持ちは演技で伝えればいいのだ、と。
夏美は大きく息を吐き、静かにその時を待つ。
そして、開演五分前を知らせるアナウンスが流れた―――
97 : されど二人は蕾のままで・最終話 2006/11/09(木) 06:52:15 ID:???
5/9
「えっへへー、ハカセちゃんも一緒に来ればよかったのに。夏美ちゃんすっごく綺麗だったよっ!」
客席に戻ってきたまき絵はちゃっかりと聡美の隣に座る。わざわざあやかが確保してくれたのだ。
「でもー、やっぱり楽しみは本番まで取っておきたいじゃないですかー」
「葉加瀬さんのいう通りですわよ、まき絵」
聡美とあやかにたしなめられ、そうかなあ、とまき絵は口元に指を当てて思案する。
「そんなことより、なっちゃんの様子はどうだったの?」
「村上、緊張してなかった?」
後ろの席から美空と裕奈が尋ねてくる。
「ぜーんぜん! きっと最っ高の演技を見せてくれるよっ!」
「楽しみやなあ~。はよ始まらんかな~」
「そうですねー」
聡美の隣に陣取った亜子が呟くと、聡美も同意する。その隣では、
「和美、綺麗に撮ってあげてね」
「トーゼン! 村上が主演の舞台だもんね!」
千鶴と和美がおしゃべりしている。そして、
「村上さん……。頑張って下さいね!」
和美にしか聞こえない声で、さよは固唾を飲んでまだ上がらない幕を見守っていた。
その他にもちらほらとクラスメイトの姿が見える。一通り辺りを見渡すと、聡美はぽつりと呟いた。
「みんな見守っていますから……。頑張って下さい、夏美さん……」
やや不安げな表情で、聡美はぎゅっ、と身を縮ませる。すると、
「な、なんかさ、見てるこっちが緊張しちゃうね……」
まき絵がそっと声を掛けたのだ。そして、軽く聡美の手に触れる。
「でも、夏美ちゃんならだいじょーぶたよっ!」
「そうですね……!」
聡美は少し驚いた表情で、けれどもすぐさま笑顔で答えた。
ゆっくりと照明が落とされ、客席のざわめきも静かになっていく。
いよいよ、その時が来たのだ。
98 : されど二人は蕾のままで・最終話 2006/11/09(木) 06:52:52 ID:???
6/9
その声は、普段の夏美からは想像も出来ないくらい朗々と、舞台上に響いていた。
そして、狭い舞台を広々とした世界に繋ぐように、夏美は動き回る。
(身体が軽い―――!)
夏美は不思議な感覚に捕われていた。まるで、自分以外の時間がゆっくりと流れるような感覚に。
相手役の子が不意に台詞を変えてきた。客席からは見えない角度で、その子はしまった、というような表情を
一瞬覗かせてしまう。
(大丈夫、それなら―――!)
夏美はくすりと微笑み、咄嗟にアドリブを交えて軌道修正する。昔の夏美なら、アドリブなんて最も苦手と
していた筈であった。けれど、今はそれが楽しい―――!
夏美に引っ張られる形で、相手役の子もすぐさま立ち直った。そして、二人は一旦袖に引き揚げる。
「夏美ぃ、ありがと~っ!!」
「へーきへーき、今の所は順調だね」
相手役の子に感謝され、夏美はにっこりと穏やかな笑顔で答える。そして、手早く衣装を変えた。
「じゃ、行って来るね!」
再び夏美は舞台へと飛び出していった。
「夏美さん……!」
聡美はただひたすらに感動していた。今にも泣き出しそうな目で、舞台上の夏美の姿に見蕩れている。
それは、付き合いの長い千鶴やあやかも同様であった。
「夏美さん、立派ですわ……」
「それでこそ夏美よ……」
他のクラスメイトも、見事としか言いようの無い夏美の演技に圧倒され、言葉を失っている。
「夏美姉ちゃんて、こないに凄かってんな……」
「ええ。本当に夏美さんは凄いのですわ」
小太郎が呟くと、あやかが我が事のように答える。
「夏美ちゃん、素敵だよ……」
そして、まき絵は瞳をきらきらさせながら、息をするのも忘れるくらい熱心に魅入っていた。
共に頑張ってきた少女が今、舞台でこうして主演を務めている。それがこんなにも嬉しいなんて―――!
99 : されど二人は蕾のままで・最終話 2006/11/09(木) 06:53:30 ID:???
7/9
劇も佳境に差し掛かり、夏美の演技にも一層気迫がこもっていく。より激しく、鬼気迫るような迫力で。
「なーる。確かにこりゃ疲れるわ」
ついつい美空は軽口をこぼす。
「せやから夏美ちゃんトレーニングしとったんやね……。めっちゃ頑張っとったもんなあ……」
にこにこと亜子は小声で聡美に告げる。けれど聡美はすっかり心を奪われた様子で、答える余裕もない。
それなら、と亜子はこっそり和美に話を振った。
「あらあら」
「りょーかい」
話を聞いた千鶴が笑い、和美もシャッターを切った―――
やがて終わりの時がやって来た。夏美のお陰で他の部員も素晴らしい演技を見せ、いよいよクライマックスを
迎えていく。そして、幕は閉じていった―――
「えっ……?」
夏美は思わず首を傾げる。渾身の演技を見せ、劇は完璧な形で終わったというのに。
そこにあったのは、沈黙であった。
まるで、完全に時を止めたように―――
けれど、やがて時間は動き出す。
先陣を切ったのは、聡美であった。
「夏美さんっ……!」
感極まった様子で、聡美は経ち上がった。そして、涙を流しながら拍手をしたのだ。するとどうだ、
瞬く間に拍手の渦は広がり、大歓声と共にスタンディングオベーションの嵐が巻き起こったのであった。
「あはは……、よかったあ……」
ようやく緊張から解放された夏美は、ゆっくりとその場にへたり込む。そして、歓喜の表情で部員達が
次々と主演女優に抱き付いた―――
100 : されど二人は蕾のままで・最終話 2006/11/09(木) 06:54:09 ID:???
8/9
カーテンコールで演劇部の面々が顔を出すと、歓声は一際大きく膨れ上がる。
「ありがとうございましたっ!!!」
清々しい表情で夏美が手を振ると、一気に観客が押し寄せてくる。それはさながらライブのように。
そして―――
「夏美ちゃん!!!」
「きゃああっ!?」
あろうことか、まき絵がいきなり抱き付いて来たのだ。
「ちょっ、まきちゃんみんな見てるのに……っ!!」
「すごいよ夏美ちゃん! もう最高だったよっ!!!」
夏美が赤面しようがお構いなしにまき絵はすりすりと夏美に抱擁する始末である。やれやれ、と苦笑して
あやかはまき絵の肩に手を掛けた。
「まき絵。ちゃんと順番は守らなくてはいけませんよ?」
「あ、そっか。ごめんごめん」
ようやくまき絵は夏美を解放する。そして、
「ハカセちゃん!」
そっと聡美を夏美の前に連れ出した。
「夏美さん……」
聡美は涙を滲ませたまま、愛しい人と対面する。
「ハカセ……。私、ちゃんと出来たかな……?」
「ええ……!」
「私、頑張ったよ……!」
「はい……っ!!!」
夏美もまた、うっすらと目に涙を浮かべている。最早声にならないといった様子で、聡美は思いっきり
夏美を抱きしめた。
そして、二人はゆっくりと唇を重ねる。
そんな二人を、クラスメイト達は温かく見守っていた―――
101 : されど二人は蕾のままで・最終話 2006/11/09(木) 06:54:55 ID:???
9/9
翌日。うっすらと霧が立ち込める早朝。夏美は寮の前でストレッチをしていた。
「おっはよー夏美ちゃん!」
しばらくして、まき絵がやってくる。そして、二人はランニングを開始した。
「昨日の今日なのに、夏美ちゃんも頑張るね~」
「うん。せっかく始めた事だし、もうしばらくは続けてみようかな、って」
「うんうんっ! 今日も頑張ろうね!」
笑顔に包まれながら、二人の少女が走り出す。
「―――そうそう、朝倉から写真見せてもらった?」
「舞台の写真? もうプリントアウトしたんだ?」
「うんっ! 夏美ちゃんすっごく綺麗だよっ! それに……」
まき絵はくすくす笑いながら一枚の写真を渡す。そこには、舞台を見守る聡美の顔が映っていた。
「ふふっ、ハカセったらカワイイ♪」
自然と夏美の顔から笑顔が弾ける。だが、
「じゃーん! あとね、こんなシーンもあるんだよ♪」
「わわっ!? 和美ってばこんなトコまで~っ!」
もう一枚の写真を見て、夏美は真っ赤になってしまう。それもそのはず、二枚目の写真は夏美と聡美の
キスシーンがばっちり収められていたのだ。
「夏美ちゃん今日から大変かもね。きっと取材が殺到するんじゃないかな?」
「いやあああああっ!!!」
まだ白い景色に、夏美の情けない声が響いた―――
自分が嫌いだった少女は、もういない。
夏美とまき絵。二人の少女はこれからも成長していくのだろう。大人への道を歩いていくように。
部活に、恋に、情熱を燃やして。
そして、いずれは可憐な花を咲かせるのでしょう。
されど、二人はまだ蕾のままなのです―――
~されど二人は蕾のままで fin~
105 : マロン名無しさん 2006/11/09(木) 11:29:14 ID:???
ゆーな「おいでよォー、ぶっちシャムネコ、ろしあん、ぶるぅ~♪」
アキラ「…ゆーな、何してるんだろう?」
ゆーな「茶トラァ~、のっらヒマラヤぁン、ねこにゃんだんすねこにゃんだんす…ねこにゃんだんすっ♪いぇい☆」
猫「にゃーん」「みぃ」「なぅー」「みゃー」「ちにゃー」
アキラ「…!?」
ゆーな「にゃーん♪」
アキラ「…これ、は…ねこ天国!?」
109 : リクカプ劇場 2006/11/09(木) 18:27:04 ID:???
リクカプ劇場
英子×雪編:小さなやさしさ
昼下がりの学園。
疎らに人が出入りしているカフェテリアで三段重ねのアイスを舐めている雪。
相当ご機嫌らしく横から来る英子の存在に気づくことがなかった。
「あっ!」
そう思ったときには強くぶつかってしまったときだった。
英子は少しバランスを崩しただけだが、雪はその場に転がり買ったばかりのアイスは地面に落ちてしまう。
「ちょっと!どこ見ているの」
英子は厳しい口調で言い放つ、雪はアイスを落としたばかりでなく上級生を怒らせたことで半泣き状態。
幸せな瞬間が一転、最悪の展開となってしまった。
「何とか言ったらどうなの!」
「ふ、ふぇぇ…うっ…うぇぇぇん」
英子がさらに問いただすため雪はついに泣き出してしまった。
雪は口や服をアイスでベトベトになり、殆ど口を付けただけのアイスは床に無残な格好で落ちていた。
自分は何も被害はなくぶつかったのは雪だったのだが、何となく他の視線が痛い。
「…」
まだ子供なのに少し言い過ぎたかと思ってか、地面に落ちたアイスを取ってゴミ箱に入れる。
雪を立たせ、ハンカチを使って口回りや服を拭いていく。
「ちょっと待ってなさい」
そう言って英子はその場から去り少しして戻ってきたとき、その手には三段重ねのアイスが。
「今度からちゃんと前を見るようにしなさい」
自分のプライドを守って強がっているようにも、それが英子らしい反応だと見て取れるようにして帰ってしまった。
「…」
雪はその手に握られたアイスをそっと舐める。
自分がさっき落とした三段重ねの順番も味も同じだった。
終
111 : 真名ちゃんもっこり日記128 2006/11/09(木) 21:31:39 ID:???
真名ちゃんもっこり日記128
最近、依頼が減り気味で休みが多くなった。
平和なのはいいことなのだがこちらとしてもな…
何しろスケジュール表を開くと依頼関係の日程は二連休ばっかり。
暇つぶしをかねてエヴァンジェリン宅で対戦ゲームをやっている。
ガガガガガガガガガ
「はっはっは、私に勝とうなど10年早い」
卑怯だ、常にハメ技など全く避けれないじゃないか。
「茶々丸。腹減った、飯」
エヴァがだんだん親父と化してるな、茶々丸もたまったものではないだろう。
「マスター。私は今から猫さんのご飯をやりに…」
「何だと!?私より野良猫の方が大切か!!」
流石にこれは怒るわな。
「こいつめ、最近金の出入りが増えてるかと思ったら猫の餌代に使って!」
ガシャーン
あ、蹴飛ばした。
「『猫をバカにするな、今日の飯はニンニクと葱がたっぷりはいったスープだ』という心境ですよ」
―っていつの間にかドラム缶を用意してその中はぐつぐつ煮立っている。しかもニンニクと葱臭い。
今、茶々●が掴んでいるロープを離せば逆さづりにされてるエヴァは真っ逆さまだな。
「OK茶々丸、話し合おうじゃないか」
さすがにコレばかりは勘弁と言いたいところか。
「お前の言い分も分かる。だが所詮お前は私の従者だ、マスターの言い分を優先させるのもまたお前が
ドボン ぶくぶくぶくぶくぶく
ヒィィィィィィィィィィィィィィィ(怖)
113 : まき絵 清冽な朝の出来事 2006/11/09(木) 22:47:49 ID:???
まき絵 清冽な朝の出来事
1/2
朝4時半、そんな時間に私は目覚めます
なんでそんな時間に起きないといけないかというと、朝練があるからです
まき絵 「おっはよー明日菜!!!」
寮の階段を下りたところでクラスメートに会いました
明日菜は学費を稼ぐために新聞配達をしているのです。苦学生なのです
明日菜 「ん、おはよ。朝練?」
まき絵 「そうなんだ。途中まで一緒に行く?」
明日菜 「うん。なんだか寒くなってきたね、最近」
まき絵 「だね。もう冬かな」
玄関から外に出ると、とても清冽な空気が漂っていました
私は胸一杯にその空気を吸い込むと、思いっきり息を吐きます
まき絵 「ぷはぁ・・・気持ちいい!!!」
まるで体の中の悪いものが出て行って良いものが入ってくるような感覚
これが大好きです
まき絵 「いま起きているのって・・・たぶん私たちとさっちゃんぐらいだよね」
明日菜 「そうね。まだ四時半だし・・・」
そう言ったときのことでした。突然量の一室の窓が開いたかと思うと、誰かが出てきて叫び始めたのです
ハルナ 「ちょうちょ!!!ちょうちょ!!!菜の葉に止まれ~!!!ああん!!!締め切りィィィ!!!」
夕映 「戻ってくるですハルナ!!!後2ページですよ!!!」
叫んでいる人は後ろから伸びてきた手に部屋に引き込まれ、窓はあっという間に閉められてしまいました
まき絵 「そっか、起きてはいないけど寝てない人はいるんだ」
明日菜 「大丈夫かな?あれ?」
114 : まき絵 清冽な朝の出来事 2006/11/09(木) 22:48:24 ID:???
2/2
いつもの練習場所までランニングする私。でもそれに余裕で付いてくる明日菜
同じ馬鹿レンジャーだけど体力は明らかに明日菜の方が上かな?
ていうか下から二番目だね。楓ちゃんにくーふぇもいるし
意外にゆえっちも体力あるからもしかすると・・・
明日菜 「じゃ、私こっちだから」
そういうと明日菜は向こうの道へと行ってしまった。明日菜も大変だな
世界樹の木の根元、ここが私のお気に入りの練習場所。何でかというと・・・
ネギ 「あ、まき絵さんおはようございます。今日も頑張りましょうね」
そう、私の大好きなネギ君が少し遅れてここに来るからです
まき絵 「おっはよー!!早速だけど柔軟してあげるね」
私はネギ君の背中にのしかかると、そのままネギ君の体を前に押し倒します
ネギ 「ん・・・まだ体が硬いです」
そしてそのまま胸を押しつけつつ、さらに体重をかけます
ネギ 「あ、あの・・・まき絵さん?その・・・胸が・・・」
せ、セクハラじゃないんだよ!?柔軟なんだからね!?
まき絵 「ん?胸?当ててるんだよ~」
するとネギ君の顔は耳まで真っ赤になるんです
ネギ 「あ、あの!!!もう良いです!!」
まき絵 「ダメだよネギ君。柔軟はしっかりとやらないとね?」
私はネギ君を逃がしません。だってネギ君をさわさわしたいから・・・
こうして私はネギ君とのふれあいを楽しむのです
完
120 : ネギ 僕の尊敬する人 2006/11/10(金) 21:01:54 ID:???
ネギ 僕の尊敬する人
1/3
僕には尊敬する人が二人います
一人はおとうさん、そしてもう一人は・・・新田先生です
高畑 「ネギ君、クラスのほうはどうだい?」
しずな 「ネギ君かわいいわ~」
学園長 「ネギ君、木乃香は変なコトしとらんじゃろうかな?」
実は気にしていることがあります。他の先生方はみんな僕のことを”ネギ君”って言うんです
やっぱり皆さんから見たら、僕は子供なんです
でもそんな中、たった一人だけ僕のことを先生って呼んでくれる人がいたんです
それが”新田先生”です
今日も僕は怒られてしまいました。いつものようにクラスが騒ぎすぎたからです
僕が収められずにいると、そこに”全裸”の新田先生が現れました
新田 「キミたちぃ・・・私の素晴らしい芸術を見て収まるんだ」
クラスは一瞬で静寂で包まれます。みんな固まります
新田 「ネギ先生・・・お話があります。ちょっと指導室まで来てください」
しばらく新田先生の全裸でのお説教の後、僕は夕暮れの公園で泣きました
遠くから聞こえるカラスの鳴き声も僕を叱っているように聞こえます
ネギ 「ぐすっ・・・どうしたらいいの・・・」
そんな落ち込んでいる僕に誰かが声をかけてくれたのです
新田 「ネギ先生・・・いまから飲(や)らないか?」
121 : ネギ 僕の尊敬する人 2006/11/10(金) 21:02:48 ID:???
2/3
僕は初めは遠慮しました。でもとっても明るい新田先生の雰囲気に押されてご一緒することにしたんです
新田 「さぁ、遠慮は要らないよ。先ほどはすまなかったね、教育というものを論じるとつい熱くなってしまってね」
五月さんのくいもん屋で食事をする僕と新田先生。ちょっと緊張しています
勧められる飲み物が甘酒だとは気がつかずに、僕はそれを飲みました
ネギ 「ううぅ・・・僕ダメ先生・・・」
甘酒が入りると僕は泣き上戸になるようです
新田 「ネギ先生・・・教育とは悩むものなんですよ」
僕の肩に手を置いて新田先生そう言いました。その言葉は僕の心にずしんと響きました
ネギ 「新田先生もそうだったんですか?」
新田 「色々悩んださ・・・優しくしたり厳しくしたり脱いでみたり・・・そしていまの私がある」
そうだったんだ・・・みんな悩んで・・・そしてそれを乗り越えて
新田 「ネギ先生、泣いてばかりでは成長しませんよ。いまのあなたが受け持っている生徒たちはあなた次第なんですから」
そう・・・みんなの未来は僕の手に・・・僕自身にかかっているんだ
さすが新田先生だよ!!!
ネギ 「ぼく・・・ぼく・・・目が覚めたような気がします!!!」
新田 「ははっ!!その意気だ、ネギ先生!!!今日はもっと飲みなさい、さぁ!!!」
ネギ 「はいっ!!!」
こうして夜は更けていったのです
新田 「おっと、もうこんな時間か」
気がつけばもう10時、早く帰って寝ないといけない時間です
ネギ 「ぼく・・・もっとがんばるから・・・」
新田 「ふむ・・・これは送っていくより私の家に連れて行った方が良さそうだね」
ネギ 「せんせいのいえですか?ぼくもまだ、はなしたいことがあるのでおねがいします」
新田 「良かろう。今日はとことんまで話あろうではないか!!」
122 : ネギ 僕の尊敬する人 2006/11/10(金) 21:03:45 ID:???
3/3
ここは新田先生の家、一軒家の立派な家です
新田 「ネギ先生、そう言えば我が家にはしきたりがあってね・・・実は家の中では服を着てはいけないんだ」
ネギ 「え?ぬぐんですか?」
新田 「そう、包み隠さずというのが私のモットーだからな、それでも良いかい?」
ネギ 「ぬぐんですね。んしょ・・・」
新田 「おいおいネギ先生、脱ぐのは家に入ってからにしたまえ」
ちょっと怒られました
新田 「着いて早速だがもう寝ようかね、私も歳だから」
ネギ 「あのぅ・・・ぼくはどこでねれば?」
新田 「ここへ来たまえ。私と床を共にするのだ」
両手を広げた新田先生。僕はその胸毛の生えていない綺麗な胸板に飛び込みます
ネギ 「あったかいです・・・あったかいよ・・・これっておとうさんみたいなかんじなのかな?」
新田 「ふふっ・・・お父さんかね、それも良いな。遠慮は要らない、今日は語り合おう、包み隠さずに」
抱きしめられたら新田先生の加齢臭が僕を包みました。それはとっても僕を心地よくしてくれます
初めて他人と裸で入る布団はサラサラでとても気持ちいいです
新田 「ネギ先生、寒くはないかね?」
ネギ 「だいじょうぶです。こうすると・・・あったかいよ」
厳しさと優しさと心強さを持つ新田先生を僕は尊敬します
にったせんせい・・・すてきです
ハルナ 「・・・はっ!!!何時の間にこんなものを!?」
机に向かうハルナが書き上げた原稿、それは創作系同人誌の原稿である
ハルナ 「私ったらこんなものを・・・きゃぁ!!はしたないわ・・・なんてことは思わないけど」
迫り来る全裸は誰にも止められない。なぜなら・・・それが全裸だから
新田 「これは昨日の出来事ではないかぁ・・・今日はキミと語り合えばいいのかね!?」
完
125 : マロン名無しさん 2006/11/10(金) 22:46:38 ID:???
風邪を引くとハスキーヴォイス
いつもの日常、それは何の変哲もない一日になるはずだった。
ネギが教卓へ向かい委員長であるあやかが立ち上がる。
『起立』
一瞬、クラス全体が「え?」という表情になった。
いつも聞きなれたはずのあやかの声がどういうわけか釘宮円も驚くほどのハスキーボイスなのだ。
その声にまず裕奈が声をかけた。
「いいんちょ、声おかしくない?」
『朝起きたらこうなってましたわ』
「それ絶対風邪だって」
『いえ体調はそれほど悪くないのですが』
とてもじゃないが他人としか思えない声。本人の大丈夫の声を無視してまき絵があやかの手を掴む。
「ほらあやか、保健室で休もう」
『いえ、そこまで体調は…』
「だめだよ、そういう油断が後になって悪化するから、今日はゆっくり休んで」
水泳部の体験からか、アキラが適切なアドバイスを送る。
「ほら行くよ、あやか」
まき絵はあやかの手を引っ張ってそのまま保健室に向かった。
「ごめん!遅刻しちゃった。……あれ?いいんちょとまきちゃん来てたはずだけど?」
そんなときに遅刻してきた明日菜はきょとんとした表情で教室を眺めた。
学校も一時間目からすぐに帰宅する二人。
部屋に戻るとあやかは寝間着に着替えすぐに横になる。
『まき絵、あなたは早く学校に…ゴホッ、コホッ』
まき絵のことを考えて早く戻るように言ったが、乾いた堰が声を出すのを阻む。
126 : マロン名無しさん 2006/11/10(金) 22:47:11 ID:???
どうやら本当に風邪を引いたみたいだ。
まき絵はあやかの指示通りに戸棚から薬を取り出す。
「あ、ハチミツって喉にいいからね」
差し出されたハチミツを口にしてふぅっと一息つくあやか。
『少し楽になりましたわ』
軽くお礼を言ってふかふかの布団に身を預けて眠る。
「本当は喉を暖めたほうがいいんだけど」
そんなことを言っている間に、あやかにキスをしてしまうまき絵。してやったりと思って微笑んだ。
『あなたという人は…』
そうやって受け入れて二人で笑う。
こんなことをやっても楽しいのだ、少し変わった声をだしたあやかはまき絵に少し刺激を与えたのだろう。
今だに続くハスキーボイス。風邪が治るまでのイベントみたいな物。
だからその間だけ、まき絵は変わったあやかの刺激に酔っていた。
そしてしばらくして…
「まき絵が風邪を引いて寝込んだって?」
「いいんちょが直った直後だよね、ひょっとして…」
変な噂が絶えず、あやかに向かう視線が痛い。
「~~~~~~~」
特に明日菜の目線とか…
終
130 : マロン名無しさん 2006/11/11(土) 02:58:52 ID:???
某スレで、「烏賊(イカ)」の語源を聞いた。
↓こんな感じ。
1/1
海に近い、とある陸地の上空、刹那という名前のカラス(烏)が独り、
茜空をせかせかと飛んでいます。
「あ~、暗くなってきちゃった。まだ晩ご飯の獲物が見つからないのに……
このまま何も捕まえられなかったら、どうしよう……手ぶらで帰ったりしたら
お嫁さんとお義母さんと娘に、何をされるか……」
もし獲物ゼロでお家に帰ったら……恐しい未来の予想図が、一家の大黒柱の
脳裏を掠めます。
「あ、いやっ、やめてな、このちゃ、や、真名お義母は、エヴ、ひ」
ひいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
刹那は、カーカーではなく、乙女のような鳴き声をあげました。
あまりに恐ろしい未来のことを考えたので、思考が一周して、
過去のことに至りました。
(こんな時、あの娘がいてくれたら)
いつも長女の横暴に涼しい顔で応じていた次女のことを、ふと
思い出しました。ある嵐の夜、波風にさらわれてしまった自分の娘、
今この場にいたならきっと自分を助けてくれただろう娘に思いを馳せた後、
刹那は現実に戻ってきました。
刹那は懸命に獲物を探しました。
しかし今は、もう日も落ちようとする、逢魔が刻。
刹那の目では、陸を見ても海を見ても、満足にものを見られません。
もうどうしようもないのか……それに、もし獲物が見つけられたとしても、
この暗い中、追跡できるかどうか……暗いといえば、この頃、この時間帯は
危ないとか何とか、よく耳にするような……
絶望の方面を向いたマイナス思考が刹那を支配しようとした、その時。
「あっ」
獲物を見つけました。
131 : マロン名無しさん 2006/11/11(土) 03:00:58 ID:???
2/5
何と白いイカがポツリと一匹、黒っぽい海上でぷかぷか身を浮かべていたのです。
しかも、そのイカ、何故か身動き一つしません。
波の揺れに身体を任せきって、あちらこちらへと揺さぶられています。
「死んじゃってるのかな……?」
念願の獲物ですが、刹那は少し躊躇いました。戦って勝ったわけでもない相手を
獲物としてしまっていいのだろうか、と考えたのです。
しかし、いつまでもぼんやりしているわけにはいきません。
誰かに横取りされる可能性があります。
刹那は急降下しました。ぐんぐんイカが迫ってきます。
イカは少々小ぶりでしたが、手ぶらで帰ることを考えれば、
それは全く問題にならないことでした。
刹那は爪を構えます。そして
ザバァァンッ!!!
刹那の爪がイカに食い込みませんでした。
何が起こったのかわからないまま、刹那の意識は
闇の中へ沈んでいきました。
「千雨。ただいま」
「ん、おかえり、ザジ。お、今日もカラス捕まえられたか」
海上でゆらゆらしていたイカ、名前はザジ、は自分の家に帰ってきました。
手には先ほどゲットしたカラスの刹那を握っています。
遅い時間まで粘った甲斐あって、今日も上手くいきました。
実はザジは、死んだフリをしているザジに油断して近づいて来たカラスを
一瞬で水中に引きずりこんで、家まで連れて帰って来ることを
常套手段としているのです。
「おーい、茶々丸、今日の分のカラスが来たぞー。……聞こえてないな。
ザジ、あたしの代わりにそいつをいつもの所へ」
ザジの嫁イカ、千雨は出入り口から離れ、奥へ行きます。
この家は結構広いので、出入り口から声を張り上げても、
奥にいる相手には聞こえていないことが多いのです。
一方、ザジは刹那を掴んだまま、千雨に言われた部屋へ向かいました。
132 : マロン名無しさん 2006/11/11(土) 03:02:11 ID:???
3/5
そこには、大量のお湯が溜めてありました。
全ての足をフル稼働させて、ザジは目的の部屋に向かいます。
速さのあまり、大きく腕が揺れて、逆さ吊りの状態で運ばれている刹那が
気を取り戻しました。
「……ん……えっ!?」
そして、驚きます。
何せ今、自分はお湯の中に放り込まれようとしているのですから。
しかし。刹那はそんな緊急事態にありながら、目の前のイカについて
鋭い推察を飛ばしました。
「あ、貴女はさっきのイカ。っそ、そうか、死んだフリだったんですね、
って、っちょ、ちょっと待ってくださ、がぼっ」
刹那は逆さ吊りのまま、頭を湯の中に浸けられてしまいました。
ザジは聞いていません。何故なら刹那に背を向けて、余っている足で
一生懸命、部屋の外に向けておいでおいでをしているからです。
千雨がもう一名を連れて、向こうからやって来ます。
「がぼがぼがぼがぼがぼ……」
刹那は大ピンチです。
ザジはおいでおいでをしています。
千雨たちが部屋に近づいてきます。
「がぼがぼ……がぼ………」
刹那が大ピンチの領域を飛び立ちました。
ザジは手を下ろしました。全部の手を一斉に。
千雨ともう一名、茶々丸が絶叫しました。
「ばかーーーーーーっ!!すぐに引っ張り上げろぉーーー!!!」
「ぅさんっ」
千雨はザジに駆け寄ると、ザジを体ごと引っ張って、
刹那を湯から出しました。
「ぷはぁっ」
「ばっかやろーーっ!カラスが湯の中で息できるか!この家の中は
特注で造ってあるから、水生・陸生どっちも生きていけるけど、
常識を考えろ、お前は!おい、あんた大丈夫か。」
133 : マロン名無しさん 2006/11/11(土) 03:03:22 ID:???
4/5
しゅんとするザジを横目に、千雨は茶々丸に介抱されている刹那を
気遣います。
「けほっ、けほっけほっ」
「しっかりしてください」
「けほっ、けほ、け……」
「しっかりしてください、お父さん」
「けほ…………………………………ちゃ」
自分を介抱している相手を見て、刹那は驚きます。
何とその相手とはイカではなく、カラスだったのです。
それも
「茶々丸!?どうしてこんな所に!!」
「お久し振りです。お父さん」
かの嵐の夜に行方知れずとなっていた自分の娘、次女の茶々丸
だったのでした。
「お、なんだなんだ。ついに当たりか?茶々丸さん」
「はい。この人が私の探していたお父さんです」
「さ、探していた……?」
ザジのからくりを見破った刹那でも、今の状況はどうにも掴めません。
?マークを顔中に貼り付けて、困惑しています。
「最初、私が拾った……」
「???」
「つまりな」
千雨がザジの言葉を継いで説明しました。それによると、
ある嵐の夜、いつものように夕食を獲りに出かけていたザジは、海中に
沈んでいくカラスの茶々丸を発見しました。他のイカなら茶々丸は
食べられていたのかもしれませんが、ザジは自分が狩った相手以外は
獲物にしない主義なので、とりあえず陸地まで引っ張っていきました。
陸地にて、茶々丸はやがて目を覚ましました。ザジはそれを離れた場所から
見届けて、さあ帰ろうとした時に様子がおかしいことに気付きました。
茶々丸が翼を負傷していたのです。
134 : マロン名無しさん 2006/11/11(土) 03:04:36 ID:???
5/5
飛ぶことの出来ない状態、それも嵐の真っ最中という状況下で、
ザジは茶々丸を見捨てることはできず、家に連れて行くことにしました。
(ザジの家はこの時普通の水生生物専用の家屋でしたが、知り合いの科学者たちに
1分で改造してもらいました。)
茶々丸は家に帰りたがりましたが、飛べないカラスには、それは到底無理な話。
それでも、せめて自分の無事は知らせたいと願ったので、何とかしようと
ザジたちは考えました。
そこで思いついたのが、死んだフリ作戦でした。これは、ザジの演技に
ひっかっかったカラスを片っ端から家に連れてきて茶々丸と面会させ、
家族・知り合いに遭遇しよう、という作戦でした。
それが今、実を結んだのです。
「そうだったのか……心配したよ」
刹那は心から茶々丸のことを心配していました。最近、危うくなった自分の
身の安全を考えるときには、特に。
「ごめんなさい、お父さん……会えて良かった」
こうして生き別れとなっていた二人は再会しました。
二名は再会してすぐ地上に戻ることはせず、しばらくザジ・千雨宅に留まり、
十分に元気を取り戻してから本当の家へと帰っていきました。
その後。
茶々丸という味方を得た刹那は、家族からの圧力にも怯むことなく、
力強く生きていったということです。
もちろんザジと千雨は、末永く夫婦円満に暮らしていったということです。
とまあ、こんな感じ。ようするに、
死んだ振りしてカラスをおびき寄せては狩っていた、という故事から
「烏賊」と書くようになったそうです。ちょっとビックリした語源でした。
135 : マロン名無しさん 2006/11/11(土) 06:30:01 ID:???
/.⌒ヽ
/ .\
../ ヽ. \
(./ ヽ. )
/ l"
.ノ '´ '''ヽ l
l ノ ||l」l」l」)ゝ | <刹那さん…おいしそう…
l ゝ(||キ _テ|| |
ヽ.._____ _,ノ
. 丿ノ ノ 丁丁 ̄l\
. く_(__(_(_._」____)ノ
138 : キススキ 2006/11/11(土) 18:44:23 ID:???
アキラ「……あ」
亜子「ん……? どーかしたん?」
アキラ「……聞こえない?」
亜子「……ん……?」
――コンコンコンコン
亜子「あ、なんか聞こえる……なんの音やろ?」
アキラ「多分、キツツキだと思う」
亜子「キツツキなんておるんやねぇ……な。見に行ってみぃひん?」
コンコンコンコンコン
アキラ「……」
亜子「はわぁ。ホントにカクカクこんこんするんやなぁ」
アキラ「……かわいい、ね」
亜子「……」
アキラ「……」
亜子「なあ、アキラ」
アキラ「……うん」
亜子「……キス、してええ?」
アキラ「……うん。私も、したくなったから」
アキラが軽くかがむとそっと亜子が近づく。
そして
亜子「ちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっちゅ!!」
アキラ「んっんっんっんっんっ!?」
高速でキスの雨を降らせる亜子。その勢いはキツツキの如し。
アキラ「あ、亜子、何するの!?」
亜子「え、えーと……キツツキとキススキで……キスツキ……」
アキラ「……ぎゃふん」
なんだコレは
最終更新:2008年10月26日 02:22