第64話 忘れ得ぬ巡査長
基本情報
登場人物
あらすじ
- あらすじ
- 麻薬組織の別働隊を監視する任務で待機中の一本木と犬養。一本木は、かつて犬養が超巡とバディを組んでいた時代について尋ねる。犬養は、一本木が元・超能力捜査官の夜墨迷夜の護送任務を任されていることを知っていた。夜墨は超巡と同じく「超能力者」として警察に所属していたが、挫折し世捨て人となった人物であり、一本木は夜墨の境遇が超巡と重なることに不安を抱いていた。
- 超巡と犬養の過去
- 数年前、超巡と犬養は爆弾魔を追っていた。爆弾魔は町中に爆弾を仕掛け、起爆装置を持って逃走。超巡は読心術で男が起爆装置を押そうとした瞬間を察知し、犬養に「押させるな」と叫ぶ。犬養は男を射撃し制止するが、実際の起爆装置は電池切れの携帯電話で、男は薬物常習者による妄想だった。つまり、超巡の読心術は妄想を現実と誤認し、犬養は丸腰の一般人を撃ってしまったのだ。
- この事件で二人は署長に呼び出され、犬養は責任を取ろうとする。しかし超巡は「自分の超能力で撃たせた」と全責任を被り、犬養に「俺だけ残っても役に立たない」と言い残して去る。署長や上層部も超巡の処分で事態を収めることを了承した。
- こうして「嫌われ者の超巡」が誕生し、世間は「超能力者が相棒に凶行を強いた」と受け止めた。以降、超能力者に対し「心も行動も操られるのでは」と不信が広がり、超巡に対する好意や感謝さえも「洗脳ではないか」と疑われるようになった。
- 犬養の想い
- 一本木は「それで、警視は再び先輩と組んで汚名返上を」と問うが、犬養は「それも過程に過ぎない」と答え、「私の望みはただ一つ、巡に『忘れさせないこと』だ」と語る。自分が引き金を引いた過去、輝かしい日々が失われた事実、その責任を巡に被せてしまったこと――その罪を忘れずに生き続けることが自分の贖罪だと述べる。「私はまだ裁かれていない。巡には私を裁く義務がある」と、巡の犠牲の上に自分が存在することを深く悔いていた。
- その時、犬養のトランシーバーに組織制圧の連絡が入り、現実に引き戻される。一本木は二人の過去の重さを知り、言葉を失い立ち尽くすのだった。
解説:犬養の贖罪の意識について
犬養の贖罪の意識は、過去に起きた「爆弾魔誤射事件」に端を発しています。この事件で、超巡の読心術が薬物常習者の妄想を現実と誤認し、犬養は丸腰の一般人を撃ってしまいました。本来なら自分が責任を取るべきところを、超巡が「自分の超能力で撃たせた」と全責任を被り、組織から去る決断をしました。
犬養は「自分が裁かれる機会を永久に奪われた」と感じており、超巡が自分の罪を被って去ったことで、贖罪の機会すら失ったことを強く悔いています。彼は「私の望みはただ一つ、巡に『忘れさせないこと』だ」と語り、輝かしい日々が失われた事実、その引き金を自分が引いたという過去を決して忘れず、また忘れさせないことこそが自らの贖罪だと考えています。
つまり、犬養の贖罪意識は「自分の罪を自分で償うことができなかった」という痛烈な自己責任感と、超巡への深い負い目から生まれています。彼は「巡には私を裁く義務がある」とまで述べ、自分が犠牲にしたもの、そして超巡との日々を生涯忘れずに思い続けることでしか償えないと考えているのです。
パロディ・元ネタ解説
その他
項目 |
内容 |
P1柱コメント |
二人が秘め続けた過去が今、明かされるーー。 |
P15柱コメント |
生身の言葉だったけど…… |
次回予告 |
なし |
巻末コメント |
担当の家筋の話を聞いてたら急に「話は承久の乱に遡ります」とか言い出した。 |
最終更新:2025年06月03日 00:03