桜場コハル作品エロパロスレ・新保管庫

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coharu

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★ ☆ ★ ☆ ★

南は全く抵抗してこなかった。俺は、南の艶やかな様子に魅せられていた。
触りたい。弄りたい。犯したい。俺は南に間違いなく欲情していた。
だが、理性が働く。俺の目的は『こんなこと』じゃない。俺は、ついさっき口にした言葉を再び発する。
「付き合ってくれ!」



南は頷いた。顔を真っ赤にして目を背けながら、こっくりと。
俺の理性は崩壊した。

■ □ ■ □ ■

悪くない気分だ。はっきりとしない意識の中でも、「愛してる」という言葉だけは幾度も鳴り響く。
「愛してる」だなんて陳腐なせりふ、最近はCMくらいでしか聞かない。
陳腐だ。かなり陳腐だ。そして、その陳腐な言葉に私はかなり、惚れた。
私は頷くほか無かったのだ。




思い返す。三年前、初めて挑戦状を貰った。あれはやっぱり…。
ということは、藤岡はずっと、ずっと私のこの勘違いに…?






何故か、目からお水が出てきた。

■ □ ■ □ ■

「あっ、ご、ごめん!」
え?
藤岡の手の力が抜けた。なんか勘違いしているみたいだ。
にしても、なんて狼狽えようだ。さっきまでのナイスガイが嘘のようだ。
「くくっ」
私はこらえきれずに、声をあげて笑った。
「な、なんだよ!」
「あはははっ、だってさっきまでと感じが違いすぎるんだもん!くははっ!」
「えぇ!?」
藤岡はとても困っているようだ。「ごまかす」にはやりすぎただろうか。私は落ち着いて深呼吸をする。
「ご、ごめんごめん! ふぅ…」
よし、落ち着いた。
「ま、まあ、藤岡がそこまで私を想っているというのなら仕方がない。お前の愛を快く受け取ろう。」
「あ、あぁ。」
「よし!」
上から目線で言ってみたものの、心臓は再び爆発的に動き出す。いっそ爆発させたい。
「藤岡、私を抱け!」



藤岡の目が点になる。

★ ☆ ★ ☆ ★

だ、抱けってどういうことだよ。カップル成立したからって、そんなすぐに「する」もんなのか?
いや、それはダメだ。そりゃ妄想の中では南をムチャクチャにしているけど、あくまでも妄想だ。現実で高校生が「する」なんて不良だ。
でも、南はこんなにも求めている。俺のことを欲している。
俺だって、南が欲しい。

「…み、南。本当にいいのか?」
俺はおずおずと尋ねる。
「ばっ! …そ、その位、大したことないし。それに、その、な、彼氏彼女なんだからさ、一応。」
か、可愛い! こんなにも照れる南を見たものが俺のほかにいるのだろうか。って、問題はそこじゃない!
俺と南との性意識に差がありすぎる。それとも俺は考えすぎなのか。きっとそうなのかもしれない。
それに、もし世間的に「非常識」だったとしても、俺は南の欲求に応えるべきだ。
俺は南の前ではチキン~無力~だ。もしここで断ったら、振られるかもしれない。
そんな考えが頭をよぎる。

決断すべきだ。彼氏なのだから堂々とすればいい。俺は心で深呼吸をする。
大丈夫だ。俺は、南の彼氏、南の男だ。

俺は南の肩に手を添えた。今度は掴むのではなく優しく。そして、さっきみたいに怖がらせないよう極力優しく、耳元で呟く。
「するよ。」
南が何かを言おうとしたその前に、俺はその唇にキスをした。

■ □ ■ □ ■

な、な、なんだこりゃ~!
ちょっ、ばっ、キスなんて早くないか! いきなりすぎるじゃないか!
うぅっ、私らしくない。なんで時めいちゃってるんだよぅ…。
ていうか、キスする勇気があるなら「抱く」くらい楽勝だろうよぉ…。
もう頭がわけわかめだよ!



私は知りたかっただけなんだ。
自分のことを「愛してる」とまで言ったこん野郎の温もりを知りたかっただけなんだ。
なのに、こんな、こんな! キスだなんて、温もりってレベルじゃねえぞ! あぅぅ
うまい下手の問題ではなく、藤岡とキスをする、その事自体が私にとって大事件~快感~だ。
その人生初の『大事件』に私は翻弄される。

キスだけじゃ温もりなんてわかんないよ!
もっと、躰で触れあって…、って私はなにを言って…!
あぁっ! 身体が勝手に動…! うわぁぁぁん。

私の四肢は藤岡の身体に絡みつく。「本能」なのだろうか。
女としてのそれが、藤岡をこんなにも求めているのか。
なら仕方あるまい。私の所有者であるこの男にすべてを委ねよう。



「委ねる」。
そう決めたばかりなのに、私は藤岡の舌に自分の舌をコンタクトさせていた。

★ ☆ ★ ☆ ★

南の舌に触れた。何とも言えない感動を覚えた。
しかし、それと同時に我に返った。
やっぱり、違うよ。俺が求めていたのはこんなことじゃない。「愛する」イコール「性行為」ではない筈だ。
今からしようとしていることは、俺の中では正しくない。せめて、ちゃんと段階を踏んでから至りたい。
真面目くん、いいや、イデアリストだ。ずっと夢見てきたんだ。
南といちゃついて、南とデートして、幾日か過ぎて漸くキスができて、そして…!


俺は、唇を離した。一瞬、唾液の橋が架かる。
「ふじおか…?」
「ごめん…」
「え? …ん、あぁ」
どうにか、このマズい空気を変えたいな。
俺は、今何と声をかけるべきか考える。

「ま、まあ、そのだな。」
南が沈黙を破る。
「か、カップルなら、き、キスくらい、普通、だろ?」
「で、でも!」
「えい!」
「うわぁっ!」
南が俺に抱きついてきた。む、胸が!
「藤岡、お願いがある。」
「は、はい」
「私を、私を強く抱きしめてくれ!」
えぇっ!
俺が狼狽えるのをよそに南は俺を強く抱きしめる。うわはぁ、匂いが!
「ダメ、なのかぁ?」
み、南ってこんなキャラだったか!?
「活発的」は「積極的」とは違うぞ!
「ふじおかぁ…!」
あぅぁぁぁああ…。もう! だ、抱けばいいんだな! 抱けば!
俺は意を決して、けど恐る恐る南の背中に腕を回す。

この心臓の鼓動は、南にはどう伝わっているのだろうか。

■ □ ■ □ ■

「えい!」
私は、これでもか! という位力を入れて抱きしめた。
恥ずかしくて、首まで熱い。というか全身が熱い。
ふと、自分が胸を押しつけている状況に気がつく。
私の鼓動、こいつは感じているのだろうか。
そして、私の温もりを感じているだろうか。


はぁ…
なんからしくないな。藤岡なんかに、こんなにも心を奪われるなんて。
ずっと、私には彼氏なんてできないだろうな、と思っていた。
女らしくなくガサツで、しかも際だった長所もない。私を好きになる物好きなんていないと思っていた。
けれど…



切なくなる。胸が締め付けらる。想えば想うほど締め付けは強くなる。
それに比例して、藤岡への「締め付け」も強くなる。

★ ☆ ★ ☆ ★

俺は、遂に南を抱きしめた。南の体がピクリと反応する。
「…もっとぉ」
今にも消えてしまいそうなか細い声で甘えてくる。俺は、反射的に強く抱きしめた。
南の温もりをより強く感じる。俺は更に強く抱きしめる。
「あっ…」
「南、…南!」
俺は思わず名を叫ぶ。
「好きだ。南。」
「…私も」
「え…?」
「私も、藤岡が好き。好きなんだ。」
「…ああ」

確信した。もう南は俺のモノだ。
「南、顔をあげて。」
「え?」
南が顔を上げる。
「南、改めて、これからよろしく。」
「あ、ああ! その、こちらこそよ」
俺は南の唇に自分のそれを重ねた。

俺は南の口内を堪能する。これが南の…。
興奮が治まらない。正直勃起してる。
だが、しようとは思わない。今はこれで満足だ。
そう、今は。

その後、何事もなかったかのように部屋から出て、三姉妹に別れを告げた。
春香さんと千秋ちゃんから芳しくないオーラが漂っていたのが気になるが…




就寝間際、今日の出来事が夢だったのではないかと自問してみた。
いや、それはない。愚問だったな。


それにしても、南、良かったなあ。南の感触を思い出して、思わずにやける。
明日も、できるかな?

明日に希望を持ち、眠りに落ちた。


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