「名物に旨いものなし」
様々な場所で、場面で、まことしやかに呟かれるその言葉を、りあらりんは否定したいと思っていた。
たけきの藩国で収穫される食材はなんと言っても素晴らしい。
寒流と暖流のぶつかり合う近海の豊かな漁場でとれる新鮮な魚。
藩国の土壌に合うように品種改良を重ねたとびきり美味しいお米。
藩王を喜ばせようと、必要以上に作り過ぎちゃった藩王の好物、じゃがいも。
藩王の名にあやかって作られるようになったきのこ類。
パンダの住まう竹林でとれる良質のたけのこ。
これらの素晴らしい食材をいかして名物料理を作れば、旨いものができない筈がない。
こうして、名前だけは仰々しくたけきの料理研究所・開発室と名付けた自宅の台所で、りあらりんによるたけきの藩国名物料理の開発が始まったのである。
(文:りあらりん)
最終更新:2007年05月13日 23:53