あらぶり最終形態、あらすじα版です。
※これまでに上がった設定と違ったところがあるので、目を通す際はあらかじめご了承願います。



前提
  • 王国の王都がある大陸の北東、今も牧歌的な雰囲気が多く残る離島のとある村で暮らすカジュ。
  • 島にあるいくつかの村が協力して、「特産品や交易品の売買など行うための大陸に渡る商隊」を警護する仕事をしているカジュ。
  • 一緒に大陸に渡って、商隊が商売をおこなっている期間はわりと安全なので、カジュは好きなことをしていて良い。
  • ひとなつっこくて好奇心も旺盛なので、商隊がまわる先々で友達ができたようだ。


大陸~島の村
今回も商隊はそれなりに満足する商売ができたらしい。大陸から村のある島へ引き上げることになった。
その時カジュは妙なうわさ話を耳にした。
「大陸のあちこちで、眠れなかったりいつも眠かったり眠ったまま目を覚まさなくなったり、そういう変な異変がおきている…」
カジュは故郷の村にいる友人のことを思い出し、仕事を終えて村に戻ると彼を探した。

村に戻ると友人の姿はなく、村はずれにある森のほうへ慣れたように探しに行くと、友人はある大樹のふもとで居眠りをしていた。
(はじめて出会ったときも此処でこんな風に眠っていたっけな)などと思い出しつつ、カジュはその友人・レーヴを起こす。
レーヴはいつも村の家畜や畑を世話してすごす。記憶喪失でぼーっとしてるが良い子なのでお年寄りがよく世話を焼いてくれる。
カジュはレーヴに大陸で聞いた噂話について伝えた。
「まるで出会ったばかりのころのオマエみたいだ。”レーヴ”(ねぼすけ)なんて…俺がつけた名前だけどさ」
「なんか気にならないか?もしかしたら記憶喪失をなおす手がかりとかさ。なあ、一緒に調べてみないか?大陸に渡ろう!」
「ついでに異変を解決できたら、きっと英雄扱いだぜ!」
自分はなんども渡ってなれてるし、モンスターが出ても戦えるから大丈夫。レーヴも強くなったほうがいいけどな、と
二人は村を出て、大陸・・・まずは王都をめざすことにした。

島の村~大陸(港町)
島の内陸にある村から、大陸へ船の出ている港がある村まで移動、定期船があるのでそれに乗って大陸へ渡る。
レーヴにとっては何もかも珍しいことのようだ。
大陸に渡って最初についた港町。此処から陸路で王都を目指す。
いつもは商隊の馬車で1日ほどだったが、今は足がない。数日かけて陸歩でも、いけなくはないが。
カジュは閃いて、よその商隊や荷を積んだ馬車の持ち主などに声をかけて回る。しばらくすると一人の若い青年をつれてきた。
リツ、という青年は一人で各地をまわる行商人をしているのだが、これから王都方面にむかうところで、
荷馬車の警備をしてくれるなら一緒に乗せてあげる。という話をつけたという。
リツの馬車に便乗して、港町から王都まで向かうことになった。
  • 道中でモンスターか盗賊にでくわし、3人でなんとかするエピソード
  • あわてた際にリツが”標準語”から”関西弁”が漏れでて、かわった言葉遣いだねとつっこまれる。
  • 地方の言葉だから舐められると良くない。と恥ずかしがって隠すリツ
  • 世間話で異変についてたずねると「う~んたぶん・・・や、気のせいかも~」と知ってるようではぐらかす。
なんとか無事に王都のほうまでやってきた3人。
リツは王都では商売をしないというので、馬車を降りて別れることになった。

王都
王都つくとたくさんの建物と大勢の人々でレーヴが目をまわしている。こんな場所でどうやって情報を得ようかという所で
「大丈夫、ここには友達が居るんだ。そいつを訪ねよう。」とカジュがあるところへ案内する。
交易所について、なかを探してみると程なくして見つかったらしく、嬉しそうに紹介した。
紹介された青年はシュウといい、王都でも名の通った商家の跡取り息子だという。
物理的な商品以外にも情報について通じており、情報を買いにくる客もいるほどらしい。
カジュが商隊の警護で王都に何度か滞在した際になかよくなったようだ。
さっそく異変とレーヴのことについて伝える。
シュウは純粋な同情心からレーヴの身を案じ、すこし考えてから話をしてくれた。
「小さな子供やご老人、病人がかかりやすい疾患のようなものだときいています。免疫力や抵抗力が低いとかかってしまうのかもしれません。」
「記憶にまつわる症状は、まだ聞いたことがありませんね…ここは王都ですから王立の医院や図書館などがありますが…」
一応いってみますか?とひかえめな提案をうけ、3人でその2箇所をまわってみることにした。
医院については異変を不安がって訪れた人だかりができ、貴族や王都民でもないレーヴを診てもらえる様子ではなかった。
図書館についても、過去におきた異変や疾患症例などをあらってみたが目ぼしい情報を得られなかった。
司書から「学園都市にいけば、王国最大の図書館があるが・・・」といわれたが、はるばる其処まで足を伸ばすのか悩む一行。

「なンだよ、せっかく顔みにきたってのにエラソーな騎士サマそぶりで・・・っと、あぶねっ」
歩きながら相談しつつ、路地を曲がったところでレーヴがハデな男(カオル)とぶつかりよろけた。
男は颯爽と手を差し伸べレーヴを助けこしてくれた。「わるい、イライラして気がそれてた、怪我ないか?」
シュウが相手を気遣って挨拶かわりに声をかける
「謁見断られたんですか?いま王都は警戒が強くなってますから・・・残念でしたね」
「あーオウサマじゃなくて・・・あー、まァいいか、確かに忙しそうだったし。また今度にするか。」
などと話しているとカジュが男の背にある楽器に気づいて、もしかして吟遊詩人?とたずねる。
男は気をよくして肯定すると、頼んでもいないのに「お詫びに一曲」と王都の歌を歌いだした。
「王都いいとこ一度はおいで 女はきれいで食べ物うまい 緑たくさん なんでもそろう ただし騎士サマぶあいそう あんちくしょう~」
などと歌がすすんだところで、警官が怒って「侮辱する気か!」と現れたので、男は急いでにげてしまった。
しばしあっけにとられていると、シュウが何か思い出したようで
「騎士ですか・・・そうですね、もしかしたらあの人がこの件について何か知っているかもしれません」

あの人、とやらをたずねて王城におもむく3人。大きくて立派な城と、さきほどの警官の様子をみてカジュが大丈夫なのか心配するが
シュウは慣れた様子で騎士団の本部があるほうへむかう。受付らしきところで二言ほどやり取りをして、しばらく待つと騎士がでてきた。
頭にターバンを巻いた鎧の騎士は受付の前でシュウと話している。顔見知りのようだ。さきほどの吟遊詩人と同郷のような容姿をしている。
更にしばらくすると中から白い鎧をまとった金髪の騎士が現れた。
「待たせてスマン。またヤツが来たのかと思って居留守を頼んでいたんだが・・・」
「シュウだったから会うってさ。部下をこういうことに使うなよな?」
「お忙しいでしょうにありがとうございます。まあ、色々ありますよね・・・?」
かるく挨拶をかわして、シュウが騎士二人を紹介してくれた。
金髪の騎士はシャムラセインという由緒ある貴族の、若いながらも”白騎士部隊長”で
黒髪にターバンの騎士はマコトといい、外国人部隊の騎士だという。(マコトの登場その他については未だ考え中 by.誠)
さっそく本題にはいり、最近続いてる異変のことについて調べているが何か掴んでいないか?とたずねる。
シャンは首を振る。「王国が公表している現状以外に話せることはない・・・すまないが」
「どういう事情かはわかりませんが、機密事項として官僚と騎士団の一部がこの件の究明に乗り出していることは存じています」
「さすがシュウ、耳が早い・・・いや、俺じゃないぜ?」
「・・・学園都市の王立図書館は」「まだ決めていません」「そうか」「・・・いいんですか?」「なにがだ?」
「いいえ、ありがとうございます」緊迫した空気で会話がひとくぎりしたあと、シャンを呼ぶ女性(マミヤ)の姿が見えた。
「・・・オーリック様、支度が整いました。いかがなさいますか?」
「わかった、今すぐ出る。マコト。」シャンはきびすをかえして女性と一緒に去っていった。
「ああ。」返事を返して3人にふりむき「話せないとかいってお人よしだよな」「ええ、まったく」「じゃあ”また”な」「はい」
マコトも立ち去るとシュウはカジュとレーヴにむきなおる。カジュはすっかり空気に呑まれた様子でやっと大きく一息をついた。
王城を出たところで「なにしゃべってるかぜんっぜん判らなかった・・・!シュウすごいな、騎士団長相手に」
「ああ、いいえ、シャンは学園都市で同級生として過ごした友人でもあるのですよ。こういう場所じゃなければ、もっと気さくな人ですよ?」
「いやでもすごい、レーヴも思うよな」「(コクコクうなずく)」
「やめてください恥ずかしい・・・!そんなことより!その学園都市、行きませんか?」「え?」
「手がかりの可能性があります。シャンたちも今からおそらく向かうはずです」「えっそうなの?」
「官僚と騎士団の一部がこの件の究明に乗り出している、と先ほど申しましたが」「・・・それって、もしかして」
「ええ(にっこり)」「やー・・・やっぱシュウすごいって」学園都市に向かうことになったようだ。


王都を出て
  • 学園都市までは馬車をつかってもかなり距離があるので、2つか3つほど町や村を経由することになる。
  • そのなかで小エピソードとしてシュウが商人したりカジュが用心棒したり、それらをレーヴがてつだう描写
  • 異変らしき睡眠障害に悩む人物が出てきて、すこし深刻感をあらわにする描写
  • 気のせいかもしれないくらいの雰囲気でレーヴが睡眠障害を和らげたのか?という描写
  • あらためて3人がお互いのことを話してみたり、仲を深める描写。
  • こっそりカオルがいて歌をきかせてくれたり、こっそりリツがいてアイテムがかえたり
 (リツから買えるアイテムの中に中古書のシリーズ小説があり、持っているとあとで使える)
  • 「騎士団にはいるとあんな美女が側近になってくれるのか~」「そういえば初めて見ましたね」とか


学園都市 王立図書館
学園都市にたどりつき、さっそく王立図書館にむかう。図書館では不思議な力(マナとか練力とか)について知ることができる。
マナや練力については少し学があれば知っていて当然のレベルだが、カジュは関係性をなんとなく解る程度、レーヴはまったく知らないので
シュウが改めて、ここでおさらいと言う名の説明をする。
練力を鍛えれば使える力が強められたり、幅が増えることがあります。などと戦いのアドバイスをもらう。
だが異変についてコレといったことは得られることはなかった。禁書のライブラリが気になるのだが、国の許可が下りなければ見ることはできない。
シャムらは禁書ライブラリを見たのだろうか?ほかに手がかりのようなものは無いか?
騎士団長がわざわざ時間をかけて学園都市にまで来る理由は他にもあるのでは・・・?
学園都市の別のところも探してみようと話していると、図書館のある一角で本を探している大柄な青年と出会う。
「お前たちか?異変について調べてるモノズキなやつらは」「そうですが、貴方は・・・」
「外国人部隊の騎士の一人・・・といっても騎士なんて柄じゃねーがな。ただの傭兵だ」
ジン、と名乗る青年も今回の件でシャンと行動を共にしている一人だという。傭兵、というだけに鎧も革のものを身につけている。
どうして此処にいて自分たちに声をかけたのか・・・暗にシャムの指示で自分たちがここを訪れることを見張っていたのか尋ねると
ジンは肩をすかして「それもあるが、そっちはツイデだな。俺の本命はコッチだ。」と本棚をさす。
趣味を諦めずに仕事ができる(できるというより、今回はほぼしてるそぶり)。アイツはいい上司、とジンは言った。
だが、閲覧しようとしたシリーズの巻だけが借りられていて本棚にあらずガッカリしているようだった。
(ここでリツから中古書を購入しているとジンにあげることが出来る)
  • ジンにあげる
 【必要ないからあげる】OR【もう読んだからあげる】→どちらでも大喜びしてくれるが【もう読んだ~】を選ぶと仲間フラグ1(笑)
(持ってなければ仲間フラグは立たずにそのまま進む)
ジンはこちらから尋ねる前に「あいつらなら学園校舎の方にいったぜ、元将軍に話を聞きにいくとか」と話してくれた。
自分たちのためというより、早く話を済ませて蔵書をあさりたいだけにもみえるが、ひとまず聞いたとおり学園にむかうことにした。


学園都市 王立アカデミー
学園へむかうと、シュウはある人を思い出して其処をたずねる。シャンの祖父、グレン・オーリックその人である。(グレン存命VER)
グレンは随分前に将軍職を引退してから、学園の若者に戦術や兵法を生徒に教える職を自ら希望し、王都からこちらに居を移し暮らしているという。
ジンの言うとおりグレンの自室に向かうと、扉の外にマミヤが立っており、やはり先にシャンらがたずねていた。
ジンが早々に自ら口を割ることも判っていた様で、すんなりと中に通されて
”仕事のついでに身内をたずねた所で級友と再会した”という計らいをうけ、グレンの話を一緒にきくことができた。
最近の異変についてはマナに何か起きているのではないか?何らかの干渉を受けている可能性がある。
マナが何かの干渉を受けることは稀なことだが過去にいくつかあった。といわれる。
そういったことならば大森林で何か情報が得られるのではないか・・・とグレンが続きに及ぼうとしたところで体調を崩しはじめる。
このところ妙に体調がすぐれず、もしかしたら異変の影響なのかもしれない・・・とこぼす。
グレンは学園つきの看護師らにまかせ、体調をおもんばかって全員退室することにした。

「せめて中和剤の開発が進めばな」「開発中というのは本当だったんですか」「異国からきた特別な研究員がいるらしいソイツが・・・」
マコトがそこまで言いかけるとシャンに視線で静止された。
とりあえず、大森林に向かうことになりそうだと話を切り替える。
大森林といえばエルフが暮らす土地だが、結界が張られていて部外者はめったに入ることが出来ない上、危険な野生種も棲む場所だが
シャンとマコトは早々に次の目的地ときめたようだ。
ふいにカジュがきりだした。「俺たちも森に向かおう」
シャムとマコトは民間人に此処から先は荷が重い、怪我だけではすまないと諭され、シュウもさすがに考えるところがあるようだ。
「確かに俺たちだけじゃキケンだと思う。だから、同行させてくれないか」と申し出るカジュにシャンは首を振った。
「民間人に怪我をさせるわけにはいかない。それに・・・足手まといも結構だ」「なんだって!」「おいシャン、さすがに言い方があるだろ・・・」
「言葉を選んだつもりだが。大剣を振るう腕力はあるようだが・・・俺たちは先を急がなければならない。素人を同行させて連携が鈍るのは此方の命にも関わりかねん。俺は…、私たちは王国の騎士。己のためではなく、民のために命を費やす。・・・いいたいことは判るよな?」
「そっちが下手うったら、それを庇って死ぬのを選ぶのがオシゴト。庇ってくれなくて良いって言われてもな」
「マコトも言葉を選んでください・・・でも、残念ですが、そのとおりになってしまう可能性がある以上、僕たちはこれ以上は難しいでしょう」
カジュは握った拳に悔しさをにじませ、突きつけられた正論に口をつぐんだ。そこへのんびりと文庫本を片手にジンがやってきた。
「なんだ…次は大森林かよ。エルフも小説読むのか?その本はナニ語で書かれてるんだろうな?」
とぼけたような切り口で合流したかと思うとふいにニッと笑みを見せ「いいじゃねぇの、腕くらい見てやれば」と言い放つ。
「チャンスは平等にやってきやしないし、時にまったく公平でもないが、俺はそうして切り拓いてきた。どうする?」
どうやらカジュとシャン両方に語りかけているようだ。二人はそれぞれの表情でお互いを一瞥して決めた。「いいだろう」「やらせてくれ」
ジンはこっそりシュウとレーヴに言った。「な?いい上司。」


学園都市  腕試し
学園のある施設に一行は移動して腕試しを行うことになった。学園生が剣の技術を磨くための施設らしく、うってつけの場所のようだ。
二人は腕試しの準備をしている。「模擬剣で十分だろう。ここで意味の無い怪我をする必要は無いからな・・・備品だが好きなのを選べ」
ギャラリーに徹する気のジンとマコト。「そこのもう一人はどうするんだ?」「二人がかりでか」「足りるってことはねぇだろ」
「足りなさ過ぎても怖いんだよ、判るだろ?・・・万が一ってこともあるし、俺はあんまり気が進まない」「その割りに止めないんだな?」
「そそのかしたのはジンだろうが・・・みてみろ、シャンのヤツやる気になって」「そりゃ良かった」気苦労の染みたマコトに対し、ジンは屈託なく笑う。
「二人ともやめてください」たしなめられて会話が止まる。

「シュウがいなきゃ、なんの手がかりも得られずに、きっと俺たち此処までくることもできなかった・・・」
カジュは両手使いの模擬剣を構えた。
「俺が一人でやってみる。この旅は、俺が言い出したことだから。俺がコイツを守るからって。」「いい気構えだ・・・しかし」
模擬剣による腕試しがはじまる。思ったより剣は振れている、筋はいいがなってない、など外野の解説が混じりながらも力の差は圧倒的で
程なくして決着がついた。膝を折ったカジュが肩で息をしている。怪我をしている様子すら無い。
息も乱さずシャンはレーヴに向かって言う。「もう一度だけ見てやる。次は2人で来い」
「ちくしょう・・・ちくしょう、ちくしょうっ!余裕みせやがって!レーヴは・・・っ」「関係ないのか?」「・・・!」
「お前には隙がありすぎる。普段はあの友と連携しているんだろうが、その癖がついていて話にならないんだがな」「・・・!」
「この先から戦うのがお前一人ならここで終わって構わないが、二人でやるなら二人でこい。実戦の話をしているんだ。腕試しの意味が無い」
カジュは目を見開いて言葉を失っている。シャンは再びレーヴに言い放つ。「”関係ないのか?”」
(選択肢で 関係ある/関係ない が出るが 関係ないを選んでもシュウに一言いわれて無限ループ)
「関係ある」模擬の武器を手に取った。

カジュ&レーヴ対シャンの腕試しに移ることになった。カジュは息を整えながら神妙な顔つきをしている。
「・・・ごめん、俺、思い違いをしてた。俺、今までレーヴに頼ってたことに気づいてなかったんだ。戦いでも何でもさ・・・」
「・・・あのさ、まだ旅ここで終わらせたくないんだ、うまくいえないけど・・・これから解ることを知りたいんだ。だから、レーヴ・・・一緒に戦ってくれないか」
弱音のようにこぼすカジュにレーヴは静かにうなずいた。
  • カジュが両手剣のショートレンジに対しレーヴはショートミドルレンジ兼用できそうな武器(棍や槍の柄が長いもの、縄術とか)
  • 普段の戦いは、カジュの攻撃を敵に当てるためにレーヴが撹乱したり囮になったりと隙をつくるコンビネーション
再開の準備が整い合図が出されると、カジュとレーヴは同時に地面を蹴り出してシャンに挑んでいった。
シャンが指摘したとおり、レーヴが小回りを利かせカジュの大きな振りが生きはじめた。先ほどに比べると大分と形になっている。
目つきは真剣みを帯びてきたが、まだ指南の域のようで的確に切先をかわしていく。
余裕をのこした手ごたえに焦ったカジュは、自らの大きな剣に回復しきらない体力を庇いきれずバランスを崩す。
これまでだ、と言わんばかりにとどめのモーションへ入ったその時、レーヴがカジュを庇うように立ちはだかり、その攻撃をはじいた。
同時にレーヴも転倒するが、衝撃の余韻でシャンの剣先の戻りが遅れたところへ、カジュが懐へ飛び込んだ。
二人が同時に倒れこむとギャラリーから「それまで!」と声が上がった。
気づくとすぐそばにシュウとマコトがやってきていて、シュウはレーヴを助け起こし、マコトはカジュを助け起こした。
「頭は打っていませんか?・・・大丈夫のようですね」「(こっくり頷く)」「ムチャクチャすんなあ、やめてくれよ」「ごめん、無我夢中で」
「おまえもだよ、シャン」「ああ、次はマコトにも手を貸してもらうか」「そういうことじゃないって まったく」
3人ともなんともない風で立ち上がり、息を整えたあたりでジンがたずねた。「で、結果はどうなった?」
「・・・覚悟は伝わった」カジュ、レーヴ、シュウが顔を見合わせる。「本気か?俺は逆に今ので不安になったけどな・・・」
「もちろん、手に負えない様なら途中でも帰すがな。その時は必要なら俺たちも引き返すことになるが」「マジか・・・」
シャンとマコトのやり取りに一足早くシュウが安堵の息をつく。「え?俺たち付いていっていいの・・・?」カジュが目を丸くする。
「尻もち分はサービスしてくれるってよ」よかったな、と声を潜ませたジンにシャンの視線がとんだ気がした。


学園都市 その後
もうすぐ日が落ちて夜を迎える頃。カジュ、レーヴ、シュウはアカデミー敷地内の学生寮にある客間を宿として借りることができた。
腕試しの疲れがとれれば、すぐにシャンらと大森林へ向かいたかったが、大森林に張られているという結界についてグレンから話を聞いておきたい。
どのみち今夜は学園都市ですごすことになるが、グレンの体調が回復しなければ足止めを受け、または話を聞くことなく大森林へ赴く事になる。
部屋の中で3人はそれぞれ、今日の出来事について思い返しているようすで、普段の和やかな雰囲気ではない。
シュウが学生時代に使い慣れていただろう寮の給湯室でお茶を淹れてくると柔らかく口を開いた。「とりあえず、状況を整理しましょうか」
  • 状況整理のターン
  • 睡眠障害を伴う疾患が??頃から目に付くようになったこと。老人や子供、病人などがかかりやすいこと。
  • 国民向けの調査団や公開情報もある裏で、王国の騎士団や官僚の一部がこの件についてなぜか機密事項レベルで調査している。
  • 騎士団の一部はシャン、マコト、ジンも含まれていて、おそらくシャンは指揮兼、責任者。
  • 事の発端は生気の源でもあるマナの異常がうたがわれる。グレンが言うには「干渉をうけている」らしいが何からかは不明。
  • 大森林にいけばさらに手がかりが?エルフがマナについて特別なことを知っているのか・・・?グレンに話を聞かなければ。
  • 中和剤の開発がすすんでいるというが、グレンは大丈夫だろうか・・・
「あの白騎士の実のお祖父さんなんだろ・・?心配だろうなあ」
「むかし、まだこの国の国境が著しく変化していた頃に大変活躍された英雄ですから・・・シャンがもっとも尊敬する人物ですよ」
「そうかぁ・・・どおりでなんかさ、色々つえーよな」「そうですね」
調子がもどらない、今夜はこんな空気だろうか。と思われた矢先に「あっ」とカジュが声を上げた。
「そういえば学園都市に来る道中の村で、レーヴが睡眠障害の症状を和らげたようなことがあったよな?」
偶然だったような気もするが、もしかしたらヒーラーの素質があるのかもしれない、とシュウが言う。
能力を鍛える練習をしてみたらどうか?という話になりカジュがそれにくいついた。やっておけることは何でもやっておきたい気分のようだ。
幸いここは学園敷地内であるので、その類に関連する教材についてはまさに宝庫だった。
勤勉な学生たちのために、書庫室などはもうしばらく開かれているというのでカジュはレーヴとシュウを急かしておもむいた。

修練書によると自己流ながらカジュは戦術や魔法攻撃などの基礎は出来ているようなので、簡単な応用について記載された本に目を通す。
レーヴはシュウの薦めるヒーラーのための基礎修練書を読んでみた。図の手順にあわせて集中力を高め、練習台のカジュに施術を試みる。
「・・・?なんだろう、なんとなく、腹の中が暖かくなってる様な」よくわからない感想にシュウはうなずいた。
「微弱ですが反応はあるようですね。能力が強くなるかは訓練してみないとわかりませんが・・・」

そこそこに収穫を得た後、時間も遅くなったので宿の客間へもどる。その道すがら、ジンが現れた。
「よう、勉強熱心だな」昼間のように笑顔を見せているが何処となく目つきがするどい。目線で路地の影をさす。影は薄くきえてなくなった。
「なんですか?」「さーね、言っていいって言われてないし」「・・・あれは僕たちに?」「そういう事だ、面倒だが」
「もしかして俺たちがそっちに付いて行く事になったから・・・見張りってことか?」「どっちの・・・どういう意味で言ってるんだそりゃ。俺を疑ってんのか?」
「いえ、すみません。正体不明の敵対勢力とみていいんでしょうか?あなたはそれを調べていて、ついでに今は護衛をしてくださった?」
「察しがいいのは助かるが・・・うーん、ま、そういうことだな。どうせわかる事だろう。上司のそういう指示」
未熟な自分が付いていくことを許された上に、守られる。今までは村の人やレーヴを守る側だったカジュのアイディンティティが揺らいだ。
「そういうわけだから、気ぃつけといてくれ。出来れば今夜はさっさと寝とけ、明日は早くなる・・・かもな」
ジンの言葉にカジュは目を丸くした「えっ、グレンさん体はへいきなのか?」「わからん。が、今ちょうどな」話を聞いているだろうと。
押掛けたのかと喉まで出そうになったのを堪えたカジュを見てジンは頭をかいた。「逆だ、逆。呼び出されたの、コッチが」「そ、そうなんだ」
「あー、もーめんどくせーな。さすがにこの国の英雄あいてに、勝手に”来い!”とか言いたくないんだよ、色々あって!」
ホラ!と無言で指で合図を送る。裏を含んだ言葉のやり取りには到底なれないカジュだが、何度も目の当たりにしてきたせいか、ハッと気が付いた。
「あ、えっと、俺らすっごい心配で・・・様子見たらすぐかえるから!一瞬でいいから!オネガイ!」「オネガイときたかよ」
「ぼ・・・僕らからも頼みます」「オネガイね、はいはい」
見るからにわざとらしく仕方ないなーという素振りの案内で再びグレンの部屋へ向かうことになった。


学園都市 グレンの自室、再び
4人で昼間に来たグレンの自室を訪ねる。扉の前には昼間と同じくマミヤが立っている。
なんだか部屋の中の様子が違うようで慌しい。さらに人が居る気配がする。マミヤは4人の入室をとめた。「ジン様はともかく後ろのお連れ様は・・・」
ジンは3人を待たせて1人で部屋に入った。気づくとレーヴの顔が真っ青になっていた。カジュとシュウが心配する。
程なくしてジンが部屋から出てくると眉間にしわを寄せて苦々しくため息をついた。そのすぐ後ろからシャンとマコトが部屋を出てきた。
どうやら例の睡眠障害から衰弱を引き起こしているらしい。さきほどまで意識を保っていたようなのだが。
「・・・。ちょうどいい、明日の朝にも此処を立つから準備しておいてくれ」カジュたちが訪れていることにも触れず指示を伝える。
「・・・ご容態は」「アカデミーのヒーラーは王国つきに劣らず優秀だ。任せるしかない」淡々と答えるがシャンの声色は重い。
森林の結界をどうすれば越えられるかという話にはいたらなかったという。だが向かってみなければ何があるかわからない。
「レーヴ、え?」青ざめたレーヴは寄り添うカジュに伝えた「え・・・っと、コイツ、グレンさんに逢いたい、って」さすがにカジュも言いよどむ。
「心配を、してくれるのは有難いが・・・」「レーヴくん、部屋に戻って休みましょう?」優しく諭されても白い髪が横に振れる。
シャンは少し考えた後、気が済んだらすぐに戻ることを条件に入室を許してくれた。

部屋に入ると学園付きのヒーラーと助手らしき数人がグレンの横たわるベッドを囲んでいる光景があった。
昼間に見た人なのに、同一人物かと疑いたくなるほどに覇気が消えうせている。眠っているだけのように見えるのに。
どうしてこんな異変が起きて、命が脅かされなければならない?グレンを覗き込みレーヴはおもむろにシーツの上から横たわる体に触れた。
さきほどカジュに試したのと同じ方法で集中力を高める。この空間にマナをあふれさせるイメージで。
立ち寄った村で本当に症状を緩和できたのなら、自分にヒーラーの力があるなら、一滴でも。
レーヴが祈るとふわっと人肌に暖かい風の波が部屋のなかをすり抜けて、ただそれだけだった。グレンに変化は見られない。
しばしして部屋を出ると、明日に備えてようやく客間に戻ることにした。3人は言葉少なに眠りに付いた。
(ここでレーヴが自発行動をとるのは未だ早い気もするので、カジュがレーヴに治癒を試させてみるのも・・・)

翌朝
早くから目が覚めてすっかり出発の支度を整えた3人は指定された時間どおりにアカデミーの正門へ向かうと、馬車がとまっていた。
これで大森林へ向かうのか?と顔を見合わせたが、馬車のそばにいたジンとマミヤによるとまさにそのようだ。
シャンとマコトはまだ来ていない。朝早くにグレンの意識が回復したのだという知らせに3人は表情を緩めた。そこへ足早に合流するシャンとマコト。
「揃っているな?問題なければすぐに出してくれ」マミヤを除いた全員が乗り込む。秘書的役割のマミヤはいったん別行動を取るようだ。
6人が乗り込む馬車が学園都市を後にして大森林方面へ続く街道に出た。一息つくと、落ち着かないカジュのかわりにシュウが切り出した。
「伺ってもよろしいですか?」「何を?」「いや、それは教えてやれよ」マコトのセリフに状況の好転が伺える。
「・・朝方に意識が戻って、出発前に話をすることが出来た。顔色も大分よくなっていた。これでいいか?」3人は次々に安堵の表情を見せた。
「確証はないが、レーヴの治癒が効いた可能性がある」「そうなのかっ?」「確証はないが、だ」「あの暖かい風みたいなのがなぁ」
マコトはなにか心当たりがるようだ。
「てゆーか初めて名前呼ばなかった?」「カジュとレーヴだろう」「ずっとオマエ、オマエだったじゃん!」
「同行者になった以上、それでは不便だろう?」「ひっっっど!!!!」「なんだか気があいそうでよかったですね」
昨夜の空気を払拭するように車内が活気付く。
「そういや、大森林の結界とやらはなんとかなりそうなのか」ジンの質問にシャンは頷く。
エルフも近隣の村とは、わずかながらやり取りを行っており、村人が森へ入る際の目印と合図があるという。グレンからそれを教わることが出来たらしい。
「思っていたんですが。となるとグレン将軍は大森林へ訪れたことがある上、エルフと面識がおありに?」
「そうだな、一応俺もあるんだが」何気なく発された一言に車内がどよめく。
「祖父に連れられてな、とても幼い頃に一度だけだ。当てにするなよ?」

街道を問題なく進み、数時間。気づくとレーヴとカジュが揃って眠りこけていた。あまり眠れなかったようだったとシュウからフォローが入る。
シャンも今のうちに眠っておけよ、とマコトが小声で伝える。どうせ部屋で付きっ切りだったのは判ってるんだ。シャンの視線がそれた。
「そうしとけ、更に一筋縄じゃいかなくなるんだろうからな」「体が資本ですよ」ジンとシュウの援護射撃が入る。支障はない。と答えるが。
「嘘付け、昨日カジュに食らったとき、変に腕ひねってたろうが。その上一睡もしないってのに先に進ませられるか?」「大した事はない」
「おまえの名誉を考えて、この二人が聞いてないときを狙って話してるんだ。いーか、いわせてもらうぞ、シャン。おまえが頑固で無茶をするから、危なっかしくて自分の仕事ができないんだよ・・・」
ジンは声を出さずに大口を開けて器用に笑っている。シュウはあーあ・・・と苦笑いをみせた。シャンは真顔で聞こえてはいるようだ。
「いい上司だよな」「そうですよね」「・・・・・・日が昇りきる前には起こしてくれ」マコトに軍配が上がった。


補足
  • マミヤは王国風のビジネスウーマン的な格好でシャンについて秘書のような仕事をしています。ジャポネの人間とはわからないレベル。
  • 主に馬や宿や消耗品の手配、進路を先行して快適にすごせるかなどの情報収集、ときに交渉ごとなど。とても優秀。
  • 王国内部に潜むジャポネと通じてる官僚?の差し金で就任。周りにちらつく影はマミヤの部下のざこさんたち。
  • 妄想設定ですが、コウサカ家=神が下界に降るための坂を護る一族 マミヤ家=神が下界に滞在する間の宮(すまい)を護る一族 
  • 両神=神を降ろす媒体の一族 というわけで コーサカとマミヤは右腕左腕二枚看板の超名家で能力もかなり高い幹部。
  • コーサカは研究施設で中和剤の開発を手伝う振りして邪魔している。コータをたぶらかしたり(笑)
  • マミヤはシャンに付いて手伝う振りして邪魔している。グレンの体調が突然崩れたのはマミヤの能力による。
  • レーヴの治癒能力は効きますが、もともと健康な人には意味がないので傍目には良くわかりません。
  • 砂漠の国で「温かい風」に似たなにかがあるようです。

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最終更新:2011年07月09日 18:03