少年は教室のドアをそっと静かに開け、しゃがみながら教室の中に入っていった。
そしてそのまま自分の机に近づいて行く。
「遅刻したんだったらもう少し堂々と教室に入ってこい峰木内。」
と黒板に英文を書きながら教師が教室全体に聞こえる様に言った。
「あ……バレました? いやーすいません。何故遅刻したかと言いますと……」
「言い訳はいいからさっさと席に着け。」
そう言われた彼は自分の席に座る。
彼の名前は峰木内天童。この学園都市の一学生にして強能力者である。人は見かけで判断してはいけない。
峰木内は椅子に座った後、ゆっくりと鞄から教科書類を取り出す。
英語の授業を受ける用意がようやく整ったところで、授業が終了したことを告げる放送が流れた。教師はその放送が流れたとほぼ同時に、峰木内を睨む。
アハハハハ……と峰木内は苦笑いする。
「峰木内、目が泳いでるぞ。」
教師はガラガラと音を立て扉を開け、教室から出て行った。
「……俺、どーもあの人苦手だなぁ……」
* *
「最近、無能力者が能力者に襲われる事件が多発していまーす。無能力者の人は気をつけて下さーい。」
担任の教師が気の抜けた感じでそう言った。
峰木内は担任の言葉を真面目に聞いてはいなかった。
峰木内はその事件に関係は無いとそう思っていた。
――そう……思っていた――――
「はぁ……やっと終わった……遅刻するぐらいならサボれば良かったかな……」
峰木内は今日の出来事に関する不満をぼやきながら帰路に着く。
……歩いていると何故か裏路地の前にいた。峰木内は何を思ったのか裏路地に入って行った。別に深い理由があった訳ではない。「何となく」である。
裏路地には不良の集団が溜まっていたりするが、自分の能力を使えば逃げ切れる自信があった。
でも今日の様な日に限って不良には出会わない。
つまんねーとか言いながらそのまま裏路地を抜ける。
だが不良達に出会わないのには、理由があった―――
その日、その裏路地を縄張りとしている無能力者の不良達のほとんどが一部の能力者達の手で、全滅させられていたからである。
執筆:ロヨートさん
最終更新:2011年10月27日 17:58