街中の電灯が点くにはまだ少し早い時間帯、飲空雪崩は帰路に着く最中に路地裏の前で立ち止まる。
確かここは学校でも悪い噂の絶えない不良達の溜まり場……雪崩はそんな話を思い出す。
教師として注意すべきか。 それとも、屯しているだけで別に悪い事をしていないのなら何も言わない方が良いのか。 数分立ち止まって悩む後、雪崩は意を決して歩き出す。
「注意するって決めた訳じゃないし……様子を見るだけでも、ね」
案の定、不良はそこにいた。
雪崩の予想と違ったのは、それが1人しかいなかった事だ。
「もう、こんな所で何してるの? 生徒達はみんな帰る時間なのに」
典型的な教師の台詞だが、新米の雪崩にとってはこの一言を言うのもなかなか勇気がいる。
「うっせーな、ダチを待ってんだよ。文句はいつまで経っても来ねーあいつらに言えっての」
小麦色の肌の上に薄紫のシャツを1枚だけ羽織ったいかにもなスタイルの不良が答える。
どうやらいつもここに屯している不良達の仲間のようだが、今日は彼1人しかいないようだ。
ここで雪崩は昼間の話を思い出す。
現在、学園都市内で能力者が無能力者を襲う事件が多発しているらしい。
まだ名前を覚えていない生徒も多くいる為、不良達が能力者か無能力者かどうかも分からない。
もし不良達が無能力者だったとしたら狙われてもおかしくない。
まさか、既に皆襲われた後なのではないか。 徐々に雪崩の不安感が増して行く。
「ね、ねぇあなた、いつも一緒にいる子達って、無能力…………」
者、と続けようとした雪崩の口が止まる。
―――――――――――――バタッ
「!?」
何が起きたのか分からなかった。
雪崩は考え事に集中して目の前の不良から数秒意識を逸らしていたに過ぎない。
その不良に再び意識を向けると、そこには力なく横たわっている不良の姿があったのだ。
「ねぇ、ちょっと…大丈夫!?しっかりして!!」
状況の分析よりも今は目の前の生徒の安否が最優先と考え、必死に呼びかける。
だが返事は無い。
代わりに、全く別の声がどこからともなく聞こえてくる。
「貴様も無能力者か」
雪崩は声の主を探すわけでもなく、ただ今の状況がはっきりと分かって蛇に睨まれた蛙の如く動けなくなってしまう。
今自分が直面している状況。 これこそ正に無能力者狩りだったのだ。
目の前の生徒がいつの間にかやられている事、そして今聞こえた台詞が無能力者を狙っているとしか思えない事。
「次に…狙われるのは………… 私…!!?」
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執筆:あさぎりさん
最終更新:2011年10月30日 18:31