『昨日午後未明、第6学区路上にて、スキルアウトが能力者によって襲撃されました。これは、最近多発している[無能力者狩り]と関連が………』
静かな寮の部屋の中、テレビから流れるニュースキャスターの声しか音と呼べる存在はない。
その中で一人、新聞を読みながら朝食をとる少女が一人…
時間は朝8時前、髪は銀髪のショート、きっちり着込んだセーラー服。
「………ハァ…最近、こういう事件多いな…ま、割とどうでもいいけど…」
右手に持った食パンにかじりつく。サクッとよく焼けた証である音が鳴った。
彼女は上崎音葉。第7学区にある高校に通う、少し能力が使えるだけの、ごくごく”普通の”女子高生である。
「私には、関係ないし…」
新聞を綺麗に畳んでテーブルに置き、食パンの最後の一口を平らげ、眠気覚ましのコーヒーを一気に飲み干し…
「よし。そろそろ行くか…」
時間は朝8時10分。学校に行くには少し早い時間。
しかし、一応彼女も能力者。いつどこでスキルアウトに襲われるかわからない。
寮から学校までは徒歩で10分ほどだが、もしもスキルアウトに見つかって、逃げる時間を考慮すると、どうしても早めに家を出てしまう。
「今日は普通に登校できたらいいな…いちいち逃げるのも疲れるし…」
テレビの電源を切り、携帯電話をスカートのポケットに放り込み、家を出た。
階段を駆け下り、夏の朝の陽ざしの下を、学校に向けて歩き出した。
流石に昨日の今日と言うだけあって、朝から風紀委員の姿が多いように見えた。
しかし…
「ようよう、銀髪のお嬢ちゃん。また会ったな」
少し細い道に入ると、案の定、昨日追いかけてきたスキルアウトの武装集団の2人の男がいた。
片方は金属バットを片手に持っていた。
「………私は、能力者じゃないと、何度言ったらわかるの?」
「最初から『自分は能力者じゃない』って言うやつに限って、結構すげぇ能力者だったりするんだよなァ…」
「………違う…私は…」
すると男は、ポケットから何やら取出し、上崎の目の前にちらつかせた。
「これ、何だか知ってるか? これはなァ…能力者かどうか調べるための機械だよ。こうやってボタンを押すとなァ…」
男がスイッチを押した瞬間…
「!?」
超音波にも似た高周波の音と共に、頭が引き裂かれるような痛みが上崎を襲った。
「くっ…ぐうぅああ! そ、それは…キャパシティダウン…!」
キャパシティダウン…一種の音響兵器を使い、能力者の演算能力を大幅に阻害する装置。
「お、やっぱりコイツ、能力者だぜ!」
「フン、やはりな…よくも俺達の仲間に手ェ出しやがったな…」
「私は…何もしてない…!」
「お前みたいな何考えてるかわからないやつが一番怪しいんだよ!」
音葉は、朦朧とする意識の中、必死に立ち上がり、スキルアウト2人組を睨みつけた。
「私の考えてることが分かった時、きっとあなたは私に関わった事を後悔するよ…? クスクス…」
音葉は…笑っていた。
そして、音葉の影が揺れて、大きく、そして盛り上がった。
「なっ…コイツ、キャパシティダウンの中で…能力を!?」
「私は…上崎音葉。能力は、影力操作(シャドウマスター)…レベルは4…これ以上、私に関わるって言うなら…」
最後の言葉を言おうとした瞬間、上崎の意識は完全に途切れた…
執筆:ラティさん
最終更新:2011年10月31日 22:47