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【七月序盤―First_event―】白き狩人、神への謁見

翌日、光はいつも通り学校へと向かう。
だが、その前に行くところがある。
それは生水 河船(きみず かせん)のところだ。
彼の両親は研究者でおそらく自宅はこの学園都市にある。
だが少し遠いのか、彼自身は学校から近い学生寮で生活しているらしい。


しばらくして光は生水のいる学生寮に到着した。
いや、学生寮というよりは寧ろ、小さな高級ホテルといった感じだ。
レベルの高い学校ならではなのか、それとも学園都市の出資の賜なのか。
玄関も厳重にロックされており、気軽に入れそうな雰囲気ではない。
すると光は管理人がいるらしき、受付の窓のほうに声をかける。
「あの、すみません。天照です。生水さんを呼んでいただけないでしょうか?」
しばらくすると窓から怪訝そうな顔をした管理人らしき若い女性が出てくる。
しかし、光の顔を見るとすぐに笑顔に変わった。
「なんだ、光ちゃんか。ちょっと待ってて。」
すると管理人の女性は端末に何かを入力し、しばらくするとマイク越しに話しかける。
もはや管理人室ではなく、管制室のようだ。
窓から見える内装も殆どが機械じみたものだ。
管理人が話を終えると何かのボタンを押し、ピーっという音と同時にドアが横に開いていく。
「オッケー、入っていいわよ。それにしても相変わらずちっちゃいねえ。」
「管理人さんこそ、ゴスロリドレス着ちゃって。全然似合ってませんよ、ふふふ。」
「はいはい、さっさと入る。変なモノが入ってきたら困るでしょ?」
冗談を交えながら光は寮の中に入っていく。
彼女が完全に寮の中に入って行ったのを確認するとボタンを押し、玄関のドアを閉じた。
そして笑顔だった管理人の表情は険しいものに変わった。



――無能力者狩りか、誰がやったのか知らないけど個人的には賛成ね。
    実力もない、ましてや努力しようともしない奴が平然とフラフラしてるのがそもそもおかしい。
     そんなんだから日本の学力や国力がどんどん落ちていくのよ……。
      尤も、ほんの少しだけど優秀な学生や学者がこの国を支えているわ。



“ついでに政治家という名の拝金主義者も狩りとってほしいものね!!”




光はエレベーターで5階に辿りついていた。
屋上を除けばここが最上階だ。
エレベーターから出るとそのまま生水のいる部屋へ向かう。
そして彼のいる部屋に辿りつくとインターホンを鳴らす。
“アマテラスかい?鍵は開けてあるから入ってくるといいよ。”
「もう、なまみず様!!それはやめてって言ってるじゃないですか!?」
“君の名字、どう見てもアマテラスとしか読めないよ?それに君も僕の名前を間違えているじゃないか?”
「ううぅぅっ……。」
“それよりもちょっと大事な話がある。すぐに来てくれ。”
そう言うとインターホンの音声は途切れた。
光は訳も分からずに部屋に入っていく。
居間らしきところに入ると生水が背を向けて待っていた。
「あの、なまみず様?」
そう言った途端、生水はいきなり光の両肩を掴み、壁に押し付けた。
痛そうな表情をしている光に対し、生水のそれは険しい。
「ねえ、光。昨夜、三人の死体が転がってたみたいだけど、君がやったの?」
「え、あ、……はい。」
「僕は殺すなと念を押しておいたはずなんだけど、どうして殺したんだい?」
「えと、私の友達を、李ちゃんを助けたかったんです……。」
視線を逸らし、泣きそうな光に生水は溜め息をつき、彼女を解放した。
「もういいよ。昨日、桜庭さんに許してってさんざん泣きじゃくられたしね。」
「え?李ちゃん?」
そう言うと李が奥から申し訳なさそうに笑いながら出てきた。
「李ちゃん!!どうしてここにいるの!?」
約束を守らなかった李に怒った光を生水が制止する。
「光、仕方ないだろ。桜庭さんは一人でいるのが怖いって、荷物を持って僕に助けを求めに来たんだ。」
「で、でも……。」
「それに、君は自分の家に泊めてあげようという発想は浮かばなかったのかい?」
「あっ……。」
「とりあえず、夏休みぐらいまで君の家に泊めてあげたらどうだい?」
「……そうだね。ごめん、李ちゃん。当分の間、私が護ってあげるから。」
「…ありがとう、光ちゃん。」
「さて、そろそろ時間だ。早く学校に行こう。」
そういうと三人は部屋をあとにした。




―――おはようございます。8時のニュースです。
     昨日未明、人気の少ない○○街で風紀委員2人、学生1人の遺体が発見されました。
      三人はいずれも何かで体を貫かれており、警備員が周辺を捜索していますが、犯人はおろか凶器すら見つかっていない模様です。




生水達が寮を出て行ったあと、管理人はラジオのニュースに聴き入っていた。
(風紀委員まで狩りの対象になるなんて、無能力者狩りが本格化してきたのかしら。それとも、単に風紀委員が地に堕ちたか……。)
そう思いながら彼女はひんやりとした紅茶をがぶ飲みした。


執筆:アブソリュートさん

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最終更新:2011年11月21日 17:53