この文章を書く理由。
これはTRPGの世界を俯瞰的に見ることで、現在TRPGが直面してきた問題に対する仮説を構築し、またそれに対応するモデルを模索することを目的とする。
簡単に言えば、ゲームマスターの待遇が現在のTRPGの閉塞を作ったのではないか?それではそれについての対策は何が考えられるだろうか?…と考えて見ることを指し。
また、その対策を単に個々の団体・個人の実行能力に寄与する"一人芸"の世界で終わらせるのではなく、「考えたなにか」を発展させモデルや制度にして(たとえばゲームマスターに対する利益配分制度、その制度を前提にしたTRPGの世界のリストラクチャリング)誰もが恩恵を受けうる形を目指すということである。
前置き
われわれTRPGに携わる者ががシステムと言うときにはそれが「TRPGのルールの全容」をさす。
これ自体はなんら問題ではない。
TRPGのルールはゲーム内で行われることがどのような処理を行い、どういう影響を何に与えるかというルールの有機的・体系的に定義しているという点でシステムと言える。
そしてそれらを学ばなくてはならないという点でTRPGゲーマーはシステムというものを、普通人よりもより深く理解しているといえる。
が、しかし、・・・これはあらゆる専門家が犯す誤りだが・・・それだけが、つまり自分の慣れ親しみ、学び、愛情さえ注いだ「それだけがシステムである」という視野狭窄に囚われればそれはいずれ・・・環境が変わり、その定義だけの範囲だけをシステムと考える事が相対的に時代遅れとなった時に・・・有害となるだろう。
塩野七生の主張によると「ある一つの民族・文明が滅びるというのは、彼らが堕落したとか、傲慢になったとかそういうことに起因すると言われるが、実際はヴェネチア人も滅びる寸前まで彼ららしさを維持し、しかし滅びるのである。あるときを境に彼らの強みが、弱みに変わるのである。」というようなことがあるらしい。
私たちがゲームのことを考えるときに、ひたすらに「ゲームゲームおもしろいゲーム・・・」と一方向の注力をすることは・・・もちろん必要ではあるが、しかしそれだけでは実のところより面白いゲームを生み出す結果になっていないと私は感じている。
TRPGに必要とされるシステム
今回はTRPGにまつわる二つの「システムの欠落」について語る、これは、逆に言えばこの二つのシステムが何らかの形で補完されれば、より面白いゲームへの路を切り開くことになると信ずるからである。
二つのシステムというのは、一つが「ゲームシステム」についてである。ゲームのルールの体系としてのシステムについても触れることにはなろうが、実際にはTRPGという営み全体をカバーするシステムはどういったものになるだろうか?という一つの提言である。
もう一つは、TRPGがさらされている「政治・経済システム」についてである。
私は、この文の上では、実際にどうマスターが話すべきか?とか、具体的にこうシナリオを書くべきだ!とかそういう事は言わない。
そういった主張はすでに多くなされているし、そういったものを問うことは別の方法で可能であると考えるからである、たとえばそういった文書を体系的に書くとか、サークルを作って実際にシナリオ集を作る・人材育成をやることで可能だろう。
具体的には以下のような事について、以下のような流れで述べることになるだろう。
具体的に述べる事
1)TRPG全般をフォローするシステム
TRPG全般をフォローするシステムというのは、TRPG生活というものをフォローし、その活動をより効率的におこなう仕組みを考えてみる。
TRPGはある視点から見れば高度なコンテンツ業であり、インターネットでの流通に適している部分があるが、ネットワーク化についてはまだまだ不十分な部分も存在するのでその点については特に触れたい。
- TRPGをするという営み
- シナリオ作成
- 前知識の提供
- プレイ
- インターミッション
- キャラクターの成長・経験
2)TRPGを囲む政治経済のシステム
この項では更に視界を広くして、TRPGを取り囲む環境自体が持つシステムについて考える。
このシステムの再構築は、効率を高め、結果としてより面白いゲームへと投資される資源(時間・能力)を増やすことに繋がるだろう。
TRPGの一次産業
- ゲームシステムデザイン
- ゲームワールドデザイン
- 編集者
- 販売者
- ゲームシナリオデザイン
- ゲームマスター
- エクセレントプレイヤー
- イラストレイター
TRPGの二次産業
TRPGの三次産業
- ゲームシステム構築者・運用者
- 教育
- ゲームシステム・ワールドデザイナー教育
- ゲームシナリオデザイン教育
- ゲームマスター教育
- エクセレントプレイヤー教育
- ゲームマスコミ
TRPG世界の実相とあるべき姿
- メーカーの役割
- 出版社の役割
- サークルの役割
- プレイヤーの役割
最終更新:2007年08月27日 16:43