TRPGの花はキャンペーンとか申しますが



実際においてキャンペーンプレイというのは、ことオープンのイベントでは下火であります。

もちろん、オープンイベントではこういった連続したゲームがやりにくいという制度の問題もあろうと思いますが、より問題な点はキャンペーンプレイをするためには膨大な背景知識が必要であるということが言えると思います。

実際、GEARにおいてのイベントでも、緻密な世界観を売りにしたシステムでリンクキャンペーンを行ったことが無いのはこのためであろう。それを裏付けるようにか、公式設定の呪縛から逃れるために"独自の変更"を加えたイベントを実施することが多い。

膨大な資料を十分に読み込んで共通認識を作るというのは非常に困難な作業なのだ。

さりとて小さな世界観では十分な楽しみが得られまい。
大の大人が何日も仮想体験(これは旅行のようなものだ)する風景がA4、5ページ程度の内容では心細い。



しかし、キャンペーンを始める段階でマスターが膨大な世界観を十分に認識することは難しい。

キャンペーンを始める状況を考えてみると、「前のキャンペーンが終わったから」「GMが変わって新たなキャンペーン」というのもあると思うが「新 しいシステムを入手したから」というのもあり、また過去にキャンペーンを終わらせていても「新しい世界設定集が追加されたから」というキッカケでスタート することも多い。

最低でも何かが変わったから(要員が、資料が、システム全体が)新しいゲームが始まるのである。

まぁ、それでも元々その世界観に興味があり、キャンペーンプレイの優位性に確信を持つプレイグループがやる上ではその苦労も乗り越えられるだろう。

しかし、例えばキャンペーンプレイ自体に経験がないプレイグループ(例えば本屋でシステムを買ってゲームを始めようとした人なんか)は膨大な資料を見て呆然とするだけだろう。

なんせ、それを学ぶことが意味があるかどうか確信がない人たちがキャンペーンを始めるのには、十分な量の資料というのはあまりにも重過ぎる。

キャンペーンプレイはなんとなく敬遠されていくのもやむ得ないのではないだろうか。



前回TRPGの日では、AGA直轄セルとして初心者対応研究会のイベントとして提案した"2STEP"はこういった現状に対応する一つのアイデアである。

アイデアとしては月並みであるが(アイデアなんてものは月並みなものです)「田舎世界(ローカル)」と「総世界(グローバル)」のカバーする範囲 を切り分け、田舎世界については小さな世界で完結させる(つまりキャンペーンのオープニング数話に適当な規模で終わらせる)というアイデアです。

風の谷のナウシカの、「風の谷」が田舎世界、そのほかの帝国だとかの設定が総世界という事になります。

既存のRPGでよくある「未知の大陸(プレイヤーが自由に設定してOK!!)」とかいうのとは異なり。

あくまでも、総世界で提示される範囲にすぐにアクセスできる範囲であるため、その後本格的にプレイをする方向に進めば、総世界へと飛び出して冒険を続けることが可能になるのです。

また、これらの設定作業はGMにもオープンにすることで、自分好みのキャンペーンのオープニングを設定(という事はキャラクターの設定もある程度 自由に設定できるということです)できると共に、マスタリング上の世界全体を設定する必要がないというメリットもある(全部設定したい?それなら独自に世 界観を作れば良いでしょう)。

またこうした設定を公認にしてオフィシャルが配布する形式を作れば、GMの力の活用にもなる。
プレイヤーは多彩な世界観を楽しむことができるというものである(もちろんグランドの世界観は同じだが)、キャラクターの立場によって世界は違う 景色を見せるものだ、例えば貴族として世界を旅するのと、巡礼者として旅するのでは当然違うだろう。旅にも出ようがない流民として都会に吹きだまるとすれ ば、その景色はまったく別物ではないだろうか?

キャンペーンプレイを再興するためには、もちろんキャンペーンシナリオ作るというアプローチも必要だろう。
と、同時に、世界のより効率的で、魅力的な提示方法についても考えなくてはならないだろう。
今回のアプローチはシステマティックな部分についてクローズアップしたが、もっと表現手法的な部分でも改善は考えられるだろう。

それについては、またの別の考察を期待したい。

最終更新:2009年05月07日 12:07