戦後処理開始

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戦争の結果は苦いものである。
藩王の部屋で、摂政や他の吏族たちからの報告を聞いて頭を抱える男がいた。
通称メガネ、藩王代理、王犬よりは地位が低いが藩王に代わり実質藩国の国政を回している男である。

実質遊びほうけている藩王補佐という身分だが、公的な身分は何一つ保証されていない。
なぜかいるし、いつの間にか消える存在である。ある意味、疑問に思うべき存在なのだが
誰も問題にしない。問題にして消えられたら困るからである。

それはさておき、
今回、帝国が戦犯探しに躍起になっていると聞き一番最初に行動したのがこの男であった。
情報官からの連絡を受け、帝国からの命令が来る前に国として摂政を確保すると宣言した。
「摂政しらいしを謹慎処分として王城の一室に軟禁する。
罪状は摂政権の乱用だ」
 更迭とまではいかないが、一時的に行動に制限をかける、という判断をくだした。
「エエー」
「ひどいですよ」
「うるさい、国が潰れたら困るだろうが。それにな、不正を働いたか否か帝国は問題にしていない。
適当に処分しようという心積もりなのは間違いないだろう。疑われるような行動は慎むべきだな」
 一人の命で国が助かるなら安い。
 はっきりそういうと書類の山に向かいなおす。
「それって摂政見捨てるってことですかぁ?」
「…そう聞こえなかったか?」
 しれっとそういうと、手元の紙束に目を通す。ジェントルラット藩国やら他の国も問題を抱えている。
順当にいけばそっちだが…。
帝国の宰相の顔を思い浮かべて多少鬱な気分になる。
国としてそっちに目を向けてくれればいいが、食糧生産の量や国内から裏マーケットの親父が石油王になるほど石油が出たことを考えるといつそれを名目にこちらにくるかわかったものではない。
 手持ちのコマが足りないのだ。
「話は全部聞いたぞ、メガネ!!」
「………あのな。王ならもっとまともな所から出て来い」
 部屋の片隅に詰まれたダンボールから藩王が登場する。
「優秀な人材を切るのはいけないんだぞ!!」
「国の方が大事だ」
 さらっと言うと、そのまま書類を持って藩王に投げつける。
「いいから、お前はたまってる仕事をしろ。無駄なことを考えるな」
 それから少し考えてメガネを押し上げる。
一呼吸置いて藩王に言い聞かせるように、つとめて優しい口調でこういった。

「頭が悪いんだから」

 地雷である。普通バカといわれて怒らない人間はいない。
まあこの場合は摂政に関して何か考えがあるとか言うものだろう、常識的に考えて。

「…ピギー!!!
 バカバカ、メガネ!!
 お前の母ちゃんネットアイドル、お前の父ちゃん人気ブロガー!!!
 お前のにーちゃん、じゃーきーがーん!!!!」

 藩王は思い切り怒りながら、今時子供でも言わないような捨て台詞を吐くと
ダンボールから出て、そのまま部屋を出て行ってしまった。
転がりながらではなく、ちゃんと歩いているあたりかなり
怒っていることが理解できた。

 代理は、仕方ないというように肩をすくめると、さっきから部屋にぼーっと突っ立っている
吏族二人をちらりと見る。
「…お前とお前、不正の証拠を集めて来い」
 挙句その場にいた吏族AとBに容赦なく仕事を振った。この男、根に持つタイプである。
戦争準備のときにへらへらしていた男2人の顔をしっかりと覚えていたのだ。
「…へ?」
「いや、俺?」
「二人ともだ。帝国が告発するならその前に無罪の証拠を集めるんだ。
 表向きは…不正の証拠集めだとでも言っておけ。
 向こうもさぞかし喜んでくれるだろうさ」
 また仕事が増える、とぶつぶつ言いながら少し笑った。
「優秀な人材が切られるような国、誰も残らない。そんなゲーム正しくないだろう。
 だったらルールに乗っ取って戦うまでだ。ほら行けよ」

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