合法律子

■キャラクター名:合法 律子(あいのり りつこ)
■性別:女性
■所持品:六法全書

特殊能力【法に入れば法に従え(トゥルーアドミニストレーター)

彼女の近辺10m、及び彼女の五感で認知した者において、違法なことをしようとしている者、またはした者にそれを止めさせる方向に苦痛を与える。
この能力における「違法」とは彼女が認識している法律や規則であり、裁量は彼女の認識によるものが大きい。
料理のためにコンロに火をつけるのは違法ではないが、建物を燃やすために火をつけようとすると気分が悪くなったり体の節々が痛くなったり道具を持つ手に激痛がほとばしったりする。
性質上、過失致傷・致死など意図せぬ規則破りの類いについては阻止出来ないことが多い。
姫代学園においては『生徒の魔人能力使用は禁止』という学則を認識することで魔人能力を使って悪事を働くものを探している。

プロフィール

姫代学園OGの法学者。身長は141cmしかなく、高校生どころか中学生と間違われることも。
癖っ毛を隠すため長い黒髪を左右でロールにしている。
六法全書をカバンに入れて持ち歩いている。魔人なのでそこまで重たいということもなく、分厚いので攻防に優れる(自称)が、使う機会は幸か不幸かついぞなかった。
学生時代は「魔人能力の使用は禁止」という規則があるため能力の使用を自発的に抑えていた(さもなくば自分が苦しむので)。
姫代学園の上層部の依頼で、今回の件に関わることになった。

プロローグSS

私は悩んでいた。先日あった電話のことである。
内容は「姫代学園に非常勤講師として潜入し、最近の学生失踪事件について調査せよ」という依頼である。

~~~

「冗談でしょう? 私は一介のOGですよ。教師の真似事なんて……」
「法学には明るかろう。在学中も成績優秀、魔人能力を抑え、問題を起こすこともなし。口も堅い。うってつけの人材なのだよ」
「……断ったらどうなります?」
「どうなるかは貴女自身が推察できるのでは」
「……受けましょう。必要なものはそちらで用意してもらえるのですね?」
「えぇ。非常勤講師としての籍、事務用品一式、その他諸々」
「それと、調査というと具体的にはどのように?」
「おそらく、犯人はこの学園に潜む魔人能力者で跳ねっ返りの学生。貴女の能力で引っ掛けることは可能でしょう」
「もし、私の手に負えないようなら?」
「その時は、可能な限りの調査報告を出してもらい、それを元に続行か中断かの判断を下します」

~~~

「安請け合いしすぎたかしら。いや、選択肢はなかったのだけれども」

先程、非常勤講師として授業を行ったものの、数人が明らかに気分悪そうにしていた。

「おそらくは常動タイプの魔人能力者……『生徒の魔人能力使用は禁止』といっても厳しすぎるわね。どうにかしたほうがいいかしら……」

などとぶつぶつ言いながら廊下を歩いていると生徒が一人行く手を塞いできた。

「あらぁ~? 転校生かしらぁ~? それも中一ぐらいの?」
「ハズレ。新任の講師です。用がなければ通してもらいたいのですが」
「そのタッパで先生を名乗るとか冗談も大概になさいな。先輩として礼儀を教えてあげませんとね?」

本当のこと言ったのに信じてもらえないのはいつものことながら困る。お酒を買うときも三度見された挙げ句免許証を見せるハメになるし。
ふと生徒の方を見るとお腹をおさえてうずくまっていた。

「な、何を、なさいましたの……あだだだ」
「何もしていませんが」

半分は本当である。私からは何もしていない。私の能力によって彼女が痛みを感じているだけである。
なんか頭部に圧力をちょっと感じたが、彼女のうめき声とともに圧迫感は消えていく。

「頭を下gあががががっ、グエッ、気持ち、悪い……!」

能力原理は分からないがともかくなにか押さえつけるタイプの魔人能力を使おうとしたらしい。

「大丈夫ですか? 保健室行きます?」
「大丈b……いぎぎぎぎうぐぇっ」

あれだけ苦しめば大抵の人は諦めるのだが、彼女は諦めが悪いタイプらしい。あるいは魔人だからか。

「ほら、肩貸しますから」
「く、屈辱……ごほっ」

半分引きずってるような感じになってしまうがなんだかんだで保健室まで連れてきた。
手早くベッドに放り込み、シーツを掛ける。あれだけ継続して私の能力を受け続けたならしばらく休息が必要だろう。

「多分日頃の行いが悪かったのでしょう。後輩いじめなんてやっちゃダメですよ」
「どうして……」

少なくとも彼女は失踪事件には関係なさそうである。
魔人能力の不法使用として報告をする手もあるが、それは自分の仕事ではない。

「犯人は外部の誰かって可能性もあるし……協力者がいればいいんだけど……」

それから、失踪事件に関係ありそうな話をそれとなく調べていくと、出るわ出るわのオカルト話。
魔人能力で起こしているのか、本当にオカルトが実在しているのか。
この件、一筋縄ではいかなそうである。


最終更新:2022年10月05日 22:38