久柳天兵

■キャラクター名:久柳天兵
■性別:なし(外見は男性)
■所持品:
  • “ヘルブレイザー” 長さ66センチの剣。†。
今は亡き山乃端一人が(勝手に)命名した天界の武器で未知の金属で造られた聖具である。 学園のボディチェックも潜り抜けて肌身離さず常に携帯している。
  • “翼” 
正真正銘天使のくろ()い翼。現在その原型をとどめていない。
翼長は約4メートル。その翅翼は舞えばさぞ美しかったことだろう。  
右翼は根元から切断され、喪失。  
もう片翼は風切羽も一枚残さず失った無毛。酷い火傷のせいだ。壊疽で垂れ下がり、薄く透けて青い静脈が浮きだし真っ赤な筋肉組織が剥きだし。  
おまけに複雑骨折と変形で骨が皮膚を突き破り、まるで何かのアンテナ。 穴だらけで異様に長くいびつに延びる翼とは呼べないシロモノを背負った今の姿は不気味な鴉の安まる案山子のようなおぞましい眺めだ。

 ────消えゆく光の残滓。残り少ない神の恩寵。

特殊能力【却火の恩寵(ニル・アンギラス)

人間の外見を捨て去ると顕れるこの天使の励起形態。
能力は魔人能力を無効化する権能。
その他、神話の天使同様に他者を蘇生させ、瞬間移動や念動力を持ち合わせている。

だが、強すぎる神の権能の力は天界から堕ちた彼の寿命を着実に削っていた。

この名前を彼の正体を知る極一部の人間から東○怪獣の相棒とツッコまれているが本人は特に気にしていない。
ちなみに彼は問題の怪獣初出演作品を1955年に劇場で観賞していて好意的である。

プロフィール

────久柳天兵。
23歳。姫代学園世界史教師及び二年学年主任。将棋部、TCG部、eゲーム同好会顧問。
童貞────しかしそれは表の顔に過ぎない。
彼には地獄から這いでた悪霊たちを狩り集めるため掟を破り、天界より下天した聖天使というもうひとつの顔があった。

プロローグSS

今まさにこの姫代学園の校門前にパトカーが三台に救急車が一台停まっていた。

姫代学園の長い長い渡り廊下には乾いた靴の音たちが。どこか軍歌じみて響き、ファンファーレにと非常事態警報のサイレンが鳴り響く。

靴音の正体は姫代学園の軍神“鬼無里(きさな)アゲハ”。

仲間数人とともに歩くリズムを崩さぬまま、されど肩を(いか)らせて、その長い髪を翻していた。

「あの変態野郎は一体何処に居る!?探しだせぇ!捕縛次第直ちに爆竹拡張を執行する!」

少女の怒気には隣で一緒に歩く警察官も邪魔が出来ない迫力に満ちて、
人の生殺与奪をほしいままにする者の、ゆとりとごうまんがここにある。
しかし、彼女にはこの程度、ここ姫代学園では散歩の範疇である。


「ところでお姉様……一体爆竹でナニをするのですか?」

この世界に『育ちの良さ』は、むしろ危険なものだ。

「花火?」

「あ゛~~君たちは知らなくていいよ。そのままの可愛い子でいてくれ頼む!」

一様、警察官は一言釘を刺した。




 ピン☆ポン☆パン☆ポ~~~ン♪


調子の少し悪いマヌケな響きに絶妙なタイミングで彼女たちは軍靴を止め、黙った。



隣の棟の職員室で話器を持つ彼は久柳天兵(くりゅうてんぺい)、今日の当直教師である。
髭剃り痕の青々と残る頑丈そうな顎に手を当て、首をかしげて、言葉を選んでいる。

『アー、……現在、知っての通り学園内に下着泥棒が居る。よって今日の授業の中止が決まった。姫代学園緊急事態マニュアルによって、生徒全員は担任の誘導に従い、速やかに寮に戻って施錠した上でこの状況が落ち着くまで決して外出しないよう通達する』

教室では机を叩く音と授業の早退に一部生徒たちからガッツポーズと歓声があがっているが、

『学園自治法では自己防衛のため、君たちの魔人能力使用には一時的な限定解除が認められている……が、今回の闖入者への魔人能力の使用を私は許可しない。絶対に』

「変態を許すな~!」「去・勢!去・勢!去・勢!」

『静かにしなさい』

「クッ……お姉様、残念ですが今日はここまでですわ」

プリーツスカートの上で、拳を握り、
鬼無里は羽織るコートの内側のハーネスから警棒を引き抜くと自棄(やけ)っぱちに叩きつけた。

「クソぉぉぉ……」


『鬼無里さん。壊した廊下の修理はご両親に請求書を送る』

一喝されてしゅんとなった。

校内放送を続ける彼の隣へやって来た用務員が耳打ちをすると久柳は礼をいうと、話を戻した。

『迎撃担当の榎波先生・我道先生・正不亭先生ー。今、下着泥棒はトイレの便器の中を往き来しています。二階のトイレの水を流してください、すべて大で。あとは警察に任せれば大丈夫です』


彼の宣言通り、犯人・城島真は運動場の個室トイレから噴出したところを取り押さえられて逮捕された。


“強きを挫き────弱気を助ける”


血道をあげる歴史を持つ姫代学園創立七十年でも過激さと実効性をもって鳴る鉄の教師陣であった。



やれやれというにふうに天井をあおぎ、

「いやはやお疲れ様です」


様子を窺っている刑事が深々と平伏した。

『いえ、とんでもない』

久柳は頭をかいた。外貌は決して老けていない。
刑事より年齢より上に見えた。年上に見えるのはしっかりとした仕事ぶりのせいだった。

「みなさん。事を荒立てず事態に対応して、生徒たち誰一人に怪我がなかったことは大変喜ばしいことです。お疲れ様でした。パンツも戻ってきた」


その後の事後の処理に人心地ついたように溜息を吐いて腕時計を見てしおに、解散した。

「あら?久柳先生残るんですか?」

『いえ、今日の早退で流れた小テストを直しに……』

「今日の下水からの下着泥棒に、先週は校庭に暴れ牛が現れたでしょう?」

人なつこい苦笑を浮かべながら去っていく男の背中に、同僚の科学教師・榎波春朗は聞こえないよう声を低めて告げた。

「やめとけ!やめとけ!あいつは付き合いが悪いんだ

どこかに行こうぜって誘っても楽しいんだか楽しくないんだか…
久柳天兵(くりゅう てんぺい)』23歳 独身
仕事は真面目でそつなくこなすが今ひとつ覇気のない男……
なんか上流階級っぽい気品ただよう顔しているから生徒や保護者にはもてるが教頭からは夜警とか使いっ走りばかりさせられているんだぜ。
悪いやつじゃあないんだがこれといって特徴のない今時の影の薄い男さ……」


最終更新:2022年10月05日 22:39