嘘予告篇『フレンド』

その日、少女が召喚したのは、友達だった。

『フレンド』

幼き日、池の畔でなく少女にもたらされた奇跡。
それは、黄金色に輝く愛らしい瞳の小動物らしき謎のナマモノだった。
少女は友達に名前を上げた。
「ゴメちゃん」
ゴールデンでメタルっぽいからゴメ。皆が少女のネーミングセンスに恐怖した。

最初は得体が知れないと娘の身を案じた父親だったが、2人が無邪気に遊ぶ姿を見て警戒を解いた。
ついでにお抱えの絵師に20枚にもわたる連作を描かせて妻に怒られた。

自分にも他人にも厳しい母親だったが、誰も周囲にいない時には娘の友達を抱きかかえてゴロゴロと転がった。
「烈風」の二つ名を持つ彼女は、可愛いものに滅法弱かった。

時がたち、少女は魔法学院に入学する事になった。
全寮制の為、生き物は持ち込めない。
彼女の家の実力をもってすれば特例を認めてもらえただろうが、彼女はそれを断った。
少女は貴族の証たる魔法を成功させる事が出来ない。だからこそ、彼女は貴族の範となる事を誓っていた。
そして、召喚の日。扉をくぐってきたのは、実家に残した筈の友達だった。
友を使い魔にしていいのか。
躊躇する少女に友達は笑いかける。その笑顔を見て、少女も笑みを返した。
そうだ。例え何があっても、わたしたちは友達だ。

こうして2人は主と使い魔になった。

それからは色んな事があった。

愛らしい友達は、たちまち皆の人気者になる。
少女が同級生と決闘騒ぎを起こした時、友達は少女を守る為に広場に登場した。
その姿を見て同級生はあっさりと負けを認めた。
「いや無理だから! あんなちみっちゃいナマモノ攻撃するのムリだから!」
鼻血を出して言う事ではない、と少女は思った。

怪盗が宝物庫から宝を盗み出した。だがそれは囮。怪盗は何者かに依頼されゴメちゃんを攫おうとしていたのだ。
誘い出された少女たちに襲いかかるガーゴイル。だが土壇場で怪盗は少女に味方した。
「あんな可愛いナマモノを狙えるわけがないだろ! さっさと逃げな!」

幼馴染の姫の依頼で、婚約者と共に空飛ぶ城に向かう少女。
戦争の悲しさと王子の誇り、涙を流す少女に再び刺客が襲いかかった。
ガーゴイルの攻撃を、婚約者と王子が撥ね返す。
「ルイズの友達は僕の友でもある! お引き取り願おう!」
「おのれレコンキスタめ! こんな愛らしいナマモノを襲うとは人として許せん!」
「うわあ気が合うなあ王子! でもゴメちゃんは渡せないけど!」
「いやそもそも君のものでもないだろ子爵!」
少女は頭を抱えた。大丈夫かこの変態紳士たちは。



遠くガリアの王宮で、狂える王は命令する。
「余のミューズよ。一刻も早く彼の使い魔をここへ連れてくるのだ。
あのプニプニした体を想像するだけで心が震えるわ! 当社比シャルルの三倍くらい!」

命を下された女は思う。
ついうっかり捕獲に失敗してヤっちゃっても私悪くないよね、と。
てか私よりあんなナマモノのほうが上なんかい。

そして、燃え盛るタルブの村と空を覆う戦艦を前に、少女は叫ぶ。
己の系統たる虚無の呪文と、そして自分を支え続けてくれた友達の名を。


ダイの大冒険からゴメちゃん召喚。
近日未公開!

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最終更新:2008年12月03日 18:14
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