『……メガンテ』
――ああ。
『貴様らぁ……っ、よ、よくも――を……!』
オレは……死んだんだな。勇者との戦いでドジっちまって。
ここはあの世か? 青い空、白い雲――立派な建物も見える。起き上がって辺りを見てみると人間のガキが周囲にわらわらいやがる。
本当にあの世なのか、ここは。とりあえず攻撃しようとしたところで目の前の小娘がでかい声で叫びやがった。
「やった! 成功したわ! よろしくね」
「……は?」
何言ってんだ、コイツ。おまけに周りの奴らも心温まる眼差しで見ている。
「とうとう“ゼロのルイズ”の汚名返上だな」
「春が来たのね。よく頑張ったわ」
「すばらしい……!」
何だ何だ、このハートウォーミングな言葉は? いったい何なんだよ!
「わたしはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。あなたは?」
「……フレイムA」
そう、オレは勇者一行に挑んだもののヘマしちまって死んだはずだった。何でこんなとこにいるのかわからねえが、一刻も早く戦いに戻らなきゃならない。
当然こいつらをサクッと片付けて……と言いたいところだがオレはフレイザード様みたいに強くねえ。
よーく観察してみるとどうやら全員魔法使いらしい。その中にはオレの苦手なヒャド系呪文を使う奴もいるだろう。
犬死する気はないからまずは状況を――
「あんたはわたしの使い魔になるのよ」
「ふざけんなッ!」
いくら下っ端とはいえ栄光ある魔王軍の一員たるこのオレに、人間の――それも小娘が使い魔になれだと!? バカにするにもほどがある!
だが、抗議しようとしたオレの口は小娘の唇でふさがれた。
……熱くねえのかよ? というかこれってキスってやつじゃねーか。
そういやオレ、フレイムPにもブリザードBにもフられて、生きてきた中で恋人いなかったんだよな。でもこの小娘はためらわずオレにキスしてきた。
ってことは、オレに気がある?
よくよく見ると人間の中では可愛い方だと思う。多分気が合いそうだ。
さよなら冬の時代。オレは人生の春と夏をエンジョイするぜ……って待て待て。いくらなんでも魔王軍としての誇りが――。
でも、妙な紋様が光るとオレは変な気持ちになった。言われてみれば使い魔な気がしなくもない。
ぎゅっと抱きしめられてオレは思わず頷いてしまった。
――こうしてオレの第二の人生が始まった。
~たぶん続かない~
バーン様、ミストバーン、マキシマム、そしてフレイムA。
どう見ても嗜好が偏りすぎです本当にr
最終更新:2008年08月03日 14:13