逃げ道の封鎖


逃げ足の速い玉

相手玉を寄せようという矢先に、ヒョイヒョイと玉が逃げて行ってしまったということはありませんか?「玉の早逃げ八手の得」という格言があり、玉を戦いの場から早いうちに逃がすことで手得をしたり、詰みを回避しようという意味です。実際にぴったり八手得するというわけではありませんが、それくらいの効果があるということです。したがって自分が寄せられそうな時には玉を早めに逃がすというのも有効なので、終盤のテクニックとして覚えておきましょう。
しかし自分が寄せる側のときに相手玉に逃げられるのは阻止しなければいけません。そういったときは玉の逃げ道を先回りして封鎖してしまいましょう。
具体的に局面を見てみます。

さてこの局面で次の一手を考えます。相手の守りはほとんどなく、龍とと金があるので完全に優勢です。しかしここで焦って▲5二となどと指してしまうと△3三玉▲4一と△3四玉と逃げられてしまい寄せが遅れてしまいます。(失敗図1)

(失敗図1)
終盤は速度が肝心だからといって早く寄せようとしても、逃げられて結果的に遅くなってしまっては真逆のことをしたことになります。
ここでは△3三玉と逃げ道があるのに注意して考えましょう。
そこで▲3四歩と考えた人はなかなかセンスがあります。金をとどめを刺すために残すというのは終盤において大切な考え方です。「金はとどめに残せ」という格言もありますからね。
しかしここで▲3四歩だと、逃げ道の封鎖ということで△3三玉を消すというのは正しいのですが△4四歩とされると、なかなか捕まらなくなってしまいます。以下一例ですが▲3四歩に△4四歩▲6三と△4三玉▲5二龍△3四玉となり寄せが遅れます。(失敗図2)
(失敗図2)

正解は▲3四金です。
ここでは玉の逃げ道を完全に封鎖するために金を打ってしまいます。こうすると▲3四歩とは違い△4四歩とされても玉に逃げられる心配はありません。以下△3二玉▲5二と△2二玉▲4二とと銀取りをかけて先手の勝ちです。(結果図)
(結果図)

まとめ

「玉の早逃げ八手の得」という格言を知っていると受けよりも逃げを取ることもあります。玉の逃走が成功すると入玉されたり一手差で負けてしまうことがあります。なので早いうちに玉の逃げ道を封鎖する感覚を身につけましょう。逃げ道の封鎖は遅いようで実は早いのです。

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最終更新:2009年05月05日 17:45