石田歩成

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dangerousss

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石田歩成(いしだ ほなり)

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いわゆる「元奨」の一人。幼い頃から将棋に打ち込むが、14歳の頃にプロ入りを目前にして魔人化し、奨励会を追い出された(魔人のプロ棋士や奨励会員は認められていない)。ゆえに将棋の実力はかなり強く、中堅プロにも匹敵すると噂されている。魔人将棋界ではそれなりに知られた存在だが、奨励会員で魔人化する例は彼だけではないため全国的に有名というわけでもない。
性格は冷静沈着で、勝敗にはこだわるが、あくまで理知的に勝つ方策を追い求めるタイプ。棋風(将棋の傾向)は軽快に相手の攻めを捌いて攻め勝つ振り飛車党。
自分たちのような魔人「元奨」の受け皿となる「魔人将棋連盟」設立を目指して、トーナメントに参加することとなった。また、これまで呪い続けてきた自分の能力と向き合う為という個人的な想いも含まれている。
身体能力は平均成人男性(非魔人)のそれと同じぐらいかやや下回る程度。

【持ち物】
マグネット将棋盤:将棋普及の為常に持ち歩いている
くしゃみ剤(散布型):旧日本軍が開発していたとされるくしゃみ剤をどこからか仕入れてきたらしい
マスクとゴーグル:自分がくしゃみ剤を吸い込まないように用意された特注品

魔人能力『伊藤流・盛上駒踊り食い』

対象者に「お願いします」という挨拶を聞かせたら発動。
対象者の口内に静安書の見事な飴色の盛上駒「玉将」「飛車」「角行」1枚、「金将」「銀将」「桂馬」「香車」2枚、「歩兵」9枚 計20枚具現化させる。
対象者の口中から駒が一枚なくなるたびに体力が全快時の1/20ずつ減っていく。
王将は自分自身の口中に具現化され、これが口中からなくなった時は、その戦闘は「自分の負け」とされる(これは概念能力であり、互いと周りに「勝った」「負けた」という認識が強く刷り込まれる)。また逆に対象者の口中から「玉将」がなくなった時は「相手の負け」になる。
吐き出した駒は口に戻せば本人の体力も回復するが、バラバラに砕けた場合は不可能(「駒が戻った」という認識にならない)。
また飲み込んだ場合も「口の中」から出た扱いとする。この場合も口の中まで戻せば回復だが、やはり完全に咀嚼されたり、胃の中で消化されてしまった場合は不可。
どちらの場合も「玉将」「王将」の場合は先に「勝敗がつく」効果が発動する為戻しても効果はない。
なお本人は女の時にしかやりたがらないが、相手の口の中に入っていた駒を自分の口に含むと、その分だけ相手の体力を吸収できる。

(GK注:既に発動中の相手には二重がけ不可)

プロローグ

歩成は呆然としていた。
「将棋をやめて、どうしろと言うんだ……?」
3歳で父親から将棋を教わって11年間、ロクに勉強も運動もしないで将棋だけに打ち込んできた。そして念願の四段(奨励会は四段昇段でプロ)を目の前にした三段リーグの最終戦で、彼は魔人化して、奨励会を追い出されたのだった。
将棋に捧げた11年間。他に身につけたことは一つもない。今から他のことで生計を立てろだなんて、世間を何も知らぬ彼にはあまりに酷な話である。
「親父は高校までは出してやるからその間に身の振り方を考えろと言ってくれたけど……」正直に言えば高校入学に足る学力があるかどうかも怪しい。そう口にするだけの勇気は、彼にはなかった。
「くそっ……くそっ……僕があの時、女の子の口に将棋駒を詰め込んで虐める妄想に股間を膨らませていなければ……」
自分の能力すら恨めしかった。そんな能力を生んだ自分自身も、そんな自分を産んだ両親すらも、全てが恨めしかった。
それが、歩成の能力が生まれた直後の話である。

「歩成さーん……歩成さん?」
「分かってるよ、ちゃんと聞いているさ」
「本当に大丈夫なんですか? 歩成さんに活躍してもらわないと僕達皆困るんですからね」
歩成は自分の過去の追憶を振り払うと、目の前の角田銀直(かくたぎんちょく)に向き合った。彼も魔人「元奨」であり、魔人将棋連盟を設立しようと奔走する仲間の一人だ。
「大丈夫だ。今回のトーナメントは、僕達の計画で大事な一歩を踏み出す足がかりになるからな。手抜かりをさせはしないさ」
今回のトーナメントには多くのスポンサーが参加している。魔人将棋界に興味を持ってもらえれば、たとえ優勝できなくても設立に向けての話し合いの場が持てるかも知れない。
そのためには、なんとしてもこの場で目立ち、視線をひきつける必要があった。
「這い上がってやるさ……将棋しか出来ない社会の屑だろうと、絶対にな!」
そのためにも、先ずは自分を肯定出来るようになるところからだ、と歩成は密かに決意を新たにするのだった。


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