ぬるま湯オードーの混沌AZ

■キャラクター名:ぬるま湯オードーの混沌AZ
■読み方:ヌルマユオードーノケイオスアズ
■性別:女性

特殊能力『原初・開闢の光』

黒き剣の軌跡さえ白く輝いて見える神速の一閃が、「いまだ分けられていない、ありとあらゆるもの」を二つに斬り分ける。
形あるものは無論、若人の曖昧な関係性や、この気持ちはなんだろう‥‥‥や、ここまで出てる言葉をも、切り分け明確にする。

設定

湯女。
永い時を生きてきた正体不明の大和撫子。
彼女は毎年、年越しの瞬間にジャンプする(天と地の法則から外れる)ため、歳を取らない。
光が存在する前の宇宙に似た、果てなき深淵に染まる黒刀をさげる。
剣の腕は比類なく、切るも切らぬもAZ次第、自在に振るう。

老舗公衆銭湯『ぬるま湯オードー』
銭湯の屋号。また、濁り湯の底に溜まる泥の呼び名。
その泥はかつては人の形をしていた。
彼は泥と湯に身を委ねたため、彼の代わりに土と水つまり地球が歳を取る。
AZと血縁関係にあるが、どちらが先に産まれたか、あまりに古いことなので忘れてしまった。

『黒刀・未侵の闇』
この刀は『光』以外のあらゆる要素を内に含む。
『たこ焼き』でもあるから食べることができ、『空手道場』でもあるから門下生の掛け声が響いている。
もちろん『妖刀』でもある。

プロローグ

『路地裏その1』

路地裏は強姦の枕詞。
裸体の大男に後背で抱えられた少女は、地に足つかず、人形のようにぐったりとして、だらりとさがる腕がゆさゆさと揺れている。
少女に意識はなく、男の運動に呼応して、息をもらすだけだ。
剥き捨てられた制服は汚されている。少女の吐瀉物と、形を保った人参と血の赤さで。

裂けて股から流れる血は、男の腰とぶつかってうすく赤く広がり、少女の腿の血行は良好そうに見える。

男はだんだんとピストンを速め、いっとう力強く腰を打ち付ける。
その衝撃たるやぺニス発勁に準じ、少女の内腑を破壊するに十分だった。

短い静寂のち、男は少女を地にうちすてる。
そして卵の殻を砕くように、たやすく、その頭骨を踏み抜いた。

‥‥‥毎日レイプして100歳まで生きたとて女は20万いれば足りる計算だ(なお日五回は射精したい気分になる)。一般化するつもりはないが、女性に人権があるかぎり使用後は殺しておくが後腐れない。
自分らしく生きる。
貧乏人が穴だらけの靴を愛着もって履きふるす、
金持ちが毎日毎日フレッシュなおろしたてを履く。
ぼろぼろの靴を哀れんだり、履き捨てを資源浪費と詰るのはやめよう。
自分勝手な了見で他人を計ることをやめよう。
自由に生きよう。
一般化するつもりはないが、心の豊さこそ本当の幸せだから。
True Life...‥

肯定感に包まれながら身支度を整え、男らしくあれた一日に満足し、誇らしく笑みをこぼしていた。
そこへ影が。
街明かりの方から現れたというのに、ひどく暗い人影。シルエットは女体。
ボキキキキキ!!!
男は自らが強ばるのを感じた。
自然現象だ、生理現象だ。
息が短くなり、胸弾ませ、よだれが垂れる。
足がぷるぷる震え腰がかくかくと揺れ、犬のように舌を出して、血走った目が見開かれる。

男は、



男は→

→性的興奮によってぺニスが強ばっていた。
あるいは
→霊感的恐怖によって顔が強ばっていた。



男は→自らの衝動に任せるまま→

→飛びかかりぺニスをつきたてた。
あるいは
→飛び退き尻餅つき小便を漏らした。



影は→

→笑った。影の笑みは人間に許容しうる域にない。男は瞬時に射精し、三億の精子は空中で受肉した。神の御業である。天使が舞い降りて、肉の川の前で困り果てていた。
あるいは
→笑った。笑いたかったから。つい先ほどまで男がそうしていたように、弱者をなぶることは喜びだと知っていた。
あるいは
→笑い飛ばした。「うけ彦~」。男の無様さはまさにうけ彦と呼ぶべきものである。うけ太郎に留まることはない。
あるいは
→飛びかかる男を一切認識せず、影はすれ違った。



影は→男の→

→ぺニスを斬り落とした。影の端がまばゆき、刀身が輝いて見えた。斬った事実のあと影は刀の形を持った。光を置き去りにした剣筋。→斬り裂いた。鈴口からめくれた肉の内側はアセロラゼリーと同じ色合いをしていた。→陰茎がめくれると腹がめくれ、男の臓物がさらけ出された。男の腸は張りがなく、焼きごてで「膣」と印されている。→血は飛び散るのではなく、大きな一滴となって、一体感を保っていた。これが24時間テレビで培った絆の力である。→悪事であれば千里を走れるのに…男は初めて正しい行いをしてきた自分を悔いた。→ぺニスが脳に達していることに気付いた。男が全長183cmの男根であるならばその所有者がいる。誰なのか考えを巡らせた。→影は、自分自身に男根がないことを思い出した。「何年ぶりだろ」男の頭を自らのへそに突っ込むことで一体感を得た。男性性を獲得した。無性に暴力が奮いたくなる。暴れまわり日本国から一切の生命が消え去った。→弱きものを守りたくなってきた。人の世のloveが潰えぬように天使たちに祈った。→人の世のポリティカルコネクトレスが光輝いて見えた。
あるいは
→中に潜む違和に感づいた。一太刀を振るうことで、男の中に潜むものを明確にしていく。暴力性を、嗜虐性を、死生観を、経歴を男自身から分けて、そこに残った心の所作は、恐怖、そう呼ぶべきだろう。→そこに残った心の所作は、信仰、そう呼ぶべきだろう。→そこに残った心の所作は、まだ名付けられていない感情だった。→そこに残ったものは、一個人の魂、そう呼ぶべきだろう。→そこにはなにも残らなかった。彼の持つ体細胞の数より多い斬撃に、残るものなどあろうはずもない。
あるいは
→決死の覚悟で繰り出した一撃を、刀の側面で防いだ。剣術ではない。黒の刀身は「相撲取り」である。力士であれば禁止技48手のひとつ、肉壁を使えるのも道理だ(行司を盾に突っ張りを防ぐ技。行司は天皇を拝しておられるが、十両以上のてっぱりに耐えることはできない)。渾身の一撃を容易くいなされ、あっけにとられる間もなく、返す刀で一文字に男は斬り裂かれた。→必死の覚悟で繰り出した一撃を、刀の側面で防いだ。剣術ではない。黒の刀身は「ストラディバリウスと黒ニス」である。誰にも、この二つを打ち破ることはおろか揺らがすことさえできはしない。誰にも。混沌の存在を除いては。→やぶれかぶれで繰り出した一撃を、刀の側面で防いだ。剣術ではない。黒の刀身は「地中海」である。いくら石を投げ海をさざめかせたとしても、大海はあまねくを包み込み、そして静寂が訪れる。渡り鳥は風と太陽だけを目印として、行くべきところへ行こうとする。人間も同じだ。行くべきところへ行き、帰るべきところへ帰ろう。男はどろどろに溶けてその魂は地獄へと落ちていった。→最終奥義超克旋回覇神王禅断を、刀の側面で防いだ。剣術ではない。黒の刀身は「ぬるま湯オードーの混沌AZ」である。人間が生まれる前から人間としてただ地上に君臨し、大きなものが小さく分かたれていくことに惹かれるだけの無垢な少女ではあるが、人智を越えるものを決して人間の眼で計るべきではない。あまりにも巨大すぎるものに惹かれてしまうと滅してしまうのが人の理だから。

 収斂。

 霧がかった湯気のような靄のような、騙されたと思って聴いていた話がマルチの宣伝だったような世界観がすっぱりぬぐい去られ、明確に見える。
 ようやく男は、アズの持つ獲物を見た。
 闇夜にあってなお暗い、底知れぬ黒の剣だった。
 剣はすでにふるわれ、男はすでに斬られていた。
 剣はどのような切れ味を見せ、自分がどのように抵抗したのか、判別はなにもない。ただ如何なる可能性があっても決して敵うことはない、それだけを確信している。
 男の開いた瞳孔の奥、潜む死と同じ深さの闇の剣。

「汝、望むまま混沌に帰れ」

 すでに斬られた男に、影はもう一太刀。男とこの世を切り離す。
 黒き剣が光輝いて見えるほど条理逸した太刀筋は、斬られて死なねば見ることすら叶わない。

あるいは

影はそこにおらず、ただ男はこの世界から消え去った。



達人の奥義は斬るを斬るとせず斬る。
混沌であれば斬らずをせずせずせず。
活殺自在。人は自ら望んだ未来を選ぶことができる。

True Life is Your Life.....






「大丈夫?頭」
頭は大丈夫だろうか。
「ん‥平気」
レイプされ頭ふみぬかれた少女はあどけない唇を朗らかにゆるませ、自らのお腹をいとおしそうに撫でた。
「妊娠してるかな。家族。産まれるといいな。‥‥‥ねえパパは?」
「さあ。誰ともすれちがわなかったけど。それより大事な体だったらぽんぽん冷やしちゃいけないよ」
精子や土埃血で汚れた衣類を少女がもたもた着る。その様子を暖かい目で混沌AZが見つめていた。
「妊娠した気がする‥‥‥すっぱいもの食べたいし」
「じゃあうちで風呂あびてレモン牛乳にしよう」
「わーい」
少女は不死者。
いまだに産まれたことがなく、産まれていないのだから死ぬこともない、無垢な存在。
もちろん妊娠もしない。
だが未来はあまりに多くの可能性と奇跡に満ちている。
光と闇が、天と地が分けられてなお、まだまだ世界は動いている。
一所懸命おのおのが自らを輝かせて、星みたいに命を燃やしている。

何があってもおかしくないし、おかしいことなどなにもない。

True Life is your Life! yeah!....
最終更新:2021年02月21日 21:29