リボンねこ「K.T」
■キャラクター名:リボンねこ「K.T」
■読み方:りぼんねこけーてぃー
■性別:女性
特殊能力『ドキ☆ドキcollaboration(クソコラボ)』
両手に持ったAの物質とBの物質をぶつけることで、二つを融合させる能力。生物と無生物、どちらにも効果は及ぶため、ワーウルフやリザードマン、果ては岩人間や機械人間も造ることが可能。融合したものにチョップをぶつけることによって、融合解除が出来るが、解除能力は周りに隠している。
設定
多摩ニュータウンエリアを牛耳る地下組織「チャンリオ」の首領。表の顔は屋内遊園地「チャンリオリボンねこランド」のメインキャラクター。同施設のキャラクター「ボムボム犬」「ジャイメロディー」「信濃凶手」は直属の幹部。
身長は大巨人の果実五個分(約2m)、体重は大巨人の果実三個分(約210kg)の恵体ボディ。耳元の赤いリボンがトレードマーク。筋力、握力はゴリラ並み、大人一人をアイアンクローで軽く浮かせるほど。その異常な筋力ゆえか、防御力も同様に高い。散弾や拳銃弾では彼女の装甲を抜くことは難しいだろう。
可愛いマスコットキャラ「リボンねこ」としての顔と、残忍で非情な「K.T」としての顔を使い分ける狡猾さ、一代で多摩ニュータウンを掌握した辣腕ぶりから、「悪のカリスマ」と称賛される。
プロローグ
東京都下、多摩市で開園31年目を迎える、屋内遊園地「チャンリオリボンねこランド」。当時日本初の屋内型テーマパークとして産声を上げた同施設は、キャラクターショーを中心としたアトラクションや、グッズの売り上げで業績を上げ、この地域の定番プレイスポットとして定着していった。
だが、リボンねこランドは「チャンリオ」の真の活動のカモフラージュに過ぎなかった。巨大犯罪組織「チャンリオ」。闇金、特殊詐欺、武器、麻薬密売等、多摩ニュータウンエリアで起こる重大犯罪のほとんどが、「チャンリオ」絡みの案件である。
組織のボスである「K.T」は、その単純暴力の強さと、様々な局面において多彩な顔を使い分ける狡猾さによって裏社会を恐ろしいスピードで駆け上がり、多摩ニュータウンエリアを表裏で完全掌握、今なお組織の勢力を拡大させて行きつつある。
◆ ◆ ◆
殺風景な会議室は、剣呑な雰囲気に包まれていた。
「おうジャイメロ。K.T様が何かご立腹の様じゃねぇか」
「ああ、多分あの案件でしょう。ヒガシナカノの裏スカウトの件」
「うちの構成員も何人か引き抜かれ始めてるみてぇだ。調子に乗りやがって」
殺伐とした会議室の雰囲気に見合わない、ゆるいビジュアルの二人が、ひそひそ話をしていた。巨大犯罪組織「チャンリオ」幹部であり、リボンねこランドの人気キャラクターでもある、「ジャイメロディー」と「ボムボム犬」である。
多摩ニュータウンエリア内で、「チャンリオ」構成員が謎の失踪を遂げる事件が相次いで確認された。しかも決まって魔人能力者ばかりである。調べを進めていると、どうやら「ヒガシナカノ」と呼ばれる場所に、全国各地から引き抜かれた魔人ばかりが集められているらしい。今の「チャンリオ」の規模ならば、構成員が数名引き抜かれたところで痛くもかゆくもないが、複数の魔人が集まり結託されれば、いずれ「チャンリオ」を脅かす存在にもなりかねない。
「失踪した構成員については、俺の方で既に数名拘束して、始末をつけている」
横から口を挟んだのは、「チャンリオ」暗殺部隊のトップ、「信濃凶手」である。こちらも例にもれず、ゆるい白犬のビジュアルをしている。
「流石ですね。シナノン。相変わらずの手際の速さだ」
「だが、桜ヶ丘支部や連光寺のガキ共など、依然姿を消している連中も多数いる。K.T様もそのあたりを案じておられるのであろう」
「どちらにせよ、ナメた野郎はぶっ殺す。逃げた奴も、誘った奴もな!」
「―—あらあら、頼もしいことね」
会議室の扉が開く。同時に、凄まじいまでの「圧」が、中の三人を襲った。
「!!」
「け、K.T様……!」
姿を現したのは「チャンリオ」の首領。自らの名前を冠した遊園地のメインキャラクターであり、多摩ニュータウン裏社会の「顔」でもある「リボンねこ」ことK.T。
彼女の登場により、会議室の空気はさらに凍り付く。万が一でも言葉を違えれば、たとえ幹部である彼ら三人であろうと、容赦ない粛清が待っている。かつてボムボム犬の部下であったある構成員は、怠け者というレッテルを張られ、ぐでっとした卵人間にされた。
三人の幹部は、神妙な顔つきで上座に座ったK.Tの様子を伺う。表情こそ柔らかなものであったが、滲み出るどす黒い攻撃的なオーラが、彼女の怒りを表している。
(ぬう……っ! 何というプレッシャーだ)
(やべぇぞ。こいつは相当頭にきていらっしゃるぜ。心臓を鷲掴みにされてるようだ)
「下らない前置きは置いときましょう。今日、何故私がお前達を呼んだのか分かって?」
信濃凶手が恭しくK.Tに報告を始める。
「……ヒガシナカノの件でしょうか? 恐れながら、引き抜かれた脱走者数名は即座に拘束し、処分しましたが、まだ行方を追えない者もおりまして……」
「ああ、そのこと? それはどうでもいいわ」
(ヒガシナカノの件では……ない?)
(ジャイメロの野郎、テキトーなことを言いやがって……)
静かな怒りの炎を燃やすK.Tの口から出た、次のフレーズは意外なものであった。
「冷蔵庫のプリン。誰が食べたのかしらね」
三人の幹部の内、一人の心拍数が急激に撥ね上がる。まさか、そんな筈はない。
冷蔵庫に入っていたプリンは、3個パックの安物。シュクレペール(多摩センター店)のバニーユならともかく、K.T様ともあろうお方が、そのような駄菓子同然のプリンを食べるとは、夢にも思わなかった。そもそもK.T様、ヨーグルト派じゃなかったっけ?
幹部の一人は顔にこそ出さないが、背中に冷や汗が伝うのを感じた。動揺を悟られれば、怒れる彼女の制裁が待っている。
「あれ、うちに来てくれた小さなお客さんの差し入れだったのよね」
その可能性は失念していた。致命的なミス。だが、まだ詰みではない。まだプリンを食べた者が誰なのかはーー
「まあ何にせよ、誰のものか確認を怠った時点で、私的にはアウトなんだけど。ねえ、ボムボム犬」
ーー余裕で詰んでた。
「も……申し訳……ございません」
「貴方がそんなにプリン好きだったとは知らなかったわ。上司失格、ね!!」
K.Tがボムボム犬の前頭部を掴む。脱出不能のアイアンクロー。白い指がボムボム犬の頭蓋に食い込む。リンゴ程度なら瞬時に握りつぶすその握力が、彼の脳天を締め上げる。ボムボム犬はK.Tの腕をつかんで必死に抵抗を試みるが、彼女の圧倒的な腕力の前ではその努力は空しいものであった。
「あ……ががががっ!」
「フフ……貴方の好みを忘れないように、相応しい姿にしてあげるわ」
K.Tの左手には、いつの間にか安物のプリンが握られていた。K.Tは右手にボムボム犬を掴み、左手にプリンを掴んだまま、両腕を左右に広げた。
「K.T様!?」
「まさか!!」
そして、大きく一丁締めを打つ様にそれらを身体の目の前でぶつけた。
ーードキ☆ドキcollaboration!
空気を裂くような乾いた音が会議室に響く。二人の幹部が、目の前の光景に戦慄する。制裁を受けた哀れな同僚は、「リボンねこ」K.Tの魔人能力によって、プリンと融合させられてしまったのであった。
「お……俺は……一体?」
「あら、キュートな姿になったじゃない。ボムボムプリン」
「え……あ、ヒイイッ!!」
融合前と比べて、でっぷりとした体形、プルプルとした肌の質感、焦げ茶色のベレー帽が、彼をプリン犬へと変貌させたことを物語る。こうなってしまえばもう後戻りはできない。彼は生涯、この姿で生きて行くこととなるのだ。
(愚かな。冷蔵庫のものを勝手に食べるなど、浅慮にもほどがある)
(しかし恐るべきはK.T様。ボムボム犬ほどの用心深さなら、プリンをくすねるとき、周囲に誰かいないか確認をしているはず。我々の動きなど、お見通しというわけですか)
変わり果てた姿となったボムボムプリンが項垂れる。しかし一つだけ、納得がいかないことがあった。
「K.T様。俺がプリンを奪ったのを、どうやって知ったのですか?」
「知らなかったけど?」
「「「え?」」」
幹部三人が一斉に声を上げる。
「いや、一人目が下手人じゃなかったら、二人目三人目とプリンにしてけばいいだけでしょう?」
ジャイメロディーと信濃凶手の血の気が引く。この理不尽ともいえる恐ろしさこそ、彼女が暗黒街の女帝たる所以であった。
◆ ◆ ◆
多摩ニュータウン裏社会の女王、「リボンねこ」K.T。彼女率いる「チャンリオ」が、ヒガシナカノとの全面抗争に至るまで、残り50日。
ここまで書いといてなんだけど、このキャラDIYカードにイラスト描き起こすの、アウト寄りのアウトじゃね?
最終更新:2021年02月21日 07:38