ある日の
新潟ロボットサービス。
「…と、これでよしっと」
なにやら
せきやが引き出しの中からシールを取り出してきて、僕の左肩に貼り付けた。
「何なの、これは」
「忘れたのか?今日からお前も学校だろ」
そうだ、思い出した。
今日は僕にとって特別な日。初めて学校に行く日なんだってコト。
せきやが貼り付けたのは、学校の校章だったのだ。
「よく似合ってるぞ、
ドラゴ郎」
「そ、そうかナ…」
僕はちょっとだけ照れくさくなった。
「せっちゃーん!一緒に学校行こー!!」
玄関先には一人の女の子がいた。誰かを呼んでるようだ。
たぶんせっちゃんとはせきやのことなのだろう。
「…こっちも準備できた。でもちょっと待ってて。紹介したい人がいるんだ」
「紹介したい人?またまた、せっちゃんは叔父さんと二人暮しでしょ?」
「いや、実は家族が増えたのさ」
まぁ、そんなわけで緊張した事もあったけど、僕ドラゴ郎の学校生活は始まったのであった。
学校といえば、まずは友達が欲しいところ。とはいえ、誰にどうやってコンタクトをとろうか。
…と、考えていたらせきやが球に僕に自己紹介をふってきたもんだから…
「紹介するよ、こいつは竜人形ロボットのドラゴ郎。よろしく」
「は、はじめまして、ドラゴ郎ですっ」
緊張して声が裏返りそうになったケド…まぁ、つかみはOK…かなぁ?
「ふぅん…」
その女の子は僕のほうをじっと見つめてくる。そしてしばらく睨むように見つめたあと…
「あーっはっはっは、見るからに間抜けそうな顔してるわねー」
「ま、間抜けってなんだよッ」
「ま、あたしは上田
まるこ。よろしくね、バカドラ☆」
おいおいおいおーーーいっ!なんなんだバカドラって!
間抜けそうな面してるとかトゲ刺すにも程度があるぞっ!
まぁともかく、僕とせきや、まるこの三人は笑いあったりしながら路面電車に乗り込み…
学校へ向かったのであった。
それからいろいろあって昼休み。お弁当を食べ終わった僕とせきやは、教室を移動していた。
次の授業は物理。つまり実験室に行くことになっていたのだ。
そんなときだった。女の子の叫び声が聞こえた。助けを求めているようだ。
「ねぇせっちゃん、あれって…」
「あぁ…いじめ…だな…」
よく見ると、なんやら図体のでかい男が、悪そうな生徒数人を引き連れて女の子を取り囲んでいた。
「のォ嬢ちゃん、いい加減にワシと付き合ってくれんかいのォ?」
「いやっ!女の子を取り囲んで乱暴する人は嫌いなのっ!!」
「そうかぇそうかぇ…しかし女の子は泣いてるときのほうが可愛いのォ…ヘヘヘ」
「どうするのよ…」
まるこはその様子を放っておけない感じだった。続いてせきやがつぶやく。
「助けに行くか…」
「おおーい!相手はあの番長だぞ!?」
近くにいた男子生徒がせきやを引き止める。続いて女子生徒もせきやを止めようとする。
「そうよ!あいつに逆らったら新潟くんボコボコにされちゃうよぉ!」
「じゃあどうしろっていうんだよ!このまま放っておけってのか?」
そんな会話をよそに、僕は現場の様子を見ていた。
見ているうちに…胸の奥から、何かがこみ上げてきた。
そうだ、女の子を数人がかりでいじめるなんて許せない。僕の心には怒りの炎が点っていた。
「なぁ、ドラゴ郎、お前は…あれ?ドラゴ郎?」
僕はあの子を助けるために一心不乱に走り出していた。
「へっへっへっへ…」
「いやぁぁぁ!誰か助けてよぉ!」
「待て!!」
「ん?」
僕は出せる限りに声を張り上げ、番長だったっけ?そのデカイ図体の男を睨みつける。
「あぁ、なんじゃぃおどれは?見ん顔じゃのぉ」
「ドラゴ郎だ!その子は嫌がってるじゃないか!もうその辺で放してやれよ!!」
しかしそいつらはいうことを聞こうとしない。それどころか、なおもその女の子を取り囲んでいる。
僕は頭にきて、そのデカイ奴の脛を目掛けてひと蹴り入れた。
「ぎゃああぁぁぁー!な、何をすんじゃいぃ!」
「やめろって言ったろ!女の子相手に数人がかりなんて卑怯な真似はやめろ!!」
「くっくっく…おどれはワシが誰かわかっとらんようじゃのぉ…」
そいつの周りの空気がよどむ。まるで僕を威圧するかのようだ。
「ワシが龍ノ目高校の番長、高田馬場ばんごじゃあ!!」
……一瞬の間。
そして直後、僕は咄嗟にこう切り返していた。
「…バンバンジーがなんだよ!さっさとその子を放せ!」
「……おどれ…ワシの名前を間違えよったなーーー!!チョロ!サブ!あのウスノロをシメたれぃ!!」
奴の子分と思しき不良生徒が僕に向かってくる。あいつら…鉄パイプなんかもってやがる!?
咄嗟に避けようとするが、狭い廊下の中、思うように動きが取れない。
「しまっ…」
僕は足を取られその場に倒れこんだ。そして鉄パイプで背中やら頭を何度も叩かれる。
「へっへっへ!カッコつけてた割には弱いじゃねーか!どうする?」
「バラバラにして港に埋め立てちまおうぜ!こんなポンコツ俺たちの相手じゃねえな!ヒャッハー!!」
………僕の怒りは、ここで爆発した…。
「なっ!何ぃ!?」
僕は両手で鉄パイプを握り、そのまま力に任せてへし折った。
その時、僕はどんな顔をしていたんだろう…?
少なくとも、そこにいる不良がビビッてんだから、相当怖い顔をしていたんだろう、きっと。
「だ・れ・が…ポンコツだァァァァァァッ!!!」
「どこのっほ!!!」
僕はそいつらの腕をぐっとつかむなり、向こう側の壁へ向かって投げつけた。
壁には勢いよく穴があき、そいつらはどっかに飛んでったようだ。
「おどれぇぇ!ワシの可愛い子分になんちゅーことすんじゃい!!」
「そっちの自業自得だろ!」
「もう許さん!この高田馬場ばんごが直々に相手しちゃるわいぃっ!!」
番長はその巨体をふりかざしパンチを浴びせようとする。
僕は身をかわしてギリギリのところで避けた。パンチは壁に当たる。
そのパンチが当たった壁を見ると、なんとヒビが入っていた。
あんなパンチを食らったらいくら僕でも『ケガ』をしてしまうかもしれない…。
だけどあの子を助けるためだ。僕は隙をついて奴の懐に飛び込んだ!
「ガルルンパワー全開!巨漢の弱点はここだぁ!!正中線四連突きィ!!」
距離を一気に詰めた僕は、真正面から突きを喰らわせる。
その勢いで、番長の巨体は吹っ飛び、さっきの不良どもと同様に壁を突き破ってどこかへ飛んでいった。
「ぐおぉぉぉぉ!何なんじゃこいつわあぁぁぁぁぁぁ!?」
「…二度とこういう卑怯なマネはするなよっ!ったく」
僕は先ほどまでいじめられていた女の子に駆け寄る。耳のパーツから判断するに、ロボットのようだ。
「大丈夫?ケガはない?配線とか切れてない?」
「き、君は…?」
「僕はドラゴ郎。今日からこの学校に通うことになったんだ…じゃあ僕は授業あるからこれで」
そう言って立ち去ろうとしたその時だった。
「待って!」
「!?」
「あたし、
ちとせ…北見ちとせ!助けてくれてありがとう、ドラゴ郎くん!!」
「え…いや、お礼なんか言われちゃうと照れるなぁ、えへへ…」
すっかり嬉しくなっていたその時だった。
「何してんのよこのバカドラ!もう授業始まるわよ!!」
「しびびびびびび」
突然雷が落ちてきた。読んで字の如く、本当の雷である。
まるこの雷を受けた僕は、その場に倒れこんでしまったのであった…。
ていうか、雷を落とせる人間がいるなんて聞いてないよ…。
「…まるこ、気絶させてどうするんだ」
「あっ…」
最終更新:2010年10月20日 01:09