「超お嬢様!? 梅津寺えりす登場だガルルン!」
文:OXY_GEN
僕が龍ノ目高校に通うようになってから、1ヶ月が過ぎようとしていた。
あれから、僕は色んなことを知った。
この世界には、人間やロボットの他に、「竜人」や「獣人」と呼ばれる種族がいること。そういえば、
ちとせをいじめてたたかだのバンバンジーの子分にも、犬みたいなのがいたっけな。あれが獣人だ。
せきやの友達にも渋沢[しぶさわ]まことっていう竜人がいるし、僕らの担任の八景[はっけい]みなも先生も竜人だ。何より、僕、
ドラゴ郎自身が竜人をモデルにして作られたロボットなんだ。
そして、「魔法」という不思議な現象を起こせる人がいること。あの時、僕に雷が落ちたのは、
まるこが使った魔法だったんだ。
そんなある日のこと。
「なあ、知ってるか? このクラスに転校生、来るらしいぜ!」
クラスメイトの1人が、興奮ぎみに話しかけてきた。
「何でもすっげー美少女でお嬢様なんだってさ!」
どうでもいいけど鼻息荒いぞお前。
「お嬢様かあ・・・」
どんな子なんだろう。やっぱり気になる。優しい子なんだろうか?僕は自動的に、バイオリンやピアノが似合う、清楚な少女を思い浮かべていた。
と。
ビリビリビリビリ!!
僕の思考は、教室中の窓ガラスが振動するものすごい音で中断させられた。
「な、なんだ!?」
半ばパニックになるクラスメイトたち。
ババババババババババ!!!
「ヘ、ヘリコプター!? 近いぞ! っていうか近すぎる!!」
そう。1機の白いヘリが、校舎をギリギリかすめて飛んできたのだ。ローターの巻き起こす風で窓ガラスが振動したのが、さっきの音の正体だった。
「ただのヘリじゃないぞ・・・。あれはアメリカ陸軍AH-64アパッチ! しかもローターマストにレドームがある! ということはD型のロングボウか!!」
何だか妙にうれしそうに叫んだのは、軍畑たけるだった。彼は、兵器などに異常に詳しい、いわゆる「軍事オタク」っていう奴だ。あと、苗字の読みは「いくさばた」なんだけど、最初「ぐんばた」って読んでキレられた。
それはともかく、そのアパ何とかっていうヘリは、校舎をひらりとかわして、グラウンドの真ん中に着陸した。ローターの風で砂嵐が巻き起こる。ローターの回転が遅くなり、ヘリのドアが開いたと思ったら、そこから赤いカーペットがコロコロと転がされ、学校の玄関まで道を作った。そして、それから1人の人物がヘリから降りてくる。
「うわあ・・・」
自分の目を望遠モードにしてたから、僕にはその人物がよく見えた。女性・・・いや、少女だ。僕らと同い年くらいかな? 白いブレザーを着こなしてる。すごくきれいなプラチナブロンドのロングヘアが、まだ回ってるローターの風を受けてなびいてる。そして目は、澄んだ海みたいに青かった。
その少女は、背筋をピンと伸ばし、玄関まで一直線に歩いてきた。
ひょっとして・・・。
僕の予感は的中した。
今、僕らの目の前に、その少女がいる。自信に満ちたような表情だ。そう、彼女こそ噂の転校生だったんだ。
「梅津寺
えりす」
みなも先生が、黒板にそう書いた。その少女の名前だろう。その名前を見た途端、クラスメイトがざわめいた。
「今日からみんなといっしょに勉強することになった、梅津寺[ばいしんじ]えりすさんよ」
紹介された少女・・・梅津寺えりすが口を開いた。
「ご紹介にあずかりました梅津寺えりすですわ。よろしくお願いいたします」
そして一礼。何だか舞踏会(実際にそんなのに出席したことないけど)での一幕みたいな優雅なお辞儀だった。
「梅津寺・・・って、まさか・・・」
せきやが震える声でつぶやいた。その声が聞こえたからかどうかはわからないけど、梅津寺えりすさんはさらに付け加えた。
「わたくしは梅津寺インダストリー及び梅津寺コンツェルンCEO(経営最高責任者)、梅津寺
ありすの娘ですわ」
「ば、ばいしんじ・・・コンツェルン・・・」
その会社の名前は僕も聞いたことがあった。というか、このクラス、いや、この日本で知らない人はまずいないんじゃないかな?
梅津寺コンツェルンは、重工業の梅津寺インダストリーを中心に、ありとあらゆる業種に進出し、莫大な利益を上げてる、日本でも有数の巨大企業グループだ。特に、梅津寺インダストリーは、日本の三大ロボットメーカーに数えられてる。僕を作った豪徳寺[ごうとくじ]グループ、ちとせを作った五位堂[ごいどう]エレクトロニクス、そして、梅津寺インダストリー。このクラスにも、琴平[ことひら]すえという、梅津寺製のロボットがいる。
そんな会社の社長の娘が、なんでこんな町のこんな県立高校に? まったくわけがわからなかった。
そして、ポカンとしてる僕らを尻目に、さらに2人の転校生が教室に入ってきた。てか、転校生なのか?制服着てないぞ?
「高浜[たかはま]うこん・ダヴェンポートと申します。えりすお嬢様の執事でございます。皆様、えりすお嬢様をよろしくお願いいたします」
糊のきいたスーツを着込んだキツネ獣人の少年が一礼した。執事・・・?
「港山[みなとやま]オレナっていいます! えりすお嬢様のメイドです! よろしくです!」
エプロンドレス・・・っていうのかな?を着たタヌキ獣人型ロボットの少女が、元気に挨拶した。メイド・・・??
何だか、とんでもない事になりそうな予感がする。僕の学校生活、いったいどうなるの!?
最終更新:2011年01月03日 15:59