あの事件から何日か経ったある日の昼休み。
すっかりクラスのみんなにもすっかり馴染んできた
ドラゴ郎に、
ちとせが声をかけてきた。
「どらごろーくんっ!一緒にお弁当たーべよっ!」
「あぁ、なんだちとせか…せっかくだから一緒に食べようかなー」
ちとせは例の事件でドラゴ郎に助けてもらって以来、時折こうして一緒に弁当を食べるようになった。
ふふ、羨ましいヤツめ。はぁ、僕にも彼女が出来たらいいけど、仕事が忙しくってそれどこじゃないんだよな。
それもこれもあのグータラなおっさんが悪いんだ、まったくあの人が働かないからいつもこっちが…。
まぁともかく、そんな昼休み。僕も弁当を食べ始める。
クラスの各々が弁当を食べている一方で、一部のロボットは充電を始めている。
その様子を眺めつつ親子丼をほおばっていた時だった。
「…よぉ新潟、ずいぶんと美味そうな弁当じゃないか」
…出た。授業中もキラーキャップを外さない男…ミリタリーマニアの軍畑たける…。
頼むから、お願いだからほふく前進で移動すんのだけはやめてくれ。
いやホント、見てるこっちが恥ずかしいんだって。
「…で、なんの用だ『ぐんばた』」
「ちがぁぁう!いいか!俺の名は『いくさばた』だ、間違えるな!」
「はいはい。それで何の用?」
と、僕が呆れ半分に質問すると、軍畑は自分の通学カバンから何かを取り出していた…。
「や、特にすることもないもんでなぁ…ちょっとここいらで昼食をとろうとしているのだよ。お、あったあった♪」
そう言って軍畑がカバンの中から取り出したのは…。
「…ナニコレ」
「何って?レーションだよ、レーション」
…あぁ、やっぱりお前はそういうものを持ってくるのか。ていうかどこで入手したんだそんなもの。
まぁ、レーションって言うのはアレだ。軍隊の間で支給される食料のことだ。
「…ま、俺たちの間では『ミリ飯』と呼んでいるがね」
ああなるほど、ミリタリーのメシだからミリ飯か。うーむ、しかしミリヲタのやることはわからん…。
と、楽しい昼食をとっていたその時、異変が起きた。
「きゃぁ!?」
「うわぁっ!!」
クラスのどこかから悲鳴が聞こえてきた。一体何がおきているんだ!?
…いそいで駆け寄る僕とドラゴ郎。そこで見たものは…
なにやら巨大な装置。砲台だろうか?すると装置の近くにグレー色の竜人が現れた。
「んー、調整は十分…超音波切断機でどこまで切れるか試してみようではないか」
なにやら怪しげな雰囲気をかもし出す白衣、その背中には「自重無用」の4文字。
間違いない、あいつは塩釜ひりゅう、校内きってのトラブルメーカーだ…!
何とかしてあいつを止めないと!と思っていたら、ボーダーコリー獣人の犬山が飛び出した。
「てめぇ!また性懲りもなくこんなもの作りやがって!ぶっ飛ばしてやる!!」
しかし、飛び出していった犬山に向かって塩釜はすごい形相で斬り返した…。
「なんじゃあっ、文句あんのか!?てめぇバラバラにしてポシンタンにしちまうぞ!?」
…うわー。こいつやりたい放題だなあ。
「犬山、退けッ!お前が正しいけど退けッ!!」
「塩釜くんは本当にやるわよ!」
「お前は悪くない、悪くないぞ!!」
などという様子を見ている場合じゃない。もしこのまま放置すればそのうち死者が…!
まぁ、大抵の場合は復活するんだろうけれど、少なくとも犠牲者が出る前に止めなければならない。
しかし僕にもこれといった戦闘能力はないし…どうする、と思ったその時だった。
「…ドラゴン……スパーク!!!」
「がべれ!!」
ドラゴ郎が自分のエネルギーを使って塩釜ごと装置に飛び込んだのだ。
装置はそのまま壁を突き破って外へ放り出され、空中で大爆発。
しかし、ドラゴ郎にあんな戦闘能力が秘められていたなんて…。
「母さん、貴女は一体何の目的でドラゴ郎を作ったんですか…」
「やれやれ、せっかくの食事が台無しだよまったく」
ブツクサ文句を言いながら、唐揚げ丼を食べるドラゴ郎。
まぁ、食事をジャマされた上にあんなハタ迷惑なもの出されちゃ誰だって怒るわな。
しかしよく食べるなぁ……と思いつつドラゴ郎を見ていたその時、軍畑が再び現れた。
「…ドラゴ郎くんとやら、たいした戦闘能力じゃないか」
「え!?あ、いやまぁ、なんだ、うん…」
「…そこで早速なんだが」
「?」
「レーション食わないか?」
…おい、そこでレーションかよ。
最終更新:2011年01月03日 17:33