(やべっ)
ゼルは駆け出した。不意に木陰から現れた少女と目が合ってしまったからだ。
何故逃げ出したのかは分からない。 きっと、女を相手にするのが
気が引けたのか、ただ単にびっくりしたからだけなのか。
ちら、と後を見、木々の間を伺う。
「ちょっと! 待ちなさいよっ!!」
追って来ていた。
栗毛色の髪を揺さぶる少女の予想以上の速さに、ゼルは驚嘆した。
(こりゃあ、案外逃げて正解だったかもな・・・。)
「待ちなさいって言ってるでしょ!?」
だがこのまま逃げ続けても埒がいかなさそうだ。
しかし、「待て」と言われて止まるのは何だか恥ずかしい気がした。
2分ほど走っただろうか、まだ少女はついて来る。
流石に全力疾走はキツイ、少し息が上がっていた、が、ココまで来ると
既に意地だ。追い付かれる訳にはいかない。
(・・・お)
つと、開けた場所に出た、瞬間、ゼルの足が止まった。
正面10M程の距離を置いて、男が立っていた。鋭い視線をこちらに向けて・・・。
(あ、逃げた)
不意に木陰から現れた男と目が合った瞬間、その金髪の男は逃げていった。
そして、
アリーナは追いかけた。 殆ど条件反射の様なものだった。
心細かっただけなのかも知れない。 追って、追い着いて、何をするのかは
考えて無かったが、その男の逃げ足の速さについ叫んでしまった。
「ちょっと! 待ちなさいよっ!!」
男は逃げ続ける。 そして、叫んだ以上は追うのをやめる訳にもいかなくなった。
「待ちなさいって言ってるでしょ!?」
アリーナは追い駆けながら考えていた。
ブライ、 そして、クリフトはどうしているだろうか・・・。
幸い、あの場所には居なかったが、
一人になる。それをこんな不安な気持ちに感じるのは初めてだった。
(?)
金髪の男が立ち止まっていた。 観念したのだろうか。
いや、こちらを見ていない。 不思議に思いながら後ろに並ぶ。
(!!!)
正面、黒いジャケットを着た、赤いドレッドが目を引く男が立っていた。
そして、その男の足元。 一人の男が死んでいた。
「ハッ。」赤い男が口を開く。
「いきなり魔法なんぞ撃ってきやがるからよ、 ・・・にしてはあっけなかったぜ。 んで、」
赤い男はこちらを交互に見やり、両手を広げ、言う。
「お前等は俺を楽しませてくれるのか?」
(こいつは流石に逃げられれぇな・・・)
ゼルは心内で舌打つ。 横を見ると少女は既に身構えていた。
(くそっ、やるしかねぇな!)
【ゼル 所持品:
電話機(未装備)
第一行動方針:赤い男と交戦
基本行動方針:戦いを好まず】
【アリーナ 所持品:
ショートソード(未装備)
第一行動方針:赤い男と交戦
基本行動方針:戦いを好まず】
【現在位置:アリアハン城南の森】
【テラ 死亡】
【残り 109人】
最終更新:2011年07月17日 17:19