レナはレーベ南西の草原地帯を歩いていた。
自分と共にこの世界にいるはずの姉を求めてもう数日間こうして歩きつづけている。
幸い誰とも遭遇しなかったが、疲れ果てていた。
ふと今まで草しか見えなかった草原に小さな影が見えたような気がした。
レナは短刀を構え、足音を立てないようその影に忍び寄った。
「うえーんうえーん」
近づくと一人の少女が泣いているのがわかった。
年はかつて旅をした仲間クルルと同じくらいだろうか。
少女は草原にへたり込み、声をあげて泣いていた。
少女が心配なもののレナはしばらく様子を見ることにした。
なにしろこの世界にいるのは全員が敵なのだ。
「子供だからといってうかつに油断はできないわよね…」
しかしレナがしばらく見ていても少女は一向に泣き止む様子はなかった。
それどころか段々体力もなくなっていくのが声が小さくなっていく。
「お母さん…お父さん…みんな~…おなかすいたよお…お家に帰りたいよお……」
子供のように泣きじゃくるこの少女にレナは本能的に危険は無いと察し声をかけた。
「ねえ、あなた」
「誰っ!?」
突然声をかけられたことに驚き、少女は泣き止んで声のした方を振り向いた。
「安心して。私はあなたと戦う気はないわ」
レナは少女を怖がらせないようになるべく優しく話しかける。
少女は警戒を解かず小さな
リュックを抱きしめ、レナの方を睨み付けていた。
「…」
しばらく2人の間に沈黙が流れる。
が、それを破ったのは少女の腹の音だった。
少女は赤くなって腹を抑える。
その様子を見てレナはくすりと笑うと自分の鞄の中からいくつかの食料を取りだし少女に与えた。
「お腹が空いていたのね。よかったらどうぞ。安心して、毒なんて入ってないわよ。」
少女はレナに敵意がないのを悟ると食料を受け取り、貪るように食べ始めた。
ひととおり食べ終えたところでレナは少女に尋ねた。
「ねえあなた、名前は?」
「…
バーバラ」
少女は小さな声で呟いた。
「そう、バーバラ。私はレナっていうの。あなたはここで何をしてたのか、よかったら教えてくれる?」
バーバラと名乗った少女はこくんと頷きこれまでのことを話し始めた。
突然この世界に飛ばされ、一人で草原をさまよっていたことを。
食料も尽き、足も動かなくなりどうしようもなくなってこの草原で座り込んで泣いていたことを。
「それであなたはこれからどうしようというの?」
「あのね、あたしの友達の何人かもこっちの世界に来ているはずなの。だから…だからみんなに会いたくって…」
バーバラの瞳からまた涙が流れた。
「そうだったの…。私もね、一緒に飛ばされた姉さんを探しているの。早く姉さんに会いたい…」
レナはそう言うとがっくりと項垂れ、その場に座り込んでしまった。
またも2人の間を沈黙が支配する。
「…だよ」
声を発したのはバーバラだった。
そしてよろける足で立ち上がりながらもはっきりとした口調で言った。
「大丈夫だよ!あたしの友達も、お姉ちゃんのお姉ちゃんもきっと生きてるよ!
だから行こう、探しに」
「ええ、そうね。こんなところにいても仕方ないものね…行きましょう。
よろしくね、バーバラ」
2人は手を取り合い再び草原の上を歩き出した。
【レナ@シーフ 所持品:
メイジマッシャー
第一行動方針:姉の捜索】
【バーバラ 所持品:
果物ナイフ
第一行動方針:仲間の捜索】
【現在位置:レーベ南西の草原】
最終更新:2011年07月17日 00:45