時を遡ること数時間。まだ、日没直前。
スコールは一人、教会の裏にて頭を抱えていた。
なぜ、こんなことに。
悩めば悩むほど泥沼にはまっていく自分の思考。
今の彼には
ラグナがいたことも
リノアの安否も頭の中には入ってないようだった。
橙色に染まるアリアハンの池。
それを眺めていると思考が麻痺してくる。そう思えた。
手に持っていた
氷の刃を傍らに置いた。
使い慣れた
ガンブレードよりは扱いづらいが相手を殺めるには絶好の武器であった。
…俺に殺めろというのか!親父を…!リノアを…!
彼は声を出さずに咆哮した。
しばらくし、空が闇に包まれる。闇は自身の心の中を恐怖と狂気に染まっていく。
彼は気づいていたのかもしれない。
気づいても動けなかったかもしれない。
そして、それはやってきた。
死亡者通知。
彼の中で何かがキれた。
アリアハンの教会。
グランエスタード王の
バーンズ国王は所在無く佇んでいた。
なぜ、私がこのようなことに巻き込まれてしまったのだろう。
落ち着くためにバーンズは置いてある椅子に座った。
…こんな馬鹿げた事なんとしてもやめさせなければ。
幸い、自分の親衛隊である
アイラの姿は確認できた。
しかし、彼女がどこにいるかはわからない。
だが、彼女に会えば何らかの手段があるに違いない。そう思った。
支給された
魔道士の杖を持ち。バーンズは動くことを決意した。
バーンズは頭上を見上げた。綺麗なステンドグラスがある。
人の影がうまく…人の影?
バリィン!
ステンドグラスは割られ、上から人の影であったものが降ってきた。
バーンズは身を翻し魔道士の杖をその影に向かって振りかざす。
火炎がその影を焼く…
「くっ。あまり効いてはないか。」
「…」
その影の主は寡黙だった。
バーンズ王はもう一度杖を振りかざす。
影の主はすばやく間合いを詰める。
「!!」
バーンズ王は寸でのところでかわす。しかし、魔道士の杖を落としてしまう。
「しまっ…!」
バーンズ王の言葉はそこで切れた。彼の命と同時に。
バーンズの死を確認した影の主、スコールは頭を抱え苦しみだした。
なぜ、俺がここにいるんだ。
なぜ、やつはここに倒れているんだ。
なぜ、俺はやけどをしているんだ。
なぜ、俺の剣は血に染まっているんだ。
…
なぜ、俺はやつを殺してしまったのだ。
なぜ、話し合おうとはしなかったか。
なぜ、襲い掛かってしまったのか。
なぜ、敵とみなしてしまったのか。
なぜナゼ何故ナぜなゼ何故ナゼなぜナぜなゼなぜ何故Naze…
「ウガァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」
スコールは頭を抱え、大声で声にならぬような声を発した。
「…」
スコールはバーンズの死体に見向くことなく、アリアハンの町の出口へと向かった。
【スコール(発狂)所持品:氷の刃
行動方針:???】
【現在位置:アリアハン出口】
魔道士の杖およびバーンズの食料等は放置されたまま。
【バーンズ 死亡】
【残り 98人】
最終更新:2011年07月17日 16:59