命が…惜しい?

朝日が燦々と草原を照らしている。
そのなかでエリアは、木陰で休みながら空を見上げていた。

さらに多くの人々が死んでしまった。
自分の無力さを痛感しながらも、具体的になにをすべきかは皆目思い当たらなかった。

思えば、あの塔から呼びかけた二人の女性はとても勇敢であった。
果たして自分にあのようなことができるだろうか。
彼女らの行動は、結果的にこのゲームにのった人物がいるということをはっきりと伝えるものになってしまったが、
それと同時に良心も存在することを理解するには十分なものであった。

それに引き替え自分の体たらくはどうであろうか。
誰にも会わなかったのは、幸運なのか不運なのか言い難い状況ではあるものの、
少なくとも自分は人に会うことを求めていたのではなかったか。
ただたんに運が悪いから会えなかった、というわけでもあるまい。
あのとき塔に向かっていれば、きっと誰かに会えたであろう。自分が、そうしなかっただけなのだ。
なぜ――

――私は・・・命が・・・惜しい?まさか・・・でも・・・

これまでにあった二回の放送で流された名前をきいたとき、
彼女の身体を駆けめぐった旋律・・・それはたしかに恐怖であった。
次は自分の名が呼ばれることになるかもしれない・・・認めたくないが、心のどこかでそう思っていた。
そしてその結果、自分はすっかり萎縮してしまったのだ。

エリアは近くに現れた旅の扉を一瞥し、これからのことを再考した。

内面からくる自発的なものなど抑える術はない。ただ、人には理性がある。
そして、熟慮した末に邁進する勇気が備わっている筈だ。

――私は、再び死ぬことを恐れているかもしれない。でも、それに負けたらいけない・・・
  私よりも生きるべき人が、きっとここにはたくさんいる・・・
  私はその人たちの手助けさえできればいい・・・

手助け?自分にそんな大それたことができるのだろうか。そもそも、いったいなにをすればよいのだ。
このゲームに生き残れるのは、たったの1人なのだ・・・。

考えても埒が明かなかった。
とにかく、行動しよう。なにもせずに考えてるだけなど愚かなことだ。
懸命にするうちに、道はきっと開ける・・・そう、教えてくれたではないか、彼らは――


エリアは目をつぶって暫く深呼吸をし、一歩一歩踏みしめて旅の扉へと入っていった。

【エリア 所持品:ミスリルナイフ
 第一行動方針:自分のできることをする
 基本行動方針:状況の打開】
【現在位置:新フィールドへ】


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最終更新:2011年07月10日 17:36
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