まだ諦めては…

アリアハンの町はずれの一角、
透き通った青い髪を靡かせながら、1人の少女が佇んでいた。
彼女の名はエリア
かつての水の巫女である。

彼女は自分の置かれている立場について懊悩していた。
それは、ここはどこなのか、ということではなく、
何故自分がこの場にいるのかということである。

――私は・・・死んだ筈では・・・

しかし、今自分はしっかりと大地に足をつけて立っている。
その目には閑散とした町、広大な草原が見える。
時折聞こえてくる木々の囀りは、生きているということを実感させた。

――誰かが、私の魂を導いたのかな・・・

そして、この辛辣なゲームに参加することになったのだろうか。

――だとしたら、大きなお世話ね・・・

生き残りへの隘路を渡ることなど、到底自分にはできまい。
ならば、私はなにをすべきなのだろう。
黙って諦観し、死を待つというのも悪くはない・・・
どうせ一度失った命、本格的に熾烈な殺し合いが始まる前に死んだ方が、精神的も楽であろう。

――でも・・・

彼女は恣意する。
どうせ失った命だからこそ、できることもあるのではないだろうか。
自分の命など惜しくはない。
しかし、他人となれば、話は別だ。
まだ生きるべき命が、ここにはたくさんある。
なにか・・・なにかできることがあるのではないか。
なにか・・・できることが・・・。

そう考えると、自分がここに来たのも、クリスタルの導きによるところがあったのではと思える。


彼女の考えが暫定的にも一つの結論に達しようとしたとき、大地は揺れ、あの悪魔のような声がした。
どうやらここで倒れると、魂すら闇に捕らわれてしまうらしい。
 ・・・もっとも、彼女は闇に対して決して汚穢なイメージなど持ってはいなかったが。
むしろ、光に溢れた世の中こそ問題であるということも、彼女は知っていた。要は、光と闇のバランスなのだ。

――ここは、闇の力が強すぎるのかな・・・じゃあ、もし光の力が強くなれば・・・

そのようなことは考えるだけ無駄かもしれなかったが、
今自分がここにいる意義を模索する彼女にとって、どんなことも藁をも掴む思いであった。

そんな彼女を嘲け笑うかのごとく、悪魔は死者の名を告げていった。
それは彼女に焦りを与え、神の箴言さえも無意味に思えさせたが、やがて平静を取り戻すと、
彼女は草原の中に足を踏み入れていった。

どこかに、可能性はある筈だ。
自分が命を賭して庇ったあの少年達は、見渡す限り海が広がる中のたった一つの難破船をみつけ、
私を外の世界を連れて行ってくれた・・・諦めては、いけない。

まだ悪魔の話は終わっていなかったが、彼女は構わずに行動を始めた。

【エリア 所持品:ミスリルナイフ
 基本行動方針:自分のできることをする】
【現在位置:アリアハンの町からやや北西】


←PREV INDEX NEXT→
エリア NEXT→

最終更新:2011年07月10日 17:35
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。