「…。」
ひゅうひゅうと肌寒い風が吹く草原。野ネズミやらウサギやらが、せわしなく歩き回って餌を求めていた。
だがふいに、一匹のネズミが異変に気づいた。なにやら空間がぐにゃりと歪んで…。
がつっ!
いきなり
レオンハルトが空中から現れ、落ちてきたはずみで野ネズミを踏みつぶした。
また自分が他の命を奪った事にも気づかず、レオンハルトは辺りをゆっくりと見渡した。
「……ここが墓場…か。」
感慨深く、レオンハルトは呟いた。
見渡す限りの平原。真っ青な空。雄大な山々…。自分の死に場所としてはもったいなさ過ぎるくらいだ…。
「…そうでもないか。」
後ろを振り返ったレオンハルトは、そう言って前言を撤回した。
背後には城が見えた。立っている所から五百メートルほど離れた所に、半ばスラム化した城下町の門もあった。
嫌な感じのする城だった。でたらめなカタチの鉄の塊を、いくつも集めてでたらめに組み合わせたような、不格好で醜悪なオブジェ。
自分の墓場としては…まあ、こんな所か。
裏切りと死に満ちた自分の死に場所としては。
レオンハルトは、城の方に振り返ると歩き出した。あそこに名のある、自分に死を与える者が居る事を願って。
町は、不快な匂いで満ちていた。
鉄とイオウと、石炭、石油……。こんな匂いばかりする所で、人は生きていけるものなのだろうか?
歩いている内に人影を見た。一人か、二人か…。さっさと視界から消えてしまったので、詳しい事は分からなかったが。
(ここには居ないのか…誰かが)
そう思いながらいくつめかの角を曲がった時…。
どんっ、と言う衝撃がレオンハルトを襲った。
思わず、蹌踉ける。だがそれは致命的な物では無かった。何しろ、人とぶつかっただけなので。
反射的に、神経を最大限に研ぎ澄ませて角の向こうに振り返る。
そこには、男が立っていた。
レオンハルトより少し年上の、壮年の剣士。グルグルと渦を巻いた奇妙な剣を油断無く構えて、こちらをしっかりと見据えて。
圧倒的は覇気が、男から溢れ出しているのを肌で感じながら、レオンハルトは歓喜に打ち震えた。
自分にはもったいないくらいの戦士が、ここにいる…!
レオンハルトとぶつかった戦士…
リバストは
まどろみの剣を油断無く構えながら、じっくりとレオンハルトを観察していた。
強い。身体に震えが走るほどに、目の前の男は強い…!
リバストの頬を汗がつうっ、と流れた。こちらを確認したレオンハルトが、剣を構えた!
「…殺るのか?」
レオンハルトが唐突に問いかけてきた。奇妙に生気のない声で。
「殺し合いになど興味はない。一度は無くした命だ。ただ、貴方と一度、試合がしたい。」
リバストがそう答えると、レオンハルトはげげんな顔をした。まさか『試合』を申し込まれるとは思っていなかったらしい。
だが、すぐに顔に笑みを宿し、リバストに問いかけた。剣を構え直して。
「…
ルールは?」
「相手の身体に一度でも刃先が触れれば勝ち。」
リバストは簡潔に答えながら、心の中で喜びの声を上げた。勝負を受けた!受けてくれた!
レオンハルトは、全身から剣気をみなぎらせながら、小さく呟いた。リバストが聞き逃してしまいそうな声で。
「この勝負がついたら…。」
「…安心するといい。どちらにせよ、私の命の一つや二つ、喜んで差し出すさ。貴方にはそれだけの価値がある。」
リバストの返答に、レオンハルトは首を振った。皮肉な笑みを顔に浮かべて。
「違う…勝負が付いたら…俺を殺せ。」
その言葉に、リバストが一瞬戸惑い…その隙をつくかのように、レオンハルトは飛び出した!
「安心しろ。勝負で手は抜かんさ…!」
【レオンハルト 所持品:
暗黒騎士の兜 銅の剣
ライブラの魔道書
第一行動方針:リバストと真剣勝負
最終行動方針:決着が付いたら殺してもらう】
【リバスト 所持品:まどろみの剣
第一行動方針:レオンハルトと真剣勝負
基本行動方針:互いが合意の上で、
剣の戦いがしたい】
【現在位置:ベクタ城下町】
最終更新:2011年07月18日 01:56