灰色の雲が空を高く駆け巡る。湿気を含んだその雲から大粒の雨が降り注いだ。
フライヤは立ち止まって空を見上げていた。
雨を凌げる場所が何もない草原では、ただ耐えるしかない。
地面はぬかるみ、あちこちで水溜りができあがっていた。
・・・あの日の故郷もこんな雨だった
かつて
ジタンやビビたちと共にブルメシアを訪れた時を思い出す。
国から逃げ出そうとしていた同胞、生きる希望を失いかけていた夫婦、
アレクサンドリアの女王、将軍
ベアトリクス、そしてクジャ・・・
故郷で出会った者たちの数々。
あの日の記憶が鮮明に甦って、フライヤの心をかき乱した。
・・・だが
フラットレイ様はいなかった
フラットレイを探し続けて世界中を駆け巡ったフライヤにとって、
ブルメシアへの帰郷は最後の希望だったのだ。
すなわち、誰でもいつか故郷に帰るはずだ、あのお方ももう戻っているのではないか、と。
――それは結局叶わなかった
雨はますます激しさを増してきた。
水を含んで重たくなった衣服がフライヤの体にのしかかる。
これから待ち受ける運命を暗示するかのように。
フライヤに恵みの雨が降ることはないのだろうか。
「おーいこっちだ。町がある、雨宿りできるぜ」
そのとき、雨の音に負けない大きな声でジタンが呼ぶのが聞こえた。
【ジタン 所持品:
仕込み杖、
盗賊のナイフ
第一行動方針:町へ移動】
【フライヤ 所持品:
エストック
第一行動方針:町へ移動】
【現在位置:マランダの町近く】
最終更新:2011年07月17日 17:58