荒涼とした丘の上で
エドガーは腰を下ろすと、
バックの中からマランダの道具屋から持ってきた工具を使い、自分の支給武器である、
ボウガンの改造に着手していた。
「連射機能は無理としても射程や威力に関しては改造の余地がまだあるはずだ...うん?」
自分の背後で何か様子をうかがうような気配を感じる、エドガーは鏡状になっている、
工具箱のフタで背後の風景をそっと確認してみる....と、そこにはまだ幼い少年が映っていた。
エドガーの顔に一瞬緊張が走るが、すぐにもとの表情に戻る。
敵かと思ったが、この少年は自分の気配を押さえる術もまだ知らないようだ、それでいて
必死で隠れている様子が、エドガーには何だかほほえましかった。
「かくれんぼは楽しいかい?」
エドガーは振り向くと少年が隠れている、背後の木陰に向かって声をかける
と、わっ!という声がして、木陰ががさがさと揺れる。
そこをすかさずエドガーは木陰へと滑りこみ、少年の肩を掴む。
「おっと、捕まえたぞ」
必死でもがく少年だったが、その時その腹がぐぅ~と大きく鳴る。
それを聞いてエドガーは笑顔でパンを少年へと差し出す。
「腹が減っているんだろ?ほら」
だが、少年が無言でパンを手に取ろうとしたとき、エドガーはパンを持った手を少年から離す。
「ママに教わらなかったかい?何かをしてもらったときは”ありがとう”だろ?」
「うん....ありがとう、僕は
テリーって言います、おじさんの名前は?」
ありがとう、を聞いてようやくエドガーはテリーにパンを渡す。
「良く出来ました、けれどな俺はおじさんじゃないぞ、おにーさんだ。俺の名前はエドガーだ。」
「うん、わかったよ、エドガーおじさん」
ちょっとだけ溜息をついて、また工具をいじりはじめたエドガーの隣で、
無言でしばらくパンをもふもふと食べていたテリーだったが、不意に口を開く。
「所でおじさんって、強い?」
「ああ、弟には負けるが強いぞ」
「だったら僕に戦い方を教えてよ、僕には倒さなきゃいけない相手がいるんだ」
その言葉を聞いてエドガーの目が鋭く輝いた。
「理由がありそうだな、正直に話せば考えてやらんでもないぞ」
「なるほど....」
テリーは自分が見たまま、聞いたままのことを包み隠さず正直にエドガーに語った。
セッツァーの死を聞いたとき、エドガーは一瞬叫びたくなったが、すぐに思いととどまった。
アイツの死を涙で送るのは似合わない、そう思ったエドガーは、
空に向かって餞のワインを振りまいたものだが、
まさかその最期を演出した当事者の1人にお目にかかれるとは思わなかった。
「おじさん、いいでしょう、僕は絶対仇を取るって決めたんだ」
「そうだな....」
確かにこのまま放っておく訳にもいくまい、
ティナはおそらくバカ正直にテリーに殺されてやるつもりであることは間違い無い。
それでは何の解決にもならない、いや、だからといって自分が出来る事など無いに等しいが.....
ならば、その無きに等しいことだけでも、とりあえずはやろうではないか。
そう思ったエドガーはテリーへと優しく微笑む。
「いいか、おじさんがこれから言う事をちゃんと守れるのならおじさんが戦い方を教えてやろう」
「一つ、その女の子に出会ったら、おじさんの名前を名乗った上で、必ず正々堂々と戦いを挑む事」
「一つ、女の子にも本気を出してもらうよう必ず頼む事」
「一つ、もしもおじさんが途中で死んでも、殺した人を憎んだり仇を取ろうとか思わないこと」
とりあえずテリーの憎しみを取り除く事は出来なくとも、暴走だけは押さえなくては.......。
あとはティナの行動にかかっているが、こればかりはその場にでもいない限り対処はできない。
テリーは予想外の言葉に戸惑っていたようだが、やがて唇を引き締めて強く頷く。
それを見てやや複雑な表情でエドガーもまた頷くのだった。
(とりあえずティナを探さないことには話にならんな......)
【エドガー 所持品:ボウガン
天空の鎧
第一行動方針:テリーのお守
第二行動方針:ティナを探す
第三行動方針:魔法使い、
デッシュを探す
最終行動方針:首輪の解除】
【テリー 所持武器:チキン
ナイフ
第一行動方針:強くなりたい
基本行動方針:
謎の剣士の敵を取る(邪魔するのなら手当たりしだい)】
【現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地】
最終更新:2011年07月18日 07:52