体細胞分裂の過程をきちんと押さえるには(減数分裂もだが)、その過程でDNAがどのように振る舞い、どのように変化を遂げるのかを理解することが近道である。
DNAと染色体
DNAは基本的に、ヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き取られたヌクレオソームと呼ばれる構造を形成している。
ヌクレオソームは長いDNA分子にそって数珠つなぎに並んで積み重なっており、この構造はクロマチン繊維と呼ばれる。
細胞が分裂期に入ると、クロマチン繊維は高密度に凝集して、染色体と呼ばれる構造が形成される。
それに対して細胞が間期にある時には、DNAはクロマチン繊維のままであるため、
顕微鏡で観察するにはあまりに細い糸状の構造となっている。
つまり、DNAが顕微鏡で観察できるのは、太い棒状の構造を形成している分裂期に限られる、ということである。
染色体の中央付近にはくびれがあり、その領域は動原体と呼ばれる。染色体は、全体的にはアルファベットのXの形状をしている。
Xの形状となるのは、この時期の染色体は一本あたり、二本の染色分体から構成されているからである。
さらに言えば、一本の染色分体は一本のDNAから構成されており、つまり、このX形の染色体は二本のDNAから構成されていることになる。
二本のDNAは動原体のところで絡み合って、あたかも一体の染色体であるかのごとく振る舞うのである。
事実、
細胞分裂時には動原体に紡錘糸が付着する。そしてその後期に、染色体は紡錘糸によって引かれて二本に分離して、それぞれが両極に向かって移動することになる。
これは、動原体のところで絡み合っていた二本のDNAが両側から引っ張られることによって、その絡み合いが解消されて、二本に分かれる結果なのだ。
相同染色体と核相
ヒトや高等な植物の核の中には、形と大きさが等しい染色体が二本ずつ入っている。この二本の染色体を相同染色体と呼ぶ(相同染色体は「遺伝子座が等しい染色体」と定義されることもあるが、これは後述)。
一つの細胞内に、相同染色体が二本そろっている状態を複相と呼ぶ。相同染色体の片方しか持っていない状態を単相と呼ぶ。複相や単相など、核の中に相同染色体がどのように含まれているのか、その状態を核相と呼ぶ。単相をn、複相を2nと略記することも多い。
染色体の本数として覚えておかなければならないのは、まずは、ヒトの46本とキイロショウジョウバエの8本である。この本数は複相でのものなので、ヒトの相同染色体は23対、キイロショウジョウバエだと4対ということになる。
体細胞分裂の場合は、母細胞の染色体量と娘細胞の染色体量は一致するため、複相(2n)の細胞から複相(2n)の細胞を作り出す過程であると言える。それに対して減数分裂は、複相(2n)の細胞から単相(n)の細胞を作り出す過程である(後述)。
最終更新:2009年05月21日 15:52