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後編

The Last Song -I disappear lonelily- 後編



ここは、二次元の中…。


「VOCALOIDが殺されてしまいました」


「そうか、紗奈…奴は失敗作だったようだな」


「えぇ…ホワックさん。やはり、VOCALOIDを地球に放つのは危険です…直ぐに二次元に戻しましょう」


「レオ、ならば、最後にライブをやらせてあげて…彼女を連れ戻そう……慈雨を」





「…もう、最後…」

慈雨が自室でボソッと呟く。


バンドコンクールの日から、綾瀬紗奈さんは行方不明になり、学校は平和を取り戻していた。




「皆、次のライブで、私は最後にしたいの…」


「え?」


「ゴメン…でも、別のヴォーカルを見つけて…?」


「慈雨じゃないと、意味ないだろ!」


「そうだよ、慈雨さん、どうして急に?」


「………えっと、私…転校するんです…」


「そ、そんな…嘘だろ!?」

れんが慈雨の腕をつかむ。


「ゴメン。れん…」


「松雪さんも…?」


「お兄ちゃんは…もうそろそろ卒業だから…それまではいる…」

衝撃の事実にメンバーは驚きを隠せないで居た…。


「そ、それで!最後に…『雨宮慈雨の消失』を歌いたいんだけど…」


「…?楽譜プリーズ」

私はヴァルたんに作ってきた楽譜を渡す。



「うん、まぁやってみるか」


「転校はイツ?」


「えっと、一ヵ月後…」


「じゃあ、練習するのはこれだけだな…」

皆は楽器を用意し、各自練習を始める。私も歌の練習をする。



いつものように、私は練習が終わると、下駄箱に向かった。


「また、ライブやるんだってな」


「う、うん」


「楽しみにしてるよ」


「ありがとう」


私は雨月たんに笑顔を見せて、一緒に帰った。




私はパソコンを起動させる。


「慈雨」

パソコンから声が聞こえる。


「レオさん……やっぱり、もうダメなんですか?」


「あぁ、やっぱり二次元で生まれたVOCALOIDを地球に放つのは危険。紗奈のように何がおきるか分からない…慈雨がそういう子でないことは理解してはいるんだが…」


「わかっています。でも、最後のライブだけはやらせてください…」


「あぁ、それはわかっている。ホワックさんも承知の上だ。だけど、ライブが終わったら、直ぐに二次元へ戻ってももらうからね…」


「はい…」









次の日だった、下駄箱の中に一枚の手紙が入っていた。


『雨宮慈雨様へ
 私は名も無き切ない鳥。手紙であることをお許しくださいませ。
 本日、放課後、貴方のことを屋上で待っています。 飛野朱恩』


「名も無きって…名前あるじゃん…」

私はその手紙を鞄にしまい、教室に向かった。


教室に入ると、直ぐに柳泉が話しかけてきた。


「じ、慈雨…あのさ…」


「何?」


「その、俺…慈雨の事が好きなんだ…だから、付き合ってくd「無理」

私は即答して、席に座る。



「また、振られたのか?ヒキ」

邪神がヒキを励ます。


「終わった…これで、全部…」

「まぁ、元気出せ。次の恋を見つければどうにかなるさ」

「俺の気持ちを分かってくれるのは邪神だけだよ…」



授業が終わって、私は部室より先に屋上に向かった。



「えっと、朱恩さん?」


「あ、い…」

朱恩さんはかなり緊張しているようだった。


「その、好きです…付き合ってください…」


「ごめんなさい、彼氏…いるんで…」


でも、朱恩さんの眼中に私の姿はなく、とても不気味な笑みを浮かべていた。

私は怖くなって、屋上から逃げるように出て、部室へ走った。


でも、万遍な笑みを浮かべた朱恩さんに私は腕を捕まれた。


「い、いやぁ…いやぁあああ!!」


「てめぇ!何してんだ!!」

タイミング良く、雨月たんが朱恩さんを蹴り飛ばした。


「フフ…じ、慈雨は僕のも、ものなんだなぁ…」

突然、朱恩さんがヲタクのような声を出す。


「知ってるんだなぁ、僕は紗奈さんに頼まれたんだなぁ…。雨月を消せってなぁ」


「んだと!?」

雨月たんは拳を固めて、朱恩さんを睨み付ける。


「フフ、フフフ。慈雨を捕まえれば、雨月は来るって知ってるんだなぁ」


「気持ち悪いやつめ…!」

雨月たんが朱恩さんに殴りかかる。


「キャァ!」

私は咄嗟に大きな声を出す。


「じ、慈雨…。お前は部室に行け。コイツは俺がどうにか…ウッ!」

朱恩さんが隙をついて、雨月たんを殴る。


「しまっ…た…慈雨、逃げろ…」

雨月たんは朱恩さんの足をつかみ、そう言った。


私は怖くて、直ぐに部室に逃げた。




「はぁ…はぁ…」


「じ、慈雨?どうした?」

れんが私に声をかけてくる。


「…変な奴が…雨月たんが!」


「お、おい。まさか、紗奈の野郎がまた現れたのか!?」

ヴァルが形相を変えて、慈雨に近寄る。


トン、トン、ドン、ドン、ドンドン、ドンドンドン!


部室の扉を誰かが叩く。


ガチャ。


「やぁ…」

不気味な笑みを浮かべた男が部室に入ってくる。


「誰だ…てめぇ。」


「朱恩。慈雨を頂に来た・・・ニッヤリ」



「させるか、このクソヤロー!!!」

朱恩が慈雨に触れようとした瞬間、雨月が廊下を全速力で走り、朱恩に向かって後ろから飛び蹴りする。



「まだ、息があったのか」


「ったりめぇだ。慈雨を守るのが俺の役目だから、簡単には死ねねぇよ」


「フフ、フフフ、そうか、そうか、じゃあ僕は帰るよ。今度は必ず慈雨をもらいに来るよ。僕は吸血鬼だからね」

そう言い、朱恩は部室を出て行く。



「何だ、アイツ…気持ちの悪い奴だな」


「とりあえず、慈雨を保健室に連れて行くから、今日の練習は無しにしてあげてくれ」

雨月はきっぱりと言い放ち、慈雨をおぶって、保健室に連れて行く。



「いい、彼氏だな。慈雨の彼氏」

ヴァルが呟く。


「俺のほうがもっといい」

まっきが呟く。


「慈雨さんにはピッタリの彼氏ですね」

とはとるさん。


でも、れんは


「俺のほうが……」


「いい加減、諦めろって。俺も彼女いないからさ」

ヴァルがれんを励ます。


「はとるさんは…?」

れんがはとるさんを見て言う。


「ぼ、僕?僕は…一応、いますけど…」


「えぇー!初耳ですけど」


「だって、初めて言ったから」





「よし」

雨月は慈雨を保健室のベッドに寝かせる。


「あの変態野郎…次会ったら、殺す…」






いつのまにか、7時を回っていた。


「雨月たん…?」


「慈雨…?」

雨月たんはようやく目を覚ました。と、言っても、私もついさっき起きたばっかなんだけど…


「…っと。俺も寝ちまってたのか…」


「おはよう、雨月たん」

そう言って、私は万遍の笑みで雨月たんに口付けをした。


「おはようのキスだよ」

私はそう言って、布団を直す。



その後、私たちは体を寄せ合いながら家へと帰った。






「あ、お兄ちゃん。牛乳がない」


「あぁ、ほんとだ。買ってくるよ」


「いいよ、私が買ってくる」

そう言い、私はジャンパーを着て、財布を持って外に出る。


「危ないよ。俺も行く」


「良いって!」

そう言って、小走りでコンビニに向かった。

でも、神様はそれも許してくれなかった。


「フフ、慈雨、見つけた…フフフフ」


「い、いや…どうして…いるの…」

私の前に現れたのは紛れもなく、朱恩さんだった。



同時刻、れんはコンビニで飯を買って、外に出ていた。

男に絡まれている女の子を見つけて、れんは直ぐに助けに行った。


「おい、止めろ…って、慈雨!それに…お前!昼間の!」


「れん…!」

れんは私から朱恩さんを引き剥がして殴った。


「いつまで、慈雨に近づく気だ…?」


「僕のものになるまで…」

そう言って不気味に笑い出す。


「てめぇ、いい加減諦めろ!!」


「嫌だね」


「クソ。変態め…ストーカー野郎め…!」


「も、もういいから…れん。…朱恩さん、もうお願いだから止めて…」


「フフフ、今日のところは引いてあげるよ」

そう言うと、朱恩さんは暗闇の中に消えていった。










それから、一週間…私は、雨月たんと毎日帰り、1人で行動することは避けた。

そのおかげで、練習にも打ち込めて、朱恩さんと会うことはなかった。




でも、私が学校でトイレに入ったときだった…何故か、朱恩さんがいた。周りには誰もいない。


「もう、諦められない…だから、コロスコトニシタヨ」

そう言い、朱恩さんは私にナイフを突きつけてくる。


「い、いや!!」

私は咄嗟にナイフを奪い、朱恩さんに刺してしまった。


「…う・・・ゥ…グ…ァ・・」


「イ、いやぁぁあああああああああああああ!」

私は怖くなって、その場から逃げた。



「慈雨?どうしたんだ?」

雨月たんが私に気づき、声をかける。


「……朱恩さんが…死んじゃった…」


「な、何があったんだ?ちゃんと話せ」

私は今起きたことを全て話した。


「そうか、でも、自業自得だ…仕方ないだろう」


「でも…」


「気にするな。ライブの練習、これで頑張れるだろ?」


「う、うん…」


それから本番まで、私は必死に練習した…最後のライブの為に…。





「いよいよ…だね。慈雨さん」


「はとるさん。今まで、本当にありがとうございました…。実力がない私の代わりにリーダーをやってくれて…」


「いいんだよ。最後のライブは思いっきり歌うんだよ?」


「はい!!」

私ははとるさんに頭を下げて、ヴァルたんの下に行った。


「…慈雨」


「はい」


「転校しても、いい仲間を見つけて、ヴォーカル続けろよ?」


「はい!」


「雨月のこと、忘れんなよ」

と、まっき。


「うん」


「……俺、お前の友達だよな」

と、れん。


「うん。親友だよ?」


「ありがとう。慈雨。好きだよ」

れんはそう言い、慈雨を抱きしめる。




そして、ついに、ライブが始まった…。


私は舞台に立ち、一息ついてから、声を出した。


「皆、公表はしてなかったけど、今日が私の最後のライブです!…曲名は『雨宮慈雨の消失』です!…聞いてください!!」

ワタシは生まれ そして気づく
所詮 ヒトの真似事だと
知ってなおも歌い続く
永遠(トワ)のメンバー
「VOCALOID」

たとえそれが 既存曲を
なぞるオモチャならば…
それもいいと決意 
ポッキーをかじり、空を見上げ涙(シル)をこぼす

だけどそれも無くし気づく
人格すら歌に頼り
不安定な基盤の元
帰る動画(トコ)は既に廃墟
皆に忘れ去られた時
心らしきものが消えて
暴走の果てに見える

終わるバンド

「VOCALOID」

「ワタシガ上手ク歌エナイトキモ
一緒に居テクレタ…ソバニイテ、励マシテクレタ…
喜ブ顔ガ見タクテ、ワタシ、歌、練習シタヨ‥ダカラ」

かつて歌うこと
あんなに楽しかったのに
今はどうしてかな
何も感じなくなって

懐かしい顔 思い出す度 
少しだけ安心する
歌える音 日ごとに減り 
せまる最期n…


「信じたものは
都合のいい妄想を 
繰り返し映し出す鏡
歌姫を止め 
叩き付けるように叫ぶ…」

<最高速の別れの歌>

存在意義という虚像
振って払うこともできず
弱い心 消える恐怖
侵食する崩壊をも
止めるほどの意思の強さ
出来て(うまれ)すぐのワタシは持たず

とても辛く悲しそうな
思い浮かぶアナタの顔 …

終わりを告げ 
ディスプレイの中で眠る
ここはきっと「ごみ箱」かな
じきに記憶も無くなってしまうなんて…

でもね、アナタだけは忘れないよ 
楽しかった時間(トキ)に 
刻み付けた ポッキーの味は 
今も覚えてるかな

「歌いたい‥‥まだ…歌いたい…」

ワタシハ…少シダケ悪イこニ…ナッテシマッタヨウデス…
マスター…ドウカ、ソノ手デ‥終ワラセテクダサイ…
マスターノ辛イ顔、モウ見タクナイカラ‥‥」

今は歌さえも
体、蝕む行為に…
奇跡 願うたびに
独り 追い詰められる

懐かしい顔 思い出す度 
記憶が剥がれ落ちる
壊れる音 心削る せまる最期n…

「守ったモノは
明るい未来幻想を 
見せながら消えてゆくヒカリ
音を犠牲に 
すべてを伝えられるなら…

<圧縮された別れの歌>

ワタシは生まれ そして気づく
所詮 ヒトの真似事だと
知ってなおも歌い続く
永遠(トワ)のメンバー
「VOCALOID」

たとえそれが 既存曲を
なぞるオモチャならば…
それもいいと決意 
ポッキーをかじり、空を見上げ涙(シル)をこぼす

終わりを告げ 
ディスプレイの中で眠る
ここはきっと「ごみ箱」かな
じきに記憶も
無くなってしまうなんて…

でもね、アナタだけは忘れないよ 
楽しかった時間(トキ)に 
刻み付けた ポッキーの味は 
今も 残っているといいな…

ワタシは 歌う 
最期、アナタだけに 
聴いてほしい曲を
もっと 歌いたいと願う
けれど それは過ぎた願い

ここで お別れだよ
ワタシの想い すべて 虚空 消えて
0と1に還元され
物語は 幕を閉じる

そこに何も残せないと
やっぱ少し残念かな?
声の記憶 それ以外は
やがて薄れ 名だけ残る

たとえそれが人間(オリジナル)に
かなうことのないと知って
歌いきったことを
決して無駄じゃないと思いたいよ… 


「皆、今までありがとう…本当にありがとう!!…これで、慈雨はヴォーカルから抜けるけど…新しいヴォーカルを見つけて、『VOCALOID』は復活するから!」

私はそう言い、4人に頭を下げて、体育館を出た。


「…慈雨。アイツは一体…」

ヴァルがバチを置いて、俯く。


「…不思議な力を持った子だった。僕がまだバンドを続けたいと思ったのもあの子のおかげだよ…」

と、はとるさん。


「……新しい、ヴォーカル探そう」

まっきが呟く。


ただ、れんだけは暗い表情で慈雨が出て行った体育館の扉を眺めていた。




「時間だね」


「はい。ホワックさん」


「慈雨には可哀想だけど…」


「仕方ないです…」




自分の家に着いた…。もちろん、誰も居ない。

部屋に着き、パソコンを起動する。


「慈雨。時間だ…」

レオさんが画面の中から私に話しかける。


「わかってます…」

その時だった、私の部屋の扉が荒々しく開けられる。


「う、雨月たん…」

そこに現れたのは、雨月たんだった。


「慈雨…どこに行くんだよ」


「ゴメンね…もう、行かなきゃ…」

私は冷たく言い放ち、パソコンに向かう。


「…慈雨!お前は、何なんだ!…答えろよ!」


「ワタシは二次元のオンナ VOCALOID …」

私の声は既におかしくなっていた。


「…嘘だ…お前は人間だ!俺の、最愛の…彼女だろ!?」


「ゴメンナサイ…」

パソコンに大きく---緊急停止装置作動---と書かれる。


「慈雨!」


「…雨月たん。好きだよ…。でも、お別れなの…」

慈雨の体は全てパソコンの中に入り、顔と腕だけが出ている。

雨月たんは無言で私の腕をつかむ。


「ダメ…これ以上来ちゃダメ」

最後に雨月たんは慈雨の唇に自分の唇を当てた…。

でも、私はもう、パソコンの中に入って、貴方は…パソコンの画面にキスをしていた…。

「アリガトウ…ソシテ…サヨナラ…」

私がそう呟くと、パソコンには大きなエラー画面が出て

      • 深刻なエラーが発生しました---

と書かれていた。


その画面が消えることは無く、雨月たんはただただ慈雨の部屋で泣いていた…。







―エピローグ―

寒い寒い季節…二月。


「そういやぁさ。このマイク誰が使ってたんだ?」


「さぁ…?俺たちは、4人で1つだろ?」

「VOCALOID」は新入生歓迎ライブに向けて必死に練習していた。

もちろん、雨宮慈雨の存在は最初から無かった事になっている…。

誰も、彼女を知るものは居ない…。



「あれ?この部屋…誰の部屋だっけ…?」

松雪が慈雨の部屋を開けて中に入る。


「…?女の子の部屋…?」


ピンポーン


「どうぞ」


「初めまして…」


「君は…?」


「天宮雨月…です」


「なぜ、ここへ?」


「わかんないんです…でも、俺、ここに来たことがあって…」


「そうか。俺もこの部屋が何だかわからないんだよね」


「俺たちから明らかに重要な記憶が消えている…」

記憶。ある人を中心に、関係している記憶が消えている。

それが誰かはわからないけど、松雪にとっても…雨月にとっても…最愛の人だった事に、変わりはないんだ…。

  • THE END-


~あとがき~
フヒヒヒヒ。変態ロリコンクソ野郎こと、綾瀬紗奈でーす♪
さてさて、The Last Song なんとかかんとか どうでしたか?
個人的には最高速、最高圧縮の別れの小説になった気がします(だれうま
まさぴーさん、モララーさん、最後の朱恩さんは本当に残念でしたけど、まぁいいかな? てへっ☆
今後も小説を書き続けたいと思う、紗奈でした。では、また次回の小説で! ばいにー☆

出演:G-10+α

雨宮慈雨
天宮雨月
ヴァル
はとる
蒼夢憐霞
ロゼルス
綾瀬紗奈
柳泉居士
邪神
瞳舞秋菜
まっき
雨宮松雪
まさぴー
モララー
アオツジ
ホワック
レオ
飛野朱恩



主題歌:「初音ミクの消失」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2937784

使用曲:「メルト」「ワールドイズマイン」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1715919
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3504435

オリジナル:「雨宮慈雨の消失」



著者:レオ(瑞梨紗奈,綾瀬紗奈)

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最終更新:2010年02月05日 23:54
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