*対峙 - (2007/07/08 (日) 00:12:42) の編集履歴(バックアップ)
力を持つ者は驕り高ぶる。だがその中にも、賢者は存在する。
「あなたの噂はよく聞きますよ、暮崎秋華さん」
紅茶をすすりながら、篠が言う。
「・・・・・・」
秋華は何も言わない。
ここは生徒会室。教室までとはいかないが、結構広い。入ってすぐの所にソファーセットとテーブルがあり、奥には大きな一つの机(古めかしい木製)さらに奥に会長用だろう小さな机がある。右側を覆うカーテンの奥には、給湯室のような設備があるらしい。テーブルの上にある紅茶とクッキーはそこから出された。
生徒会のくせに豪華だな~と秋華は思った。
そんなことより、ここは魔法科の中にある。つまり秋華にとって、単身で敵地に乗り込んだようなものだった。
(くそう・・・何で生徒会室は魔法科にしかないんだよ・・・)
それには開校以来、生徒会役員になったのは魔法科の生徒だけだった、という歴史と伝統をふまえての理由だったのだが、そんなことはもちろん、今の秋華には関係ない。
状況は最悪だった。秋華を襲った三人は心はそんなに強くなかったらしく、全員非道いショックをうけ、医務室に運ばれた・・・。それにはざまあみろ、と思う秋華だったが、それは同時に生徒会にとっての自分の印象を最悪にしただろう。
(マジやばい・・・)
秋華はそっと篠の様子をうかがった。・・・まだこっちを見たまま微笑んでいる。不意に、「あ」と声を漏らした。
「それ、魔法科の生徒がやったのでしょう?」
制服の焼け焦げをさして篠が言う。
「すみません気付かなくて、私としたことが・・・。まず制服を元通りにしないといけませんね」
秋華は少し驚いて、篠を見る。