その1、勝てば官軍負ければ賊軍
「今日の定例会だが、議題の『球技大会』は俺様が仕切るから今日は帰ってよし。解散」
と、我らが東高生徒会長暮崎秋華先輩言い切った。
あまりにも予想外な展開に文字通り開いた口がふさがらない他メンバーに「何やってんだ?」といった視線を叩きつけ、生徒会室を去っていった。
「な……何事?」
「干魃の前兆じゃないだろうな……」
それから一週間。つまり、今日はその次の定例会の日。今日、私--水森ミチ--を含む会長以外の7人の役員は秋華会長の仕事状況の確認という名目で集まったが肝心の秋華会長がいないのでやることが無くなり、ゆっくりと団欒と休憩をしていた(つまりだべっていた)。
「本当に会長仕事してるんでしょうかねー」
「…そういえば近頃校長室に入り浸っているとかいう噂があるが」
「そうそう、時々中から形容し難い叫び声が聞こえるって噂も…」
「まじでか」
「まー、ちゃんと会長が仕事してくれてれば問題はないんだがなぁ」
「ですよね」
「確かにそれに越したことはないしな」
「ほぉー、お前等何時から人の陰口を集団で言えるほど陰湿になったんだ?」
「………え゛?」
いつの間にか秋華会長が帰ってきていたらしい。そして見事にハモる声。
「そうか、そんなに俺様のことが信用できないのか。それならこの拳に誓ってやってもい い ん だ ぞ ?」
と言いながら握り拳を少しずつ上昇させてゆく秋華会長。てかその力の入れようはシャレになりませんが。声色も変わっちゃってますし怖いんですけど。いやホントに勘弁して下さい;
「俺様が一人だけだと仕事しないようなヤツに思えるのかこのうつけ者どもがぁーーーーッッ!」
必死に逃げ出す私たちだが、怒った秋華会長から逃げられるわけもなく--
校舎が揺れた。