第14話:試されし力



――――― 放課後。

「じゃあ、放課後に屋上で待っててくれ。」

昼休みが終わる間際に言われた啓輔の言葉が、何回も頭の中を駆け巡る。
見た感じ、いつもの雰囲気とは違って何やら深刻な問題を抱えてそうだった啓輔。
そんな啓輔が私に時間を取ってほしいみたいなことを言ってきたんだから、今回は
よっぽど重要な話なのかも知れない。
どういった話をされるのか予想もできないまま、私は屋上へと向かった。

『啓輔ー、いるー?』

屋上のドアをゆっくりと開け、様子をうかがう。
啓輔は屋上の隅っこで遠くを見つめたまま、こちらへ振り向こうともしない。
昼休みの時からちょっと様子は変だったけど、ホントにどうしちゃったんだろ・・・。

『ねぇ啓輔、何か話でもあるの?』
「あぁ。別に今言うことでもないと思うけど、隠しておくことでもないからな。
 だから、先に話しておこうと思ってよ。」

そう言うと啓輔は目線を私に移し、話をし始めた。

「茜、俺がなんで今まで使っていたデッキじゃなく、今日使っていたデッキをデュエルで
 使うことにしたか、お前に分かるか?」
『今日使ったデッキって、あの闇オーラ全開のデッキ?
 確かに啓輔らしくないデッキだったね。』
「このデッキは、以前から作ろうとは考えていたモノで昨日ようやく完成したんだ。
 でも、これはあまりにもガチデッキ過ぎてデュエルそのものを楽しめないから、
 俺は本当なら使いたくなかったんだ。」

デュエルディスク、そしてデッキを見つめて何かを悔しがるかのような表情で話す啓輔。

「でも、いまやデュエルを楽しむなんてのは理想でしかないのかも知れない・・・。
 俺は、それを思い知らされたんだ。」
『お、思い知らされたって・・・。誰かにすごい負け方でもしたの・・・?』
「いや、別に変な負け方をしたわけじゃない。」
『じゃ、じゃあ一体なんで・・・?』

私が問い返すと、啓輔は再び地平線の彼方を見つめ、話を続けた。

「俺は昨日、変な奴に襲われた。襲われたとは言っても、どこの誰とも分からない奴に
 デュエルを挑まれただけなんだけどな。ただ、その時にデュエルをしたのは俺じゃなくて
 同じように訳の分からない女だった。」
『昨日、帰り際にそんなことがあったなんて・・・。』
「そのデュエルを見てた時、俺は気付いたんだ。この女じゃなくて俺がデュエルを受けたと
 しても、恐らく勝てなかっただろう。恐ろしい目に遭わされただろう、ってな。」

昨日、啓輔は私の家でデュエルやデッキ調整をしてから帰路についた。
帰る途中でそんなことが起こっていたなんて、私は思いもしなかった。

「なんで俺が、あんな奴に狙われたのかは分からない・・・。でも、恐らく俺は今後も
 昨日みたいな奴に狙われ続けるんじゃないかと思う。そうなった時、茜や他の奴を
 巻き込むわけにはいかない・・・。そのためには、どんな相手でもねじ伏せられる
 強い力が必要なんだ。だから俺は、このデッキを完成させた。」
『そんな・・・! 誰であろうとねじ伏せるなんて、そんなデュエルが楽しくないことは
 啓輔も知ってるはずじゃない! デュエルは楽しいもんだって教えてくれたのは、他の
 誰でもない啓輔自身なんだよ!?』

私がこのデュエルモンスターズを始めたのは、啓輔から「楽しさ」を教えられたから。
このゲームをしている人の中では「勝てばいい」っていう考え方の人と、それとは
違って「ただ純粋に楽しみたい」っていう考えの人がいる。
世界大会とかではどうしても勝ち残らないと優勝できないから、大抵の人は自分の
デッキをファンデッキなんかじゃなく、ガチデッキとして組むことが多い。
私や啓輔はどちらかと言うとそういったデッキじゃなくて、デュエルを楽しむために
自分のお気に入りカードを使いこなすためのファンデッキをおもに組む。
私たちの身近にはファンデッキよりも、ガチデッキを組んで使っている人が大半。
そんな中で啓輔までもがガチデッキを使うようになったら、私は・・・・。
私は、誰と一緒にデュエルを楽しんでいけばいいと言うの・・・?

「茜、お前はもう俺に関わるのはやめるんだ。」
『な!? いきなり何!?』
「昨日襲ってきた奴は、恐らくまた現れる。どういった奴かは分からないが、奴は
 俺を狙うためなら茜や俺の周りの人間を盾にしないとも言い切れないんだ。
 そうなったら俺はお前らを守り抜いてやれる自信がない・・・。だから、俺と
 関わるのは今日限りにしておけ。」
『そ、そんな!!』

いきなり何を言い出すかと思えば、自分にはもう関わるなだなんて・・・・。
私にデュエルモンスターズを教えたのは啓輔なのに、今さらそんなことを・・・。

『バカなこと言わないでよ! 私にデュエルモンスターズを教えたのは、
 啓輔自身なのよ! 啓輔が狙われてるんだったら、私も一緒に戦う!』
「な、何言ってんだ、お前は!?」
『自分で言うのも何だけど、私は啓輔のことを他の誰よりも分かってるつもり。
 それに、啓輔と過ごしてきた時間も決して短いモノじゃない・・・。なのに、
 今さら関わるなって、なんでそんなひどいこと言うの!?』

私はいつどんな時でも、啓輔と命を共にする。
そんな大袈裟なことは言えないけど、啓輔が危険な目に遭う可能性があるなら。
私が何らかのカタチで啓輔の力になって支えてあげられるのなら・・・。
私は・・・・・私は、啓輔の力になりたい・・・・っ!!!

「うるせぇよ。ゴチャゴチャ言うのはそれくらいにして、サッサと消えろ。
 今日の日を境に、もう俺には関わるなって言ったんだ。」
『啓輔っ!!』
「うるせぇと言ったのが聞こえなかったのか!! お前のそーゆーとこ、
 前からイライラしてたんだよ!!」
『もう知らない!』

気付けば、私は走り出していた。
いつも一緒だった啓輔、憎まれ口を叩きながらも共に時間を過ごした啓輔。
その啓輔からの、いきなりな別れの宣告。
幼馴染みとして、これほど辛いことはない・・・。
泣きついてきたって知らない、話だってもう二度としてあげないんだから・・・。




『茜、すまない・・・。でも、俺にはこうするしか方法がなかったんだ・・・。』

啓輔は茜が走り去った屋上のドアを見つめてしばし沈黙すると、屋上に設置されている
給水タンクの方へと向き直った。

『そろそろ出てきたらどうだ。そこにいるのは分かってんだぜ。』

そう呼びかけると、タンクの後ろから2人の人物が姿を現した。
2人とも年齢は啓輔と同じか、少し上くらいの女性だった。
女性は微かに笑っており、ソレを見た啓輔も不敵な笑みを浮かべる。

『他人の話を盗み聞きするとは、あまり感心しないな。』
「あら、私たちは盗み聞きするつもりなんてなかったわよ?」
「私たちは、あなたがここへ来る前からここにいた。そこへあなたが来ただけの話。」

啓輔と女性2人はお互いに沈黙し、風が屋上を吹き抜ける音だけが響き渡る。

『アンタら、一体何者だ? 俺に敵対心を抱いているようには見えないけどな。』
「その質問の答えは、コレで私に勝てたら教えてあげるわ。」

女性のうちの1人が持っていた鞄からデュエルディスクを取り出し、左腕に装着する。
ソレを見た啓輔は、驚きを隠せなかった。

『デュエルディスク!? アンタらもデュエリストだってのか!?』
「デュエリストが対峙すれば、そこは常に戦いのフィールドになる。それくらい、
 アナタも分かってるわよね?」
『へっ、おもしれぇ。答えは自分で手に入れろってわけか。』

女性がデッキをホルダーに装填すると同時に、啓輔もデュエルディスクを展開する。
ところが、もう1人の女性が制止に入った。

「待って、友里香。ここは私にやらせてくれない?」
「え? なんでまた?」
「彼が本当に選ばれし者なら、私たちの持つカードをねじ伏せて、必ず勝利を
 掴むはず。そうでもなかったら、彼は選ばれし者じゃないわ。」
『なんだ、なんだ? 何のことか知らねぇが、俺は別にどっちが相手でもいいんだぜ?』
「じゃあ、お願いしようかしら。でも亜姫、あんまり苛めちゃ駄目よ?」
「さぁ、どうかしら?」

亜姫と呼ばれる女性はデュエルディスクを起動すると、ふふふと不敵な笑みを浮かべる。
ソレを見て、友里香はハァと溜め息をついた。

「ここで私を倒せないようじゃ、これから始まる過酷な運命には立ち向かえないわ。」
『いくぜ!!』



決闘(デュエル)!!!!




デュエル開始!
● 啓輔:ライフ8000 手札5枚
● 亜姫:ライフ8000 手札5枚


『俺の先攻ドロー! ダークロード・エンジェル ドミニオンを召喚!』

モンスターカード》
ダークロード・エンジェル ドミニオン
効果モンスター
☆4 / 闇属性 / 天使族 / 攻 2200 / 守 0
このカードは特殊召喚できない。
このカードが相手プレイヤーに与える戦闘ダメージは半分になる。
エンドフェイズ時に、自分のデッキからモンスターを1体墓地へ送ることができる。
送らない場合、このカードを破壊する。

『そして2枚のリバースカードをセット! さらに、エンドフェイズ時に俺はデッキから
 モンスターを1枚墓地へ送ることで、ドミニオンをフィールドに維持するぜ。
 これで俺のターンは終了だ!」
「ダークロード系モンスターを主体とした闇デッキ・・・。なかなか強そうね。」


● 啓輔:ライフ8000 手札3枚 モンスター1体 リバース2枚
● 亜姫:ライフ8000 手札5枚


「私のターン、ドロー。私は4枚のリバースカードをセットして、ターンエンド。」


● 啓輔:ライフ8000 手札3枚 モンスター1体 リバース2枚
● 亜姫:ライフ8000 手札2枚 リバース4枚


『何!? モンスターを召喚しないだと!?』

亜姫の行動に、またも驚きを隠せない啓輔。
モンスターを召喚しなければ、啓輔のドミニオンの攻撃は亜姫へ通る。
たとえダメージが2200ポイントの半分である1100ポイントで済むとは言え、
後々になってその1100ポイントが命取りになる場合もないとは言えないのだ。

(『俺の攻撃を誘っている・・・? それとも、別の何かを・・・?』)

『俺のターン、ドロー! 俺はさらに2枚のリバースカードをセット、そして
 手札を1枚捨てることで闇よりの執行人を発動するぜ!』

《魔法カード》
闇よりの執行人
通常魔法  ※ 制限カード
手札を1枚捨てることで発動する。
相手フィールド上に存在するすべての魔法・罠カードを破壊する。

『俺の手札は0になるが、これでアンタの伏せカードをすべて破壊させてもらうぜ!』
「甘いわね、リバースカード発動! カウンター罠、魔力の減衰!」

《罠カード》
魔力の減衰
カウンター罠
相手が魔法カードを発動した時に発動可能。
手札を1枚墓地へ送ることでその魔法カードの効果と発動を無効にし、破壊する。
この効果が成功した時、自分はデッキからカードを2枚ドローする。

『クッ、伏せカード破壊は読まれてたか・・・!』
「これだけカードを伏せてれば、確実に伏せカードの一掃を狙ってくるはず。
 それくらい誰でも分かるわ。
 このカードの効果が適用されたため、私はデッキからカードを2枚ドローする。」
『だが、俺のターンはまだ終わっちゃいない。俺は闇よりの執行人を発動した際、
 コストとして墓地へ捨てたカードの効果を発動する! 俺がさっき捨てたカードは、
 ダークロード・デビル アーリマンだ!』

《モンスターカード》
ダークロード・デビル アーリマン
効果モンスター
☆4 / 闇属性 / 悪魔族 / 攻 2500 / 守 600
このカードは通常召喚できない。
手札およびデッキから墓地へ送られた時、このカードを自分フィールド上に
攻撃表示で特殊召喚する。

啓輔のフィールドに、墓地から蘇ったアーリマンが特殊召喚される。
アーリマンとドミニオンの攻撃が通れば、亜姫はこのターンだけで
3600ポイントものダメージを受けることになる。

『俺の攻撃を誘ってるとしか思えないけど、俺もデュエリストだ!
 ここは臆せずに攻撃してやるぜ! モンスター2体でダイレクト・アタックだ!』

啓輔のドミニオンとアーリマンが亜姫に攻撃を仕掛ける。
伏せカードを警戒しつつも、怯むことなく攻撃を仕掛けた啓輔。
恐らく罠カードを張っているだろうと予想をしていた啓輔は、意外なカタチで
その予想を裏切られることになる。

「あなたのモンスター2体の攻撃は、私に通るわ。」
『何だと!?』

ドミニオンのクリムゾン・ヴァレスティ、アーリマンのブラスター・アイが亜姫に通り、
亜姫のライフは一気に3600ポイント削られ、残りライフは4400ポイントになった。

● 亜姫:ライフ8000 → 4400にダウン

「あれ? 亜姫、もしかして手札事故?」
(『どういうことだ? 俺の攻撃をそのまま受けるなんて、単に事故ってるだけか・・・?』)
「クッ、確かに私は今の攻撃で大きなダメージを受けた・・・。でも、この瞬間に
 リバースカードを発動する! 罠カード、守護人形!」

《罠カード》
守護人形(ガーディアン・ドール)
通常罠
相手モンスターからの戦闘ダメージを受けた時に発動可能。
自分が受けた総ダメージの半分の攻撃力を持つ守護人形トークン(☆4 / 光属性 / 天使族)を
2体、自分フィールド上に攻撃表示で特殊召喚する。
このカードは攻撃に参加する事ができない。
自分のスタンバイフェイズに1000ライフポイントを支払う。
支払わない場合、このカードによって特殊召喚されたトークンをすべて破壊する。

亜姫のフィールドに、天使の翼を持つ騎士2体が特殊召喚される。
このトークンは攻撃力こそ亜姫がこのターンに受けた総ダメージの半分、つまり1800ポイントの
攻撃力を備えているものの、守備力は0で攻撃する事もできない。

守護人形(ガーディアン・ドール)
攻撃力0 → 攻撃力1800に上昇(守護人形の効果)

『トークン生成罠か。次のターンで上級モンスターを召喚するつもりだな?』
「さぁ、どうかしら。ただ、このデュエルを長期戦にするつもりはないわ。」
『へっ、やれるもんならやってみな。俺はこのままターンを終了するぜ。』


● 啓輔:ライフ8000 手札0枚 モンスター2体 リバース4枚
● 亜姫:ライフ4400 手札3枚 モンスター2体 リバース2枚


「私のターン、ドロー。私はライフを1000ポイント支払い、守護人形の効果で
 特殊召喚された守護人形トークンをフィールドに維持するわ。」

● 亜姫:ライフ4400 → 3400にダウン

「私はカードを2枚セットして、ターンを終了するわ。」
『な、何だと!? トークンを維持したのに、何もせず終了するってのか!?』
「これが私の戦略だもの。さぁ、次のターンで攻撃してくるがいいわ。」
「戦略とか言ってるけど、もしかしてホントに手札事故・・・?」


● 啓輔:ライフ8000 手札0枚 モンスター2体 リバース4枚
● 亜姫:ライフ3400 手札2枚 モンスター2体 リバース4枚


『また伏せカードだけだなんて・・・。まぁ、いい。これをチャンスと捉えて、
 一気に叩き潰すぜ! 俺のターン、ドロー!』
「手札は亜姫の方が多いけど、ライフや場のモンスターの面で考えると啓輔君が有利ね。
 さぁ、啓輔君も亜姫もここからどういった展開を見せてくれるかしら?」
『いくぜ、俺は手札から終焉の使者を召喚する!』

《モンスターカード》
終焉の使者
効果モンスター
☆3 / 闇属性 / 戦士族 / 攻 1000 / 守 900
このカードの召喚および特殊召喚に成功した時、デッキから☆4以下の
「ダークロード」と名のつくモンスター1体を手札に加える。

『こいつの効果で、俺はデッキからダークロード・ナイト バルバトスを
 手札に加える。さらに、リバースカードオープン! 魔法カード、融合!』

《魔法カード》
融合
通常魔法
手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを
墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。
そのモンスターはこのターン、攻撃できない。

「ここで融合を・・・?」
『このカードで、俺は自分の場のモンスター3体を融合する!』

啓輔のモンスターカードゾーンの空間が捻じれ、そこに3体が吸い込まれていく。
そして、3体のモンスターを吸い込んだ空間が高速で捻じれ続けると、空間の中から
巨大な獣の前足と思われる部分が1本、2本と現れた。

『現れろ! ダークロード・ビースト ケルベロス!!』

《モンスターカード》
ダークロード・ビースト ケルベロス
融合 / 効果モンスター
☆8 / 闇属性 / 獣族 / 攻 3200 / 守 2200
「ダークロード」と名のつくモンスター1体+闇属性のモンスター2体
このカードはバトルフェイズ中、3回まで攻撃することができる。
このカードが表側攻撃表示でフィールド上に存在する場合、相手フィールド上の
すべてのモンスターの攻撃力はバトルフェイズ中のみ500ポイントダウンする。
自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースする。
エンドフェイズ時まで、このカードの攻撃力はリリースしたモンスターの
攻撃力分アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。
このカードは特殊召喚したターンに攻撃することができる。

「まずいわね・・・。ケルベロスは単体で3回攻撃が可能なモンスター・・・。
 亜姫がこのモンスターの攻撃を阻止できなかったら、確実に亜姫の負けは確定ね。」
『いくぜ、ケルベロスで2体の守護人形、そしてプレイヤーにダイレクトアタックだ!』

ケルベロスは雄叫びを上げると、超高速で守護人形へと襲いかかる。
しかし、攻撃されるにも関わらず亜姫は怯えるどころか、笑っていた。

「甘いわね。そんな単調な攻め方じゃ、私に勝つことは不可能よ。
 この瞬間に罠カードを発動! 罠カード、神の一括!!」

《罠カード》
神の一括
通常罠
相手プレイヤーの攻撃宣言時に発動可能。
自分のライフポイントを半分支払うことで、相手プレイヤーがコントロールする
すべてのモンスターの攻撃を無効にし、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

神の一括が発動したことにより、ケルベロスは亜姫のモンスターへの攻撃を中断し、
スゴスゴと啓輔のフィールドへと戻り始める。

● 亜姫:ライフ3400 → 1700にダウン

「私はライフを半分失うことになるけど、このカードの効果によってケルベロスの
 攻撃は無効となる。そして、デッキからカードを1枚ドローする権利を得るわ。」
『アンタは俺のやり方を単調だって言ってるが、アンタは俺に対してまだ一撃を
 入れることすらできてないんだぜ? そんな奴の言葉に説得力なんかねぇな。』
「フフフ、私はあなたのようにターン毎にモンスターで攻撃を仕掛けなくても、
 たった一撃であなたのライフを0にする戦略があるのよ。」
『何だと? 1ターンキルってやつか?』
「えぇ、そうよ。そのカードは、いかなる方法であっても一瞬にして、相手の
 ライフを奪い尽くす。まぁ、特定のカードを使えばその戦略はある程度緩和できるけど、
 果たしてあなたのデッキに、そんなカードがあるかしら?」
『何とでも言ってな。俺はこのままターンを終了するぜ。』


● 啓輔:ライフ8000 手札1枚 モンスター1体 リバース3枚
● 亜姫:ライフ1700 手札3枚 モンスター2体 リバース3枚


「せいぜい強がってるといいわ。ただ、このターンであなたが私たちの探し求めていた
 人物じゃないってことがハッキリするわ。私のターン、ドロー。」
(『今の状況であの女が俺のライフを0にするには、攻撃力8000以上のモンスターで
  俺に攻撃するか、特殊勝利系のカードを使う、それかバーン系のカードで俺の
  ライフへ直接ダメージを与えるかの3つしかないはず。』)
「私は手札を1枚捨てて、このモンスターを特殊召喚するわ。」

《モンスターカード》
竜骨の剣士(ドラゴニック・ボーンズ・ナイト)
効果モンスター
☆6 / 地属性 / 戦士族 / 攻 1800 / 守 2800
自分の手札を1枚捨てることで、このカードを手札から特殊召喚する。

『竜骨の剣士だと? そんなモンスターじゃ、ケルベロスの攻撃を1度しか防げないぜ。』
「確かにね。でも、このモンスターは上級モンスターを召喚するための布石であって、
 壁にするつもりは最初からないのよ。」
『いいぜ。なら見せてみな。アンタの上級モンスターとやらを。』
「言われなくても、ね。いくわよ、私は3体のモンスターをリリースし、手札から
 トールの聖竜神を召喚!!」

《モンスターカード》
トールの聖竜神
効果モンスター
☆10 / 神属性 / 霊神獣族 / 攻 4000 / 守 4000
このカードを通常召喚するには、モンスターを3体リリースしなければならない。
このカードの召喚は、いかなるカードによっても無効化されない。
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手がコントロールする
いかなる魔法・罠・モンスターの効果も受けない。
このカードの攻撃力は、自分と相手プレイヤーのライフの差分アップする。
手札を1枚捨てる事で、このカードをエンドフェイズ時までゲームから除外する。
このカードを除く、自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースする。
リリースしたモンスターの攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える。
手札からカードを1枚相手プレイヤーに見せる。見せたカードの種類によって、
このカードはエンドフェイズ時まで下記の効果を得る。
この効果は1ターンに1度しか使うことができない。
● モンスター:相手に見せたモンスターの攻撃力分、このカードの攻撃力がアップする。
● 魔法:相手フィールド上に表側表示で存在する、もしくはセットされている
  カードをすべて確認し、魔法カードがあった場合すべて破壊する。
● 罠:相手フィールド上に表側表示で存在する、もしくはセットされている
  カードをすべて確認し、罠カードがあった場合すべて破壊する。
このカードは墓地から特殊召喚された場合、エンドフェイズ時に墓地へ送られる。

亜姫がデュエルディスクにカードをセットした瞬間、亜姫と啓輔のフィールドに
暗雲が立ち込め、辺りに雷撃がほとばしり始める。
そして、地響きの後に一本の雷柱が亜姫の側に落ち、その中から巨大な竜が姿を現した。
同時に巨大な咆哮を上げ、そのあまりの大きさに空気が震える。

『な、なんだ、そのモンスターは!?』
「これが私の持つ神のカード、トールの聖竜神よ。このカードの前では、どれほど
 強大なモンスターであっても、ひれ伏すしかない。あなたに勝ち目はないわ、柳木沢君。」
『クッ・・・!!』
「さぁ、ここからがショータイムの始まりよ。さっきはすぐに終わらせるって言ったけど、
 ジワジワとあなたのライフを削るってのもおもしろいかもね。」

亜姫がニヤリと、不敵な笑みを浮かべる。
啓輔は目の前に現れた巨大な竜を前に、舌打ちするしか術がなかった。
その竜は禍々しいほどの威圧感を放ち、明らかに他のモンスターと一線を画している。

「あーぁ、亜紀め、ついに出しちゃったか。アレが出たら、100%相手に勝ち目がないって
 言ってもおかしくないんだよね。やっぱり柳木沢君は、記憶に選ばれし者じゃないのかな。」



to be continued・・・・・・



  • おお 亜紀さんまで 聖竜神という神 持ってたのか^^ -- (kakefu31 ) 2009-01-15 13:02:50
  • みんな、神を使えるんですねw友里香は人形神みたいなの持ってたりして^^今後に期待しています -- (Yulicca) 2009-01-17 23:25:21
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最終更新:2009年01月15日 06:41