第05話:光射す道となれ! 大賢者 マナ、召喚!



ブラックマジシャン・ガールが更なる高みへと昇り詰める・・・だと?」
『えぇ、今見せてあげるわ。悲しみの果ての効果で、私はデッキから大賢者 マナを特殊召喚する!』

モンスターカード》
大賢者 マナ
効果モンスター
☆8 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻 4000 / 2500
このカードは通常召喚できず、「悲しみの果て」のカードを発動した場合でのみ特殊召喚できる。
ライフポイントを半分支払うことで発動する。このカードは、相手フィールド上に存在する
モンスターの中で、最も攻撃力が高いモンスター1体が持つ効果と同じ効果を得る。
(得た効果はこのカードが持つ本来の効果に上乗せされる。)
このカードの特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在するモンスターを可能な限り、自分の
フィールド上に特殊召喚しても良い。(召喚条件を持つモンスターは特殊召喚できない。)
このカードを除く、自分のフィールド上に存在するすべてのモンスターを生贄に捧げる。このカードの
攻撃力はエンドフェイズ時まで生贄に捧げたすべてのモンスターの攻撃力分だけアップする。
このターン、このカード以外のモンスターは戦闘に参加できない。

『私は大賢者 マナの特殊召喚に成功したことで、墓地のモンスターを特殊召喚する!
 私が墓地から特殊召喚するのは、ブラックマジシャン・ガールと魔導騎士 ディートリッヒの2体。』

墓地からブラックマジシャン・ガール、魔導騎士 ディートリッヒの2体を持ってきて特殊召喚する。
でも、私の戦略はまだまだこんなもんで終わらない。

『私は手札から魔法カードを発動。魔法カード、サイクロン! このカードで金縛りのカードを破壊し、
 拘束されていたジークフリートとプリマヴェイラをモンスターとして再度フィールドに呼び戻すわ!』

《魔法カード》
サイクロン
速攻魔法  ※ 制限カード
フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。

これで私のフィールドには大賢者 マナ、ブラックマジシャン・ガール、魔導騎士 ディートリッヒ、
春の女神 プリマヴェイラ、魔導騎士 ジークフリートが並んだ。

「だが、モンスターを増やしたところでアヌビスは倒せないぞ!」
『さらに私はライフポイントを半分支払うことで、アンタのフィールドのアヌビスの効果を頂くわ!
 マナの効果は相手モンスターを選択してするわけじゃないから、アヌビスがモンスター効果に対する
 耐性を持っていても関係ない。私の残りライフも100ポイントだし、半分支払ってもたった50ポイント。
 痛くもかゆくもないわ。』
「チッ・・・!!」
『これでマナは、アヌビスと同じ効果を得た! マナの効果発動! 私はデッキの一番上のカードを
 墓地へ送り、墓地へ送ったカードによって効果が決定する! デッキの一番上のカードは・・・・
 罠カードよ!!』
「ここで罠カードを引いただとっ!?」
『これでリバースカードと手札を確認して、罠カードが手札やリバースカードにあった場合、
 それらすべて破壊する!』

神崎の手札とリバースカードが一気にオープンされ、私の眼前に晒される。
伏せていたカードは罠カード「自爆」、手札は2枚あるうちの1枚が罠カードだった。
当然、マナの効果(元々はアヌビスの効果)によってその罠カードは破壊されて、墓地へ送られる。
神崎のもう1枚の手札はモンスターカードだから、もう怖いものなんかない!!

「くっ、ここまでか・・・!」
『アヌビスの効果が仇になったわね。私はさらにマナ自身が持つ効果を発動!
 マナの特殊召喚が成功した時に墓地から呼び戻されたすべてのモンスターを生贄に捧げ、
 生贄に捧げたモンスターの攻撃力の合計値をマナの攻撃力に加算する!
 これにより、マナの攻撃力は12000にまで引き上げられる!!』
「い、12000・・・・・だと・・・?」

あまりにも高すぎる数値に驚きの表情を隠せない神崎は、その場に膝を折った。
マナが召喚された時点で、この勝負の先は既に見えていた。
自分の持つカードを信じていれば、必ずカードは私の気持ちに応えてくれる。
そう信じていたからこそ、私のデッキはソレに応えてくれたんだと思う。

『この攻撃で終わりよ! いけぇ、大賢者 マナ!! その攻撃で、闇をかき消せ!!』
「クッ・・・!!」
『大賢者 マナの攻撃!! 灼・熱・魔・導・波!!(プロミネンス・バーニング)』

マナが持つ杖の先からほとばしる、光り輝く灼熱の魔導弾。
その光が魔王 アヌビスの体を照らし、アヌビスが光に溶け込むように消えていく。
この攻撃で私が神崎に与えたダメージは8900ポイント。
残りライフポイントが3100しかなかった神崎はオーバーキルされ、勝負はついた。

「やったぁ!! 小日向さんの勝ちだ!!」
『ふぅ、危なかった・・・・。』
「クソッ・・・! 約束だからな・・・・。受け取るがいい!!」

神崎の仲間が掛布君から取り上げたカードが、掛布君に投げ渡される。
こいつらが目をつけたってことはそれなりのレアカードなんだと思い、こっそりとカードを確認する。
掛布さんが返してもらっていたのは、「指導者 マーリン」というカードだった。
どんな効果を持っているのか気になったけど、掛布さんの後ろからだとよく見えなかった。

『取り返せて良かったね、掛布さん♪』
「ありがとう、小日向さん! 僕、このカードがデッキになかったらすごい弱いデッキになっちゃうし、
 このカードは僕の一番のお気に入りだったんだ。小日向さんが取り返してくれなかったら、僕が
 手にすることは二度となかったよ~・・・・・。」
『まぁ、かなり危なくて私自身もヒヤヒヤしたけどね・・・。んっ?』

ふと振り向くと、神崎は仲間を連れてその場から何事もなかったかのように立ち去ろうとしていた。
ソレを見て、私は引き止めた。

『ちょっと、神崎君ッ!』
「なんだ、まだ何か用か? 約束は守っただろ?」
『あのね・・・。さっきのデュエル、正直負けると私は思った。私は自分がデッキを信じていたから、
 神崎君とのデュエルに勝てたんだと思う。神崎君は強いし、次に戦うことがあったとしたら、私は
 負けちゃうかも知れない。神崎君、今回みたいに誰かからレアカードを取り上げるなんてことは
 もうやめようよ? 神崎君もデュエリストなんだから自分のカードがどんなに大切か分かるでしょ!?
 カードがどれくらい大切なのか分かってるから、私にデュエルで勝負しようって言ったんだよね!?』
「戯言をぬかすな。俺にとって、カードは魂でも何でもない。レアカードを持つ奴がいたら、ソレを
 何としてでも手に入れる。お前が言ってることは理想論だ。お前みたいな奴が、一番ウザいんだよ!」

神崎君はそれだけ言い残して、私と掛布君の前から立ち去った。
確かに、私が神崎君に投げかけた思いは、ただの理想論でしかないと思う。
でも、みんながそういう気持ちでデュエルをすれば、きっとデュエルモンスターズはもっと流行すると
思うし、カードの強奪事件とかも起きなくなって、みんなが楽しめるゲームになるんじゃないかな。
それに、神崎君はあーゆー風に言ってるけど、本当はデュエルがすごい好きなんじゃないかと思う。
ただ、周りの奴らに流されて自分の気持ちに気付いてないだけなのかも知れない・・・・。

「同じデュエリストでもあーゆー人はいるんだよ、小日向さん。」
『よーし、何としてでも神崎君が、カードは命だー!って言うくらいにしてみせる!』
「無理に近いと思うけどな~・・・。」
『物事は何でも諦めたらそこで終わりなんだよ。諦めないことが肝心なんだから・・・って、んっ?』

私の気持ちを力説している最中に、ポケットの中で携帯がブルブルと震えていることに気付いた。
取り出してみると、サブウィンドウには啓輔の名前が表示されている。
あれ、どうしたんだろ?

『もしもーし。啓輔、どうしたの?』
「お前、今どこにいるんだ?」
『え、まだ学校だよ? なんで?』
「なんで、じゃねーだろ、お前ッ!! 先にショップ行くって言うから来たのにいねーじゃねぇか!」
『あ、やば・・・。』

教室を出る前に、啓輔にショップへ行くから後で来てって言ったのを忘れてた。
やばい、掛布君とのんびり話してる場合じゃなかったッ!

『ごめん、啓輔ッ! 猛ダッシュで行くから待ってて!』
「ったく、お前って奴は。猛ダッシュで来るのはいいとして、途中で事故るなよ。」
『はぁい。じゃあ、また後でね。』

電話を切り、デュエルディスクやデッキを片付けて自転車置き場へと向かう。

『掛布さん、ごっめーん! 友達との約束忘れてたから、先に帰るね! じゃあ、またね!』
「あ、うん・・・。」

私は掛布さんを残してそのまま自転車置き場へと走り、急いでショップに向かうことにした。
あー、向こうに着いたら啓輔からまた嫌味言われそうな予感・・・・。
考えれば考えるほど泥沼になりそうな感じだったけど、ペダルをこぐ私の足は確実に速くなっていた。









茜が去った校舎裏。
後に残されたのは、悠一郎だけ・・・・のはずだった。

「ゆ・う・い・ち・ろ・う♪」
「ご苦労様。」

エヘヘと笑う女の子と、クールな印象を人に与えそうな感じの女の子が物陰から姿を現した。
茜と同じ制服を着ていることから、この学校の生徒だと思われる。
悠一郎のことを呼び捨てにしていることから、悠一郎の知人なのだろう。

「友里香、それに亜姫ッ! もしかして、見てたのか?」
「最初からずっと見てた。目当てのモノは見つかった?」
「うん、彼女で間違いないよ。それに、神崎君も予想通りで間違いない。」
「そっか、そっかー♪ じゃあ、次はどう動くの?」
「とりあえず、しばらくは様子を見よう。時はまだ満ちてないからね。」
「了解した。もし何かあったら、すぐに連絡をちょうだい。」
「ねぇ、悠一郎。約束の時はまだどれくらい先なの?」

友里香の一言で、悠一郎の表情が険しくなる。
ソレを見て友里香は申し訳なさそうな顔をするが、悠一郎がボソッと話し出した。

「約束の時が正確にいつなのか、ソレは俺も知らないし、ジジイたちも知らないんだ。ただ、
 奴らが動き出したらその時が近付いているってことの証拠。奴らを監視しているイリヤやミレイから
 まだ連絡が入らないことを考えると、奴らもまだ様子を伺ってるんだろう。待機中のリアからも
 まだ連絡がないからな。ジジイたちもまだ緊急性はないと判断してるんだろうよ。」
「じゃあ、私たちが慌ててここに来る必要なかったんじゃん。
 奈央も美夏もいきなりどこへ行ったか分かんないしさ・・・・。」
「もしもの時を想定して送り込まれたからな、俺たちは。それに、ジジイたちに逆らって
 変な気を起こされても面倒と言えば面倒だし。今は素直に上の言うことに従ってたらいいんだって。」
「なんか不満だらけなことばっかりだけど、悠一郎がそう言うんだったら従うわ~・・・・。」
「俺がもっとしっかりしてたら良かったんだけど、すまないな。ところで、美夏は?」
「今日は先に帰ったよ。なんでも、すごい強いデッキを思いついたらしい。」
「アレ以上、まだ強くなるつもりなのか・・・・。」
「まー、美夏は結構な強者だからねー。上も、いい人材を見つけたもんだ♪」
「他人事だな、友里香・・・。とりあえず、今日は解散だ。また何か動きがあり次第、すぐ連絡する。」
「らじゃー♪」
「了解。」



to be continued・・・・・・



  • アヌビスの表記だといかなる効果をも受け付けない感じなんですけどそのへんどうなんでしょうか?   あとすっかり忘れてたけど前話も含めて魔界がどうなったのか、アヌビスに適用されてるのかどうか気になりました -- (要亜希) 2008-11-23 17:48:05
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最終更新:2008年11月22日 17:16